Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
1月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2011/1/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
写真うつりの話
写真うつりが悪いと思っている人は多く、女子のほとんどがそう思っていると言ってもいいでしょう。うまく撮れたと思って見せると、「私こんなんじゃなーい」と言われたりします。他人から見ると普通に見えるのにどうして本人はそう思わないのでしょう。
そこにはいくつかの理由があります。
一つは、普段自分の顔として見ているのは鏡に映った像であるということです。人間の顔は左右で異なっています。とくに目の印象は重要で,左右の目の大きさや高さのわずかな違いが鏡映像では大きな違いとして認識されることになります。でも,それだけでは多くの人の写真うつりの悪さを説明できません。
二つ目の理由は、鏡に映ったどの顔を自分の顔だと認識するかです。鏡に向かうとき、人はいろいろな表情をしてみますが、その中で一番いい顔をしたときの顔を自分の顔だと思うのです。そして,その顔を基準にして自分の写真の顔を判断します。
普段の生活では、一番いい顔をし続けることはよほど訓練しないとできないことです。女優さんなどはきっと意識しているのだろうと思いますが、普通の人は油断しています。その油断した顔を写真に撮られると、「違う」、「写真うつりが悪い」と思うのです。
1年生のゼミの学生たちです。この中にも写真うつりが悪いと思っている学生がいるかも…
12月の心理学コラム(担当:高田利武)
2010/12/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
東北新幹線の全通と老人
東北新幹線がついに青森まで全通しました。しかし、鉄ちゃんの私の心境はいささか複雑です。モヤモヤの一つは、3月に登場する超特急が「はやぶさ」であることです。これは絶対に「はつかり」であるべきです。「はつかり」は、それまで東海道・山陽・鹿児島本線にしかなかった特急列車が、1958年10月はじめて東北地方にも登場したときの記念すべき愛称で、その後も長く青森行き特急を代表するものでした。鉄ちゃんにとって「はやぶさ」は鹿児島行き特急のイメージしかありません。
こんなことは、過去を知らなければ全く無意味でしょう。現在の知識の中では、他よりも速そうな「はやぶさ」はすんなりと受け入れられます。私たちが自分自身の能力や性格を評価するとき、過去の自分と比較したり(継時的比較)、いま自分の周囲にいる人と比較したり(社会的比較)しますが、老人は社会的比較より継時的比較を使いがちだという説があります。私も65歳となり、介護保険の「被保険者証」が送られてくるやら、「独居老人調査員」が自宅に来るやら、否応なしに老人意識をもたされるようになりました。せっかくの東北新幹線全通に、こんなことを思うのも老人心理のせいなのでしょう。
(写真は仙台駅での上り「はつかり」、当時のダイヤは、下り(上野12時20分発、仙台17時48分発、青森0時20分着)、上り(青森5時00分発、仙台11時35分発、上野17時00分着)。背景にはパルコもアエルもなく、空が広い…)
11月の心理学コラム(担当:木野和代)
2010/11/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
カモメは遊覧船が好き?
松島観光の遊覧船に乗ったことがありますか? 私は今月3日に乗りました。大学時代の先輩の松島観光にお伴したのです。
遊覧船に乗り込み出港を待っていると,船の周りにはカモメが1羽,2羽…と集まってきました。いよいよ出港。するとそのカモメたちが船の後からついてきます。
なぜでしょう? 動くものを追う習性がある? 遊覧船が好き?
しばらくすると,乗船客が甲板に出てかっぱえびせんを海に向かって投げはじめました。カモメたちはその付近を飛び交います!
そう!カモメたちは餌をもらうために,出港前から遊覧船の周りで待ち構えていたのです。
一連の光景をみて「学習」ということばが浮かびました。
「学習」といっても学校でのお勉強のみを指すわけではありません。心理学用語では,経験により何らかの行動を身につけることを意味します。
この場合,遊覧船が出港すると乗船客がかっぱえびせん(餌)をくれるということを繰り返し経験するうちに,カモメたちは出港前に遊覧船の側で待機し,出港後は船の後を追うという行動を学習した,というわけです。
報酬(餌)が得られる行動を進んでするようになる。飼い犬をしつけるときも同じですね。
カモメが人間に「かっぱえびせんを投げる」という行動を学習させたのかも!?
10月の心理学コラム(担当:大橋智樹)
2010/10/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
受験シーズン突入ですね!
何年か前に、大学院を受験したある学生さんに送ったメールです。
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「考えてもしょうがないことを考えるくらいだったら少しでも勉強しろ」とは言ったけれど、これは「寸暇を惜しんで勉強しろ」という意味ではありませんよ。考えてもしょうがないことを考えさせないようにするために、どう言ったらそれが通じるか、と悩んだ末に出てきた言葉です。
勉強は十分にしていると思う。知識もたくさんある。ただ、それを発揮できなければ、それらに意味はないのです。発揮できる環境を自分の中に整えること、それが、余計なことを考えないこと、なのです。
結果は君が出すのではない。結果は、力を発揮した結果に勝手についてくるのです。知識が100ある人が5しか発揮できなかった場合と、知識が10しかない人がその全てを発揮できた場合と。「試験」で評価されるのは、残念ながら後者なのです。
「発揮する」能力の大切さが、わかるでしょ? そのためには自分を邪魔しちゃいけない。自分に余裕をもたせてあげなきゃいけない。自分を信じてあげなきゃいけない。それが大切なのです。
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どうしたら持てる力を存分に発揮できるか、これも心理学のテーマです。そして、どうしたら誰かを勇気づけられるか、これも心理学のテーマです。
大学入試センター試験の様子
9月の心理学コラム(担当:工藤敏巳)
2010/9/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
“心理戦”
今秋、11月13日から中国の広州市でアジア競技大会が始まります。
私はソフトテニス競技日本代表チームのメンタルサポートだけでなく情報戦略サポートの仕事もしています。情報戦略サポート活動と言われて真っ先にイメージするのは、監督が戦略を立てるため、事前に得た相手チームの情報と試合中の情報を監督に提供する、いわゆる「スカウティング」でしょう。この場合、選手勧誘のことではなく情報収集(偵察)のことを言います。6月にはアジア大会のプレ大会で広州市に行きスカウティングを行ってきました。
実は、情報戦略活動とは情報収集を行うことだけはありません。情報を発信・操作して選手が大会で実力を発揮しやすくするための環境作りを行うことを言います。例えば、日本チームが不利な状況であった場合、その状況を前向きに捉え有利なコメントをニュースで放映したり、日本で応援している方のメッセージをmixiやtwitterを使って選手に配信し、選手のモチベーションを高めます…などなど。今、私が考えていることは「大会会場のホーム化」です。サッカーでも野球でもホームとアウェイを比較した時、ホームの勝率が高いことはご承知の通りです。大会が開催される中国は全くのアウェイですから、ホームの雰囲気をどこまで作れるか頭を悩ませているところです。
着々と工事が進むメイン会場(6月撮影)