Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
miniココロサイコロin福島
2025/8/15 >> 役に立つ!!心理学コラム
心理行動科学科では,毎年夏休みを利用して,「miniココロサイコロin○○(○○内は,実際に行く県名が入ります)」を開催しています。
このイベントでは,本学科2年生の有志が,宮城県を除く東北5県のいずれかに出向き,前年11月に開催されたココロサイコロ で発表された内容の一部を発表します。
2025年度は,青森・秋田・山形・福島の4県で標記イベントが開催されました。私が担当した班では,福島駅の近くにあるダイユーエイトマックス福島様から場所をお借りし,8月19日(火)・20日(水)の2日間で開催してきました。
今回は,能登半島地震の被災地支援,東日本大震災の被災地支援,そして児童労働問題の解決支援をサブテーマに,どのような募金活動が有効なのか簡便な実験や調査を行い検証した結果を発表しました。会場が1階食料品売り場近くのエスカレーター前のスペースだったことから,多くの方々の目に留まり,なかには40分くらい熱心に話を聴いてくださった方もおられました。東日本大震災関連の内容もあったことから,現在進行形で被災地支援に従事されている方に話を聴いていただけ,発災後15年近く経過した現在でも「震災は終わっていない」ということを発表した学生たちも実感していたようでした(会場をご提供いただいたマックス福島の関係者の皆様,発表を聴いていただいた皆様に感謝申し上げます)。
このように,本学科のスクールモットーである「心理学は机の上だけでは学べない」に則って,学生たちは日々さまざまな実践経験を積んでいます!

発表の様子
7月の心理学コラム:犯罪心理学ゼミ生における社会貢献活動(担当:浅野晴哉)
2025/7/14 >> 役に立つ!!心理学コラム
本年3月、犯罪心理学ゼミ1期生が卒業いたしました。第1期生は、「問題行動」「非行」、「闇バイト」、「犯罪被害者等支援」に関する卒業研究に邁進いただき、現ゼミ生への良き刺激となりました。そこで、今回は本ゼミ生による社会貢献活動を御紹介します。
本年6月2日、宮城県警察が仙台大学において開催した講演において、第1期生の卒業研究にて作成した犯罪被害者等支援に関する教材を活用いただきました。教材名は、「命の大切さを学ぶ教室」です。直接学生が犯罪被害者の方の心理に配慮した面接により作成し、聴講者の「自己肯定感」「生きる意思」などが統計的に高くなるなど命を大切にする効果が実証された教材です。なお、この講演会には本教材作成者の第1期生(2024年度卒)が参加し、県警の方と共に、犯罪が生む影響の大きさを知ってほしいと受講学生へ強く訴えました。
同月17日、宮城県警察が宮城県庁1階ロビーで開催した犯罪被害者等支援広報啓発活動において、現ゼミ生が、司会・進行、交通事故遺族の手記の朗読、県民の方のご案内など、幅広く活動し、同イベントを支えました。交通事故により息子さんを喪失なされたお母さまの手記をゼミ生が朗読すると、聴講なさった県民の方の中には目に涙を浮かべていらっしゃる方もおられ、犯罪が与える影響そして今この場で生きていることの素晴らしさを伝えるものとなりました。
これらの活動は、「心の健康に関する教育及び情報提供」(公認心理師法第2条)及び「臨床心理的地域援助」(臨床心理士資格審査規定第11条)と考えられます。つまり、犯罪被害者等の方々の御協力から作成した教材により、その心情をお伝えすることで、犯罪被害者等支援の促進及び自他の命の大切さを振り返る機会になるためです。
さて、現ゼミ生は、10月に開催される本学学園祭において、「命の大切さを学ぶ教室」を開催することを検討しております。学外の方も聴講可能になります。ぜひ犯罪被害者等支援及び命について共に考えてみる機会にいたしましょう。
上記詳細については、本学社会連携課HP
https://news.mgu.ac.jp/support/news/3388.html
https://news.mgu.ac.jp/support/news/3395.html
及び読売新聞6月21日及び同新聞7月1日朝刊に掲載されております。
それでは、またこのコラムでお会いできることを楽しみにしております。
- 6月2日の開催状況
- 6月17日の開催状況
5月の心理学コラム:ミニチュア寿司に感動(担当:瀧澤純)
2025/5/15 >> 役に立つ!!心理学コラム
卵のお寿司の上に、ミニチュアサイズの卵のお寿司が!
この写真、家族で行った秋田県の回転寿司で撮影しました。娘(1歳)のために注文した卵のにぎり寿司に、このミニチュア寿司が付いてきました。初めての来店でこのサプライズ。感動してしまいました。
ここで考えたのは、「自分がなぜミニチュア寿司に感動したのか?」ということです。
最初に思ったのは、「人は普段より小さくなると感動するのでは」です。でも、大きいお寿司がおまけでついてきても感動できそうだから、小さくなった=感動ではなさそう。ただ、「職人さんの器用さに感動した」という意味では、小さいことが必要だったかもしれない。次に考えたのは、「職人さんが手間をかけて作ってくれたから」です。事前に冷蔵庫に入れておいたミニチュア寿司を提供するだけだったり、機械が握ったりしていたら感動が薄い。やはり、人の気くばりや心遣いに感動するのでしょう。……のように考えたあと、感動に関連する研究を調べてみると、私が考えたようなことはすでに言われていました(戸梶,2001)。
ちなみに娘はこのミニチュア寿司を見て、一瞬で口に入れました。感動しているようすもなく。
戸梶 亜紀彦 (2001). 『感動』喚起のメカニズムについて 認知科学,8,260-368.
4月の心理学コラム:遊びを学びに!(担当:宮下達哉)
2025/4/15 >> 役に立つ!!心理学コラム
はじめまして。2025年4月1日より着任した宮下 達哉(みやした たつや)と申します。初登場です。担当は感性心理学です。今回のコラムでは簡単な自己紹介として,私の研究のきっかけをお話ししようと思います。
私が大学生のころ,お友達と一緒に美術館に行ったときのことです。そこである絵画を観ていた時に,私は「この絵,きれいで好きだなあ」と思ったのですが,一方の友達は「これ,あんまり良くないよ。そんなにきれいでもないし」と評価がまったく違うものでした。そのとき,なんで同じ絵画を鑑賞しているのに,こうも評価が真っ二つに分かれるのだろう?と思いました。こうした評価の違いを,何か心理学的に検討することはできないだろうか,と思ったことが私の研究のきっかけでした。
上記の美術館に行って絵を見たということは,遊びでした(正確には,卒論で煮詰まって息抜きで行った遊びです笑)。タイトルにも書かせて頂きましたが,遊びに行ったときの経験やふとした疑問を,心理学的に検討したらどうなるかという視点は重要だと思っています。思いがけないところに,心理学的な観点から検討できることがあったりします。例えば,「メイクに対する印象」とか,買い物に行って「○○商品のパッケージがカワイイと思った」とか。言い換えれば,心理行動科学科がモットーにしている「心理学は机の上だけで学べない!!」ですね。
日常のいろんなところにある感性心理学を学ぶための種を,学生の皆さんと一緒に考えたり,研究を行っていけたらなと思います。どうぞよろしくお願いします!

第20回日本感性工学会春季大会(2025.03.05)で ポスター発表をしたときの写真です
2月の心理コラム:ヒス構文 (担当:木野和代)
2025/2/14 >> 役に立つ!!心理学コラム
先月実施された大学入学共通テストの国語の問題で「ヒス構文」が登場した、とテスト終了後にSNSで話題になっていました。ヒス構文ということばは初めて聞きましたが、問題文の中の該当部分のやりとりを見る限りでは、「交流分析」における「ゲーム」にあたるのではないかと思いました。
「交流分析」は、精神科医エリック・バーンが創始した心理療法です。簡単で親しみやすいことから、精神分析の口語版ともいわれています。交流分析は、3つの欲求理論と4つの分析理論からなりますが、後者の一つが「ゲーム分析」です。「ゲーム」は簡単にいうと対人関係の中で繰り返される悪い癖のことで、会話を交わしているお互いの間に不快な感情が残るのが特徴の一つです。
代表的なゲームの例として「はい、でもゲーム」があります。これは、 相手に相談を持ちかけておきながら、相手からの提案に対し、「はい、でも」と言って反論を続けるパターンを繰り返すものです。そして、結局は、相手に無力感を抱かせることになります。このような会話を日常で見聞きした経験があるのではないでしょうか。では、ゲームに気がついたらどうしたらよいでしょうか? ゲームが行われているときは、「大人の自我状態」が働いてない状態にありますので、これを働かせることを意識したり、いつもの交流パターンを変えてみたりなどが考えられますが、詳しくは交流分析の理論について知っていただいてからがよさそうです。交流分析については、また機会があれば取り上げてみたいと思います。

毎年10月の大学祭における学科企画「ココロミル」で実施している性格診断では宮城学院式のエゴグラム(MEG)を体験していただいています。エゴグラムは交流分析の構造分析に使われるものです。