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11月の心理学コラム:映画の話『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』(担当:大橋智樹)
2021/11/29 >> 役に立つ!!心理学コラム
「鬼滅の刃」は少年ジャンプに2016年から2020年まで連載されていたマンガ作品です。大正時代を舞台に、鬼と鬼狩りとの戦いが描かれています。2020年には「無限列車編」として映画化され、日本国内の興行収入1位となりました。2019年には『竈門炭治郎 立志編』、2021年には『遊郭編』テレビアニメ化され、さらに続編の放送も決まっている大人気作品です。
この作品の人気の理由はさまざまに考察されていますが、ここでは一つの特徴を取り上げようと思います。それは「悪役の背景」です。多くの物語には正義を行う者と悪を行う者が登場し、それらの戦いを描く作品はとても多いのですが、この作品は悪役である鬼の背景が丁寧に描かれることに特徴があります。
『遊郭編』で戦った鬼は、もともとは貧しい人間の兄妹でした。その二人が鬼になった経緯が、戦いの終わったあとの一話分を使って丁寧に描かれるのです。幼いころから、さげすまれ、うとまれ、社会から排除された先に、彼らは鬼になる道を選んだストーリーが、見る者の心を打つのだろうと思います。
悪役にも優しい光を当てること、それがこの作品の人気の源の一つだろうと私は思います。同時に、私たちの社会はそれを実践できているだろうか。そんなことも考えさせられる作品でした。