9月の心理行動科学科

2025/9/30 >> 今月の心理行動科学科

大学敷地内でも金木犀が香る季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。

9月10日は、実践研修・現場部にて、仙台地方裁判所・家庭裁判所を訪問しました。本学科の2~3年生 20名が参加し、家裁調査官の仕事についてより深く知る貴重な機会となりました。

9月13日にオープンキャンパスが行われました。大橋先生、浅野先生による学科紹介や、森先生による模擬授業「人に流されてしまうのはなぜ?」、森ゼミ生による実践研究報告「エンターテイメントを科学する」などの企画を用意しました。

9月18日は宮城学院の創立記念日でした。1886年の宮城女学校設立から139年です。ちなみに心理学の成立は1879年。宮城学院より7年だけ先輩です!

9月19日から後期の授業が開始されました。

9月24日には、論理文章能力検定を実施しました。1年生と3年生と2・4年生からの希望者で試験に取り組みました。

同日には、心理行動科学科独自のキャリア支援「Pナビ」の後期サポートがスタートしました。3年生を対象にしたセミナーでは、キャリアサポートの専門家をお呼びし、今後の就活スケジュールや、内定率の推移などのお話をしていただきました。学生は定期的なセミナーを通して就活の不安解消に役立てています。

9月は夏休みが明けてから盛沢山の心理行動科学科でした。

そして、10月にはいよいよ大学祭が11日(土)、12日(日)に開催されます。

心理行動科学科では学科の学びを活かした大人気企画「ココロミル」を今年も開催します。毎年好評をいただいている企画のため、学生も張り切って準備を進めています。また、11日(土)には、浅野ゼミによる「命の大切さを学ぶ教室 ~京都アニメーション事件 被害者等による心情伝達~」を開催いたします。この企画は予約不要・参加無料ですのでぜひお越しください!みなさまのお越しをお待ちしております。

9月の心理学コラム:認知が感情を左右する①(担当:木野和代)

2025/9/19 >> 役に立つ!!心理学コラム

今年の日本心理学会の学術大会は、9月5日~7日に仙台で開催されました。様々な領域の研究発表があってとても刺激的でした。今は、収集した情報を整理して、さらに調べ物をしているところです。その中で面白い論文に出会いました。

日常生活でどの程度「認知バイアス」を経験するかを測る尺度を開発した論文です(※1)。ゼミ生の卒業研究に使えるかもしれないと思って読んでみると、約200種類の認知バイアスから代表的な80個が厳選されて、分類されていました。その中には感情心理学の授業で扱う現象も含まれていて、別の切り口から捉える面白さを感じました。

その一つが「皮肉なリバウンド効果」です。これは「あることを考えないようにしようとするほど、逆にそのことを考えてしまう」というものです。感情に絡めて例をあげると、不安や心配のもとになるネガティブな考えを抑えようとすればするほど、その考えが頭に浮かび、不安から抜け出せなくなる、といった具合です。

ちなみに、この効果を提唱したWegnerらの実験(※2)では、「シロクマ」について考えないように指示されたことから、「シロクマ効果」とも呼ばれています。

では、この認知バイアスを避けるにはどうしたらよいでしょうか? 授業中に、あることを考えないようにする体験をしてもらうと、数人はうまくできたと言います。聞いてみると、別のことを積極的に考えて注意をそらしていたとのことでした。Wegnerらの論文でも注意をそらすことの有効性について議論されています。

 

【文献】

※1:高比良美詠子、他 (2024). 認知バイアス・アセスメント尺度80(CBA-80)の開発 立正大学心理学研究所紀要, 22, 35-59.

※2:Wegner et al. (1987). Paradoxical effects of thought suppression. JPSP, 53, 5-13.

9月のリレーエッセイ (大橋ゼミ4年・佐々木美空さん)

2025/9/15 >> 在学生によるリレーエッセイ

こんにちは!大橋ゼミ4年の佐々木美空です!
9月に入り、夏休みが終わって後期が始まりました。夏が終わり、ようやく秋らしい気温になってきましたね。
秋といえば色々ありますが、私が思い浮かべるのは読書の秋です。本を読むことって結構大事なのかもと思った出来事があったので共有したいと思います。

私は6月に高校で教育実習を行っていたのですが、最終日にある女子生徒から貰った手紙の中で印象的だった言葉がありました。それは、「相談をした時先生はちゃんと私に届く言葉で伝えてくれた」という文です。彼女とは関わる機会が多く、私も気にかけていた生徒の1人でした。私を信頼してくれた理由がそこに詰まっていると感じてとても嬉しかったです。

同時に、私は本を読むことで言葉の表現を学び、それを生徒との関わりの中で活かせたのかもしれないとも思いました。

実習での模擬授業や卒論の発表の際には、誰にでも伝わるような言葉を使うことを意識してきました。自分の語彙力には限界がある為、本を読んで様々な表現を学ぶことは今後も大切になることだと思います。

みなさんも、勉強のために読むことに限らず、忙しい日々の息抜きとして読書を取り入れてみてはいかがでしょうか。

8月の心理行動科学科

2025/8/31 >> 今月の心理行動科学科

大学の夏休みも後半に入りました。
8月の心理行動科学科では、連続講義の実施や、学外での企画が多数行われました。
 
8月8日は「高校生のための心理学講座」を東北学院大学五橋キャンパスにて開催しました(共催:公益社団法人日本心理学会)。この企画は、東北学院大学、東北福祉大学と宮城学院女子大学の3大学が合同にて開催し、当日は約180名もの方々にご来場いただきました。来年も開催予定ですので、今回来れなかった方はぜひ来年お越しください。
 
8月上旬から順次東北各地にて、「miniココロサイコロ2025」を開催しました。昨年度の1年次生が半年かけて取り組んだ研究をパネル展示形式で発表しました。各県の高校生や一般の方々に研究成果を伝える貴重な機会となりました。
〈実施概要〉

  • 山形県(霞城セントラル1階アトリウム):8月6日・7日実施、木野ゼミ「鉄道利用者の心を科学する」
  • 秋田県(秋田拠点センターALVE1階):8月8日・9日実施、森ゼミ「エンターテイメントを科学する」
  • 青森県(青森観光物産館アスパム1階):8月18日・19日実施、大橋ゼミ「街の安全・安心を心理学する」
  • 福島(ダイユーエイトMAX福島店1階):8月19日・20日実施、友野ゼミ「義援金を寄付する心理returns」

 
8月23日には今年度3回目となるオープンキャンパスが開催されました。今回のオープンキャンパスでは友野先生による模擬授業や、入試ガイダンス、森先生と浅野先生による学科紹介などの企画を用意しました。高校生だけではなく保護者のみなさんも熱心に聴いてくださいました。次回は9月13日(土)に開催します。ぜひお越しください。
 
8月27日・28日の2日間にわたり、兵庫県にて「現場部」を実施しました。現場部とは、社会のさまざまな“現場”を実際に見に行き(=実見)、それを日々の心理学の学修や就職活動に役立てようという企画です。

今回のテーマは「阪神淡路大震災・福知山線脱線事故から学ぶ」です。神戸市にある阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」と、尼崎市の福知山線脱線事故現場「祈りの杜」に足を運び、学んできました。「人と防災未来センター」では、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災でどのような被害が発生したか、防災や減災についての知恵や知識がわかりやすく発信されており、災害について学ぶことができました。「祈りの杜」では、2005年4月に起こった福知山線脱線事故について、事故や救助の痕跡を目の当たりにしました。そのような悲惨な事故を起こさないために心理学は何をしたらよいかを学び、考えるきっかけとなりました。今後も様々な場所において、「現場部」を実施していく予定です。
 
9月も残暑がまだまだ続く予報です。熱中症に気を付けてお過ごしください。

8月オープンキャンパスの様子

8月の心理学コラム:miniココロサイコロin福島(担当:友野隆成)

2025/8/15 >> 役に立つ!!心理学コラム

心理行動科学科では,毎年夏休みを利用して,「miniココロサイコロin○○(○○内は,実際に行く県名が入ります)」を開催しています。

このイベントでは,本学科2年生の有志が,宮城県を除く東北5県のいずれかに出向き,前年11月に開催されたココロサイコロ で発表された内容の一部を発表します。

2025年度は,青森・秋田・山形・福島の4県で標記イベントが開催されました。私が担当した班では,福島駅の近くにあるダイユーエイトマックス福島様から場所をお借りし,8月19日(火)・20日(水)の2日間で開催してきました。

今回は,能登半島地震の被災地支援,東日本大震災の被災地支援,そして児童労働問題の解決支援をサブテーマに,どのような募金活動が有効なのか簡便な実験や調査を行い検証した結果を発表しました。会場が1階食料品売り場近くのエスカレーター前のスペースだったことから,多くの方々の目に留まり,なかには40分くらい熱心に話を聴いてくださった方もおられました。東日本大震災関連の内容もあったことから,現在進行形で被災地支援に従事されている方に話を聴いていただけ,発災後15年近く経過した現在でも「震災は終わっていない」ということを発表した学生たちも実感していたようでした(会場をご提供いただいたマックス福島の関係者の皆様,発表を聴いていただいた皆様に感謝申し上げます)。

このように,本学科のスクールモットーである「心理学は机の上だけでは学べない」に則って,学生たちは日々さまざまな実践経験を積んでいます!

発表の様子