Archive for the ‘現場部’ Category

【実践研修・現場部】神戸・尼崎研修旅行を開催しました

2019/9/9 >> 現場部

9月3日,4日の2日間,神戸および尼崎において実践研修「現場部」の研修旅行を開催し,22人もの学生さんが参加しました。

神戸では阪神・淡路大震災を契機につくられた「人と防災未来センター(ひとぼう)」と震災遺構「神戸港震災メモリアルパーク」を訪れ,自然災害にどのように備えたらよいかを学びました。ひとぼうでは,87歳の語り部の方から,関東大震災の話や,太平洋戦争におけるご自身の空襲体験などさまざまな話題を交えながら被災体験をお話しいただき,学生さんたちもいろんなことを考えさせられたようです。

尼崎では「祈りの杜 福知山線列車事故現場」を訪れ,JR西日本の方からレクチャーを受けました。107人の命が消えてしまったまさにその場所で,事故や救助の痕跡を目の当たりにしながら,そしてすぐそばをその時と変わらず頻繁に行きかう電車を見て聞いて,そこで何が起こったのかを少しはリアルに想像できただろうと思います。さらに,事故後に乗客から寄せられた厳しい声を知り,また,現場を現在の形に整備するまでのご努力を伺い,自分の所属する会社が事故を起こした事実を背負っていくことの重さと覚悟も感じられたようでした。

※「現場部」は,“心理学は,机の上だけでは学べない”という本学科のモットーを体現化した企画で,2014年度に当時の学生さんの希望で始まりました。さまざまな「現場」に足を運び,自分の目で見て,自分の耳で聞くなど五感をフル活用して現場を感じ,そこから心理学の学びを見出す企画です。これまでに,JAXA筑波宇宙センター,宮城県科学捜査研究所,松島水族館(現在は閉館),東北少年院,青葉女子学園,仙台鑑別所,新日鐵住金・安全体験教育プログラム,東北電力・女川原子力発電所などを訪れてきました。

ひとぼうの前で集合写真

ひとぼうの津波体験(わずか50cm程度でも歩きにくくなることを疑似体験できる装置)

神戸港震災メモリアルパークに残る崩れた護岸の遺構

【現場部4】JAXA|宇宙航空研究開発機構

2015/10/2 >> 現場部

8/27~28の2日間、茨城県つくば市にある、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に行きました。

この企画は、人類動態学会という学術団体が主催するもので、年に一回、全国の大学から教員と学生が集います。産業に関わる現場を見て、現場の方の話を聞き、それらに基づいて、学生たちだけでディスカッションをし、その結果を発表するという研修会です。今年度はJAXAが会場で、全国9大学から50人以上の院生・学生たちが集まり、本学科からは学部2、3年生10名が参加しました。

JAXAの展示館では、ISS(国際宇宙ステーション)に物資を届ける「こうのとり」(8/19に種子島宇宙センターから打ち上げ成功したばかり)や、宇宙実験棟である「きぼう」の実物大模型を見たりして、説明を受けました。また、JAXAの有人宇宙技術部門の方々(心理学者もおられます)から宇宙に人を送り出すことの難しさ、楽しさについて伺いました(撮影は遠慮して欲しいとのことでした…)。
なんと、古川聡宇宙飛行士も参加してくださり、興味深いレクチャーをしていただいただけでなく、質疑にも応えていただきました!JAXAの方々は、皆さんとても柔和で聡明な方でした。

その後、大学横断的に作られたグループに分かれ、主催大学(今年は早稲田大学)から与えられたテーマについてディスカッションをします。今年のテーマは、なかなかの難題でした。これを一晩かけて考え、翌日の昼過ぎにはプレゼンまで持っていくという課題に学生たちだけで取り組みます(教員たちは温かく見守るだけ)。
1)地球から重力の異なる環境に到達したクルーと、その環境で数年間暮らしたクルーとが、親睦大会をしたときに、後者が必ず勝てる競技は何か。
2)地球とは異なる重力環境の中で健康を維持する目的で実施するレクリエーションを考えよ。単なるエクササイズではなく、楽しんでできること。
※地球より高重力環境と、地球より低重力環境を、上のいずれかに割り当てること。一方を高重力環境としたら他方は低重力に(逆もまたしかり)しなければならない。

一泊二日の経験で、学生たちはいろいろなことを学びます。大学の偏差値が必ずしも人間の能力と比例しないこと、自分ができないと思っていたことが意外にできること/自分ができると思っていたことが意外にできないこと、他大学の先生が学生にどのように接しているか、見ず知らずの人たちと目標を共有することの難しさ・楽しさ、そしてなにより、「何でもやってみないと分からないこと」を学べたのだと思います。

これぞ現場部!、これぞ心理行動科学科!な二日間でした。
(大橋記)

【現場部3】宮城県警察科学捜査研究所

2015/9/2 >> 現場部

8月20日(木)に、心理行動科学科2,3年生28名と教員2名で、宮城県警察科学捜査研究所の施設見学に伺いました。

心理行動科学科には、社会とのつながりを意識した実践的なカリキュラムがあります。その一つに、「心理行動実践研修」という科目があります。その中でも、心理学が活かされる現場を実際に見に行く活動を「現場部」と呼んでいます。現場部では、第1回目で女子少年院と少年鑑別所に、第2回目でマリンピア松島水族館に、見学に伺っています。そして、第3回目の現場部として、科学捜査研究所(通称:科捜研)の見学をさせていただいたのでした。

事前説明会を開催し、科捜研について、そして、科捜研内の5分野(法医・化学・工学・文書・心理)について、ある程度の予備知識を入れてから見学に臨みました。少しは科捜研のことを知っているぞ…!と自信を持って臨んだ見学でしたが、実際に見て、話を聞くと、知らなかったことがいかに多いか、肌で感じ取れるものがいかに心に残るかを実感しました。見学後に、「大学での学びが活かされていることを実感できて良かった」などという、「心理行動実践研修」の醍醐味とも言うべき感想を述べる学生もおりました。

科学捜査研究所の方々には、丁寧に説明をしていただきました。ルミノール検査やポリグラフ検査など、実際の捜査資料として使用されている検査を見せていただけましたし、私たちの質問にもすべて丁寧に答えていただけました。学生も教員も、今回の見学を心から楽しみにしていたので、大変ありがたいことでした。実は、この科捜研の見学には、先着順で参加者を募ったところ、即刻定員オーバーとなり、多くの学生に参加をあきらめてもらわざるを得なかったという背景があります。それだけ人気のあった今回の見学でしたが、科捜研の皆様のご協力のおかげで、期待以上の成果を得ることができました。科捜研の皆様、ありがとうございました!

今回の見学を通して、犯罪捜査の現状と、そこで活かされている心理学に対する理解が深まりました。この成果は、今後の学習や就職活動等に幅広く活かされるものと思います。また、犯罪について知るうちに、学生たちの防犯意識も高まり、日常生活上にも役立つ活動となりました。しかしながら、私たちが知らないことは他にも数多くあります。心理行動科学科では、今後も、現場で生きている心理学を学べる機会を作り続けたいと思います!

第3回現場部 宮城県警察科学捜査研究所で説明を受けました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(友野聡子記)

7月の心理学コラム 「現場部」始動!(担当:大橋智樹)

2014/9/20 >> 役に立つ!!心理学コラム, 現場部

心理行動科学科のモットーは、「心理学は、机の上では学べない」です。これは、心理学を学ぶ際には、学問と社会とのつながりを意識しながら学ぶことが大事だと考えている現れです。

心理行動科学科には、そのための実践的なカリキュラムがたくさんあります。2年次以降に開講される「心理行動実践研修」という授業もその一つで、心理学と社会をつなげる学びを応援しています。「現場部」は心理行動実践研修の一環として企画されました。

もともとは、現4年生のKMさんたちが、「先生~、どっか工場とか見学に行くサークルとか作っちゃダメですか~?」と言ってきたことがきっかけでした。 それを実現したのが「現場部」です。工場に限らず、とにかく「現場」を見て、そこから心理学的な学びを導こうという企画です。

1回目は、女子少年院と少年鑑別所を見学しました。非行少年たちの心に寄り添って、社会復帰後にまた再び非行や犯罪の道に踏み入れることなく、まっとうに生活していくため手助けをするための施設です。単に悪いことをした若者を懲らしめるのではなく、それぞれの事情に配慮した丁寧な対応に、学生たちは驚いていました。

2回目は、マリンピア松島水族館に行きました。来年5月10日に閉館を予定しているこの水族館で、水族館経営の特徴や、東日本大震災をどう乗り越えたか、お客さんの安全を守るために何をしているか、などの話を伺いました。仙台港に新たにオープンする仙台水族館(仮称)の展示と飼育に、松島水族館の方たちが関わっていくことを聞いて、新しい水族館への期待も膨らみました。

「百聞は一見にしかず」と言います。教員の役割は、“百聞”の機会をどれだけ多く作れるかだと私は考えています。これからも多くの現場を学生さんたちと一緒に訪れたいと思います。