Archive for 2月 4th, 2016

1月の心理学コラム 映画の話『シンデレラ』(担当:大橋智樹)

2016/2/4 >> 役に立つ!!心理学コラム

http://www.disney.co.jp/movie/cinderella/gallery.htmlより引用

シンデレラを知らない人はいないでしょう。似たようなお話は世界中にあるそうで、最も古いものでは紀元前のものだとか! でも、もっとも有名なお話はディズニーのアニメ映画でしょう。この作品は1950年(昭和25年)に公開され、60年以上たったいまでも世界中で愛されています。昨年春、ディズニーはこの作品を自らリメイクしました。2015年の日本の映画興行成績第3位、60億円近くを売り上げたそうですから、ご覧になった方も多いかもしれません。

この新作シンデレラは、基本的に旧作を忠実に実写化したものではありますが、補われている部分があります。それは、「シンデレラが舞踏会に行きたがった理由」です。新作では、シンデレラが森で王子に会い、恋に落ちるシーンが描かれています(上の写真)。王子は身分を隠したため、シンデレラは“城に住む普通の若者”だと思いました。彼女は、王子に会いに行くのではなく、その若者に会いたかった。だから、どうしても舞踏会に行きたかった、というわけです。

1950年には描かれなかった“理由”が、2015年に描かれた(描かねばならなかった)。これを私は時代背景のせいだと思っています。1950年当時は、王子様に会いたいと女性が思うことに説明などいらなかったのでしょう。しかし、現代では「玉の輿」を狙う女性はむしろ嫌われる傾向にあります。シンデレラのイメージを傷つけないために、ディズニーはストーリーを足したのではないでしょうか。映画は、その時代を映す鏡でもあるのです。