Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
4月の心理学コラム:サバティカルと里帰り出産と曖昧さ耐性と(担当:友野隆成)
2019/4/25 >> 役に立つ!!心理学コラム
2019年度にサバティカル(特別研修休暇)をいただくことができましたので,第二子里帰り出産立ち会いのため,年度が替わる直前から3週間ほど妻の実家に滞在してきました。
「第二子は出産予定日よりも早く生まれやすい」という話を方々から見聞きしていましたので,サバティカルを利用して予定日前のかなり早い時期から妻の実家で待機していました。しかし,待てど暮らせど生まれてくる気配はなく,そうこうしているうちにいつの間にか予定日を過ぎてしまいました。いつ生まれてくるのかがはっきりしないという,まさに私の研究テーマである「曖昧さ耐性」が鍛えられるような状況です(曖昧さ耐性については,過去に大学ホームページの「教員のリレーエッセイ」で紹介しましたので,興味を持たれた方はそちらもご覧ください)。
結局,第二子が生まれたのは予定日の2日後でした。大幅に遅れたわけでもなく,出産自体も安産で,母子ともに経過は良好でした。振り返ってみれば,想定の範囲内ではあったのですが,生まれるまでの間は,何とも言い難いモヤッとした気持ちになりました(私以上に,妻の方がモヤッとしていたかもしれませんが)。
以上,曖昧さは色々なところに潜んでいるということを再確認した3週間でした。この経験を,サバティカル中の曖昧さ耐性研究に活かしていきたいと思います。
3月の心理学コラム:周りが動いて見える!!!(担当:森康浩)
2019/3/20 >> 役に立つ!!心理学コラム
先日、春休みを利用して家族で山形にあるリナワールドに行ってきました。そこで心理学に関係する体験をしたので紹介したいと思います。
リナワールドには、「パニくるバランス」というアトラクションがあり、最後に待ち受ける動かない橋の周りに時計回りに回る筒状の壁があるという構造になっています(写真参照)。
ちょっと離れてみるとなんともないのですが、橋の上に行くと状況が一転し、橋がぐらんぐらん歪んでいるような錯覚に陥り、橋から落ちそうになります(途中まで行って渡れなくて一回引き返してしまいました・・・)。
これには、運動の知覚についての「誘導運動」が関わっています。誘導運動とは、対象には物理的運動がないのにもかかわらず運動が知覚されることを指しています。例えば、止まっている電車に乗っているときに、周りの電車が動くことによって、自分の乗っている・止まっている電車も動いているのではと錯覚してしまうことをいいます。他にも、月夜の晩に流れる雲がある場合、月が周りの動く雲によって、雲が動く方向と逆の方向に移動するように認識してしまうこともあります。日常に隠れた誘導運動を皆さんも探してみてください。
2月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2019/2/12 >> 役に立つ!!心理学コラム
目と耳の関係
「百聞は一見に如かず」ということわざがあります.百回聞くよりも一回見る方が確かだという意味ですが,目と耳の関係をよく表しています.見えるものと聞こえることが食い違っているとき,われわれは見えるものに頼る傾向があります.これを「視覚優位」と呼びます.視覚優位の代表的な例が,「腹話術効果」です.腹話術で,声は腹話術師の口から出ていますが,人形の口から出ているように感じられます.いっこく堂さんのような神業では,人間の口は全く動かず,人形の口が動くので,動いている口に音声の方向が引き寄せられるのです.パペットマペットさんの場合,口元だけでなく顔全体を隠してしまっていますが,それでも目をつぶれば人形の口ではなく人間の口から声が出ていることがわかります.
心理学の実験では,話している顔の映像の口と音が出ている音源の方向が10度違っても,口から音が出ているように聞こえる,つまり映像優位という結果となっています.20度違うとさすがに口から出ているようには聞こえなくなります.これは,実験室の中でのことであり,疑いを持って判断した結果です.日常生活では,映像に引き寄せられる効果はもっと大きいものです.例えば,大きな教室で,スピーカが横にあっても,先生の声は先生の口から聞こえるように感じられるのです.
このように,空間的な判断は視覚優位となっていますが,時間的な側面は,聴覚優位となる場合があります.ダブルフラッシュ錯覚がその代表的な例です.短いフラッシュが1回光るとき,短い音が2回提示されると,フラッシュも2回点滅したように感じられるという錯覚現象です.音に光が引き寄せられています.耳もやればできるということで,がんばっています.
4年生は1月中旬に卒論を提出し,社会に出る前の最後の学生生活を過ごしています.毎年この時期の思うことですが,卒業しても社会の荒波に負けず活躍してほしいと願っています.

卒業生と食事に行ったら,ドルチェの皿に,シェフが宮城学院の校章を描いてくれました. 感激!‼
1月の心理学コラム:スポーツサイエンスラボ設立(担当:工藤敏巳)
2019/1/26 >> 役に立つ!!心理学コラム
昨年11月に本学における体育・スポーツの振興を推進することを目的として「スポー
ツサイエンスラボ(通称:スポラボ)」が立ち上がりました。
http://www.mgu.ac.jp/main/spolab/
スポラボは、以下の業務を遂行し、その責務を果たします。
①スポーツを通じた本学と高校との連携
②本学のスポーツ系サークル活動の振興
③本学の体育・スポーツに関する資源の地域開放
早速、今年になってソフトテニス講習会を開催し、地域の中高生、指導者の方と交流
しました。1月27日(日)の第3回目の講習は「心のスキルを高める」という内容で
す。具体的には、目標設定、集中力、リフレーミングなどについて解説します。第1,
2回目講習会の受講者には小学生の頃からジュニアチームに所属しソフトテニスを継
続してる方がいました。彼女らのボールコントロールには素晴らしいものがありま
す。しかし、お話を聞いてみると心理的な部分についてはよく理解していないようで
す。ソフトテニス競技に限らずスポーツ競技の結果を左右する要因には、技術、体
力、戦術の他、心理的要因があります。第3回では、そういう部分に振れてみたいと
思います。
また、第4回目はスポーツ栄養学に関する内容、第5回目はコンディショニングに関す
る内容です。まだ、申し込みを受け付けていますので、興味のある方は以下のサイト
(http://www.mgu.ac.jp/spolab/st.html)から申し込んでください。
12月の心理学コラム:映画の話し『SUITS/スーツ』(担当:大橋智樹)
2018/12/30 >> 役に立つ!!心理学コラム
今回は,アメリカの人気テレビドラマシリーズの話をしましょう(日本でもこの秋に織田裕二主演でフジテレビの“月9でリメイクされました)。
舞台はニューヨークの法律事務所。超一流の弁護士たちが,同じく超一流の企業と顧問契約をして企業利益を高めるために昼夜を問わず活躍する物語です。さまざまな困難が,これでもか!というくらいに連発され,登場人物たちはそれらに翻弄されながらも解決を探っていきます。
その中で印象に残ったセリフがありました。主人公のハーヴィー・スペクターが,もう一人の主人公であるマイク・ロスに言う言葉です。
“頭に銃を突きつけられたら、従うか殺されるかの他にまだ146通りある。
正確にはこのセリフは,ハーヴィーの言葉をマイクが紹介する時に使ったのですが,頭に銃を突きつけられられるような究極の状況でも,諦めずに考えろ!ということでしょう。なるほどなぁと思いました。
誰の人生でも困難がつきものです。人から見てたいしたことがなくても,自分にとっては銃を突きつけられるのと同じくらい危機に感じることもあります。諦めなければ常に解決法が見つかる!というわけではないでしょう。でも,諦めたら終わりなんですよね。だから,常にチャレンジすることが大切なのです。
チャレンジできる学生さんをたくさん育てたいなと思いますし,心理学はそれにうってつけな学問だとも思います。大学で心理学を学びましょう!もちろん,本学科をお勧めします!(笑)



