Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
11月の心理学コラム(担当:木野和代)
2012/11/12 >> 役に立つ!!心理学コラム
案内表示の難しさ
今回も学会参加直後のコラム担当となりました。
この週末の学会会場は武庫川女子大学(兵庫県)。最寄駅からの会場までと会場内の案内がとてもわかりやすかった,というのが一番の印象です。最寄駅までの道中,電車を乗り間違えたり,道に迷ったりの連続だったので,それもあっていっそう素晴らしく思えたのかもしれません。
どこが素晴らしかったかというと,始めて来た人が何に迷うか,会場で想定されるいろんな状況でどんな情報を必要とするかを的確に把握し,それを適切な場所に,そしてしっかりと目につくように案内表示していたことです。
そんなの当たり前,と思う方もいらっしゃるかもしれませんが,こうしたことを整えるのは,簡単なようで難しいことだと思います。人の目線の動きや注意の向け方,行動パターンの予測が行き届いていなければできません。心理学的な分析が活かされたその心配りに感歎!
絶妙な案内といえば,山寺(山形県)の石段カウントダウンのタイミング!
1000段強と聞き,気合いをいれてスタート。登り切りました! 子どもから年配の方まで皆さんどんどん進まれるのに後押しされたのもありますが,「あと○○段」の案内表示が登る意欲の持続にかなり貢献していたと思います。
この案内は1/3ぐらいずつの2ヵ所にありました。100段ごとにあってもうるさいし,500段では間があきすぎる。絶妙のタイミングだったと思います。どうしてこの間隔で案内を立てることにしたのか? どこで引き返そうか迷うのか,データをとった結果だったりして…!?
石段を登り切ったところからの秋の景色をお届けします。
この景色が素晴らしく見える理由(?)をお話しようと思っていたのですが,これはまた機会があったらということで…。
10月の心理学コラム(担当:大橋智樹)漫画に見る心理学
2012/10/23 >> 役に立つ!!心理学コラム
『MONSTER』という漫画があります。『20世紀少年』などで有名な漫画家・浦沢直樹氏による作品です。
1986年ドイツ。頭部に重傷を負った少年ヨハンを、日本人の脳外科医Dr.テンマが助けるところから始まり、その結果巻き込まれてしまう怪物(MONSTER)との12年間余の戦いの物語。
私の研究室には全巻18冊がすべて置いてありますが、たくさんの付箋紙が貼られています。マンガに付箋紙って変だと思いますよね?笑
実は、読み返すたび、心理学的に意味のある描写が含まれていることに気づき、そこに印をつけているからです。たとえば11巻にはこんなシーンが出てきます。
スパイとして訓練を受けたある男が、訓練の経験を振り返るシーン。「その中でも、一番難しかったのは……何だと思う?」とDr.
テンマに尋ねます。スパイの教育で一番難しかったもの…皆さんは何だと思いますか?
彼は満面の笑みを浮かべながらこう答えるんですよ。「笑い方だよ」。
彼は笑顔を絶やさず、人当たりの良い人物。それが訓練されたものだったと…。私たちの周りにも、そういうことは溢れているんじゃないかと思うのです。自然に見える誰かの特徴が、実は不自然の産物だったり。
漫画が教えてくれる心理学的。心理学は何からでも学べるんですよ。
9月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2012/10/5 >> 役に立つ!!心理学コラム
異聴の話
異聴という言葉は,音声が話し手の意図とは異なって聞こえる現象のことを指します.年をとると耳が悪くなり,音声中の子音が識別しにくくなります.すると,「ぺ」が「へ」に,「しゃ」が「ちゃ」に聞こえるという異聴が表れます.加齢による聴力低下は老人性難聴と呼ばれ,高い音から聞こえにくくなっていきます.そのため,加齢によって生じる異聴は,/s/ や /p/ のような高い周波数の成分を含む子音に起こりやすいと言われています.難聴の原因の一つは大きな音を聞くことであり,老人性難聴だけでなく,最近では,ポータブルプレイヤーで音楽を大音量で聞き続けることによって起こる「ヘッドフォン難聴」が問題になっています.日常的に大きな音を聞かないようにすれば難聴になりにくいので,気をつけていれば,補聴器の世話にならずに済みます.
聴力低下によるものだけでなく,マガーク効果のように視覚の影響で違う子音に聞こえる場合にも異聴という用語が使われます.マガーク効果については,いろいろと面白いデモンストレーションを作っているので,改めて紹介したいと思います.また,日立のテレビCMで,「inspire the next」が「expire the next」と聞こえるのも異聴と呼んでよいでしょう.
10月13日(土),14日(日)に宮城学院女子大学の大学祭が開催されます.心理行動科学科では,毎年,「ココロミル」と題して展示発表を企画していますが,今年もより一層面白い企画を準備しています.マガーク効果による異聴をはじめとする聴覚の錯覚現象も展示できればよいのですが,残念ながら周囲がにぎやかすぎるので音のデモは難しいようです.
8月の心理学コラム(担当:工藤敏巳)
2012/8/13 >> 役に立つ!!心理学コラム
「学習性無力感」

7月の心理学コラム(担当:友野隆成)
2012/7/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
「学会デビュー」
今月14・15日に、新潟大学におきまして、東北心理学会と新潟心理学会の合同大会が開催されます。そこでは、私のゼミの大学院生第一期生である鹿内さんが学会デビューを迎え、卒論の内容をまとめたものをポスター発表する予定です。それと同時に、私も指導教員としての学会デビューを果たすことになります。
地方学会は大学院生の登竜門的な位置づけがあり、多くの大学院生がはじめての学会発表を行います。ご多分に漏れず、私の学会デビューも関西心理学会という関西の地方学会でした。先日鹿内さんの指導をしている際、話の流れで当時に作成した私の発表抄録原稿を見せることになり、ふと自分の学会デビューのことが思い出されてきました。
私が学会ではじめて発表した10数年前は、まだ現在のようにパワーポイント全盛の時代ではなく、OHPシートに印刷したものを映写して口頭発表を行っていました。事前に何度も発表の練習をして、万全の状態で当日を迎えたはずでしたが、発表中に映写機器のトラブルが発生し、頭の中が真っ白になったことを今でも覚えています…。
写真:学会デビュー時に作成したOHPシートの原板を、パワーポイントでまとめて印刷したものです(残念ながら、OHPシートを処分してしまいましたので、代用です…)。10数年の間に、学会発表のスタイルも大きく様変わりしました。
なにはともあれ、指導教員のほろ苦い学会デビューを反面教師として、鹿内さんには何事もなく学会デビューを迎え、有意義な経験をしていただきたいものです。最後に、鹿内さんを含め今年学会デビューを迎える大学院生の皆さん、発表頑張ってください!