6月の心理学コラム「心のコントロール」(担当:大橋智樹)

2018/7/3 >> 役に立つ!!心理学コラム

サッカーのW杯,ベスト8をかけた決勝トーナメント1回戦。前半を0点に抑えた日本は,後半開始早々,立て続けに2点を取りました。見ていてとても興奮しました。これまで日本のサッカー界にはMFはいるけれどFWがいないと言われてきました。しかし,原口,乾両選手のゴールは,世界トップ選手と比較しても見劣りしないものでした。特に,乾選手は,セネガル戦でのカーブをかけて右サイドネットに突き刺したゴールに続き,今度は無回転のシュートを叩き込んだもので,日本人にもこんなことができる選手が出てきたのか!ととても驚きました。しかし,日本はこの2点を守り切ることができずに,後半アディショナルタイムが終わる寸前にカウンターから3点目を決められて万事休す。ベスト8には進めずに敗退しました。

敗因はいくつもあると思いますが,私はメンタル面の差が大きかったように感じます。代表戦で2年近く無敗を誇るベルギーは,2点を先行されても負けるとは思わなかったことでしょう。それに対し,勝てるかもしれないと思ってしまった日本代表は,追いつかれたことで気持ちが切れたように見えました。平常心を保ってプレイすることができれば,少なくとも延長戦には持ち込めたでしょう。勝機への意識,残り時間への意識,そういった複雑な「心」が負けを呼び込んだように感じます。同じくロスタイムで失点をした1993年の“ドーハの悲劇”からあまり成長していないように思います。

心のコントロールは心理学の目的の一つです。スポーツだけでなく,さまざまな場面でその必要性は高まりつつあります。そんなニーズに応えられる心理学でありたいと思います。

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