4月の心理学コラム 「偶然の重なりその2」(担当:友野隆成)

2018/4/21 >> 役に立つ!!心理学コラム

前回のコラム「偶然の重なり」で,本文とは直接関係のない熊本城の写真を載せました。今回は,その話について書きたいと思います。

前回のコラムでは,昨年9月20~22日に久留米で開催された日本心理学会に参加してきた旨お話しました。一昨年に熊本地震の義援金募集活動を行ったこともあり,せっかく九州に行くのだから熊本へも訪れておきたいという淡い気持ちがありました。いろいろ調べてみると,久留米から九州新幹線に乗れば20分くらいで行けることがわかり,学会の合間に急遽行ってみることにしました。

熊本へは,十数年前に別の学会で行ったことがありましたが,ほとんど記憶が残っていなかったため,ほぼ初めて訪れるような感覚でした(前に行った時は,まだ九州新幹線は走っていませんでしたし)。熊本の市街地の中心部は,東日本大震災時における仙台市の市街地の中心部がそうであったように,復興がかなり進んでおり,一年半前に大地震が発生したとは思えないほどでした。そう,ある場所を除いては。

そのある場所というのが,前回写真を載せた熊本城です。熊本城の修復が終わるまで,20年ほどかかるという話もあるようで,そこの空間だけが時間の流れから取り残されているような感覚がありました。

仙台に戻った後,心理行動実践セミナーの授業時にこの話を受講生の皆さんにしました。そうしましたところ,漠然と熊本地震の義援金を集めることは決まっていたが具体的に何をやるのかが全然決まっていなかったチームから,「熊本城の復興募金を集める活動にしたい」という申し出がありました。そして,以下の写真のようなピタゴラスイッチ風の募金箱を作成し,募金を集めました。

結果としては,残念ながら期待されたほどの効果はありませんでしたが,少ない額でも熊本城の復興に使ってもらえる募金を集めることができました。私が偶然熊本城に訪れていなかったら,この話もなかったのではないかと思います。以上,偶然が偶然を呼んだ出来事のお話でした。

熊本城の復興募金に使用した募金箱(ピタゴラスイッチ風)

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