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10月の心理学コラム:日本心理学会(担当:友野隆成)
2018/10/15 >> 役に立つ!!心理学コラム
9月25~27日の3日間,仙台国際センターで開催された日本心理学会第82回大会(東北大学主催)に参加してきました。今回は,地元仙台での開催ということもあり,3つのシンポジウムに登壇する機会をいただきましたので,1つずつ振り返ってみようと思います。
まずは,26日の午前中に開催された公募シンポジウム「われわれは“曖昧な世界” にいかに向き合うのか?2―“曖昧さへの態度”概念の精緻化をめざして―」です。私の研究テーマである「曖昧さ耐性」について,知り合いの先生方と去年から始めたシンポジウムです。今回は,「対人場面における曖昧さへの非寛容と曖昧さへの態度の比較」というタイトルで,「曖昧さへの態度」よりも「対人場面における曖昧さへの非寛容」の方が,より抑うつの予測に関して有効であるということを発表しました。全体討論の中で,非常に困難ではあるが,曖昧さのなかにある曖昧さをできるだけなくしていくことが重要であるという話になりました。どこまで曖昧さの曖昧さをなくせるか,今後せめぎあいが続くことでしょう。ちなみに,本学科の学生数名が冷やかしに来てくれました。
続いて,26日の午後に開催された公募シンポジウム「研究活動の行動科学―研究の継続要因を探る―」です。このシンポジウムは第26回日本行動科学学会年次大会と共催であり,企画代表者兼大会長として,企画趣旨の説明を行いました。これまで同一テーマで継続してご研究をされている先生方に,いかに研究を継続させてきたかを熱く語っていただきました。今回は3つのグループの先生方から話題提供をしていただきましたが,グループメンバーの緩い人間関係と相補性,そして科研費獲得が研究継続を促進させる要因として機能していることが垣間見られました。
最後は, 27日の最終セッションに開催された日本心理学会企画シンポジウム「災害復興と心理学」です。このシンポジウムは,日本心理学会の研究助成である,「東日本大震災からの復興のための実践活動及び研究」に採択された研究課題について話題提供を行うもので,私は2015年度の助成に採択された,「義援金寄付行動を対象とした持続可能な被災地支援に関する心理学的実践研究」について話題提供を行いました。2015年度および2016年度の実践ゼミで実施した活動をもとに,義援金を効果的に集めるためには,寄付をしていただける可能性のある方々の特性を把握することや,それに即した情報の提示と募金箱の設置など,ちょっとした工夫が有効であることを発表しました。他の先生方の話題提供は,自殺防止のゲートキーパーや自衛隊員に関するものであり,被災地支援にも色々なかたちがあるということを再確認しました。
以上,内容的には全くと言っていいほど関連がなさそうな3つのシンポジウムでしたが,共通する部分としては「継続性」が挙げられるのではないかと思います。今後も,色々と継続して頑張っていきたいと思います。