6月の心理学コラム「映画の話し『スティング』」(担当:大橋智樹)

2017/6/30 >> 役に立つ!!心理学コラム

私は講演などで,「心を読むことを専門としているのは,心理学者というよりはむしろ手品師か詐欺師だ」とお話ししています。手品師は観客をだませばだますほど拍手喝采を受けるという,なかなか珍しい職業です。詐欺師を褒めるわけにはいきませんが,映画ならば許されるでしょう。今回ご紹介する映画は詐欺映画の最高傑作『スティング』です。

1973年公開のハリウッド映画で,ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードという当代の名優が共演したことでも有名です。第46回アカデミー賞で作品賞,監督賞,脚本賞,主演男優賞など7分野もの受賞という高い評価を受けました。

舞台は1936年のシカゴ。ギャングへの復讐のために,大規模な詐欺を仕掛けるという痛快なコメディ映画です。この復讐で重要なのは,詐欺に遭ったと気づかれないようにギャングを騙すという点にあります。“騙す”という行為は,まさに相手の心を読まないとできません。しかし,騙されたことに気づかないように騙すのはさらに高度なテクニックが必要です。この映画は見事な脚本でそれを描いています。

しかし騙されるのはギャングだけではありません。実は,私たち観客が一番,騙されるのです。是非ご覧になって騙される痛快さを楽しんで下さい。

 

 

(※https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51l9NN4g5yL.jpg)

Comments are closed.