Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category

8月の心理学コラム:実はすごい文房具!! (担当: 森 康浩)

2020/8/26 >> 役に立つ!!心理学コラム

世の中にはさまざまな文房具があります。
皆さんはどのような文房具が好きで、愛用していますか。

文房具は文字を書いたり、事務作業をしたりするために用いますが、
人にお願いをするときに効果を発揮する文房具があるのです。
何だと思いますか?

それは「付箋」です
どういう風に使うか想像できますか?

付箋の効果を検証した実験があるのです。
調査に関するアンケートの依頼をする際に、①アンケートに付箋をつけてメッセージを書く、②アンケート自体に手書きのメッセージが書かれている、③アンケートだけを渡すという3つの条件を設定しました。

アンケートの返送率を測定しました。
その結果、①の条件では、75%以上の人が返送してきました(Garner, 2005)。
この背景には、「返報性」というものがあると説明されています。
返報性とは、恩を受けたら、それに報いなければならないという人の傾向です。
誰かに誕生日プレゼントをもらったら、相手の誕生日にはプレゼントあげなきゃなと思いませんか?

つまり、人にお願い事をしようとするときに、ただ単にそのものだけを渡すのではなく、渡すものに付箋をつけて、皆さんの言葉で依頼することに一言添えると相手が応じやすくなります。

試してみて下さい。

7月の心理学コラム:オンライン学会(担当:友野隆成)

2020/7/17 >> 役に立つ!!心理学コラム

新型コロナウィルスが猛威を振るい,前期の授業もオンラインとなってからはや2か月が経過しました。私も学生の皆さんと一緒に色々と試行錯誤しながら,何とかそれなりのスタイルを確立しつつあるように思います。

一方,コロナの影響は学会活動にも及び,今年度の学会大会は参加を予定していたものを含め軒並み来年度に延期されたり,オンライン開催となったりしています(私が準備委員を務めていた健康心理学会の大会も学会主催のバーチャル大会に変更となり,大会開催前に途中でお役御免になるという非常にレアなことになってしまいました。いくつか大会準備委員会企画シンポジウムの企画案のたたき台を作っていたのですが,準備委員会で議論することもなく全てお蔵入りになってしまったので残念です)。

これまでの対面での学会大会とは異なり,色々と不便なことも出てくるでしょうが,研究発表の中身自体が変わるわけではありませんし,寧ろオンラインによる恩恵もあるかと思いますので,このような状況になってしまった以上楽しんでオンライン開催の学会大会に臨みたいと考えています。これまでにオンライン授業で培った経験を活かして(!?),有意義な大会参加にしたいです。そのために,まずは抄録の原稿を仕上げねば(このコラム執筆時には,まだ半分くらいしかできていません。頑張ります)。

6月の心理学コラム:映画の話『I Feel Pretty』(担当:大橋智樹)

2020/7/1 >> 役に立つ!!心理学コラム

 

多くの女性にとって外見の美しさは自分に自信をもつための大事な要素のようです。お化粧は美しさを手に入れるために必須の手段で,あの手この手を駆使して理想の美しさに近づこうとします。最近ではスマートフォンアプリの画像加工技術も高度化し,芸能人でも使っている人がいるとかいないとか…。

 

この映画の主人公レネーもそんな「美しくなりたいと思っている女性」の一人です。モデル雑誌の表紙を飾るような美しい容姿や体型をしていない(と思っている)彼女は,ある日,ジムで転倒して頭を強打します。しばらくして意識が戻った彼女は,自分の体を見て驚きます。意識を失っている間に自分が,とびっきりのスタイルと誰もがうらやむような美貌の女性に変わっていたからです!…と,彼女には見えていますが,実際は何も変わっていません。自分が絶世の美女に見えているレネーの生活は一変し,人生もどんどん開けていきます!(外見は変わらないのに!)

ある時,再び頭を打った彼女は,自分が“元に戻った”と思い,落ち込みます。そして最後には,実はもともと変わっていなかったことに気づきます。この過程の自然な描き方もこの映画の見所です。しかしそれ以上に,主人公レネーから私たちはたくさんのことを学べます。美は外見ではないこと,絶世の美女や大富豪にも悩みはあること,自分の力を活かせば外見を超えられることetc.

 

外見は大事です。美しいことも素晴らしいことです。でも私たちはもっと大切なものをもっているはず。そんなことを考えさせてくれるとても良い映画です。

5月の心理学コラム:ダイナミックなオンライン授業を試す(担当:工藤敏巳)

2020/6/15 >> 役に立つ!!心理学コラム

5月から始まったオンライン授業について、学生に感想を聞くと、「画面が動かないので集中力が持続できない」などの声があがる。そこで、今回のコラムでは、備忘録を兼ねてダイナミックなオンライン授業の構築について書く。

 

必要なツールは、zoom(GoogleMeetやMicrosoftTeamsでもよい)、OBS Studio(無料)、iPadなど手書き可能なタブレットである。私は、対面授業でもiPadを使っているので、これは欠かせない。

OBS Studioの初回起動時に、映像配信の構成か単に録画の構成で利用するのか選択する画面が表示されるので、ここでは録画構成に設定しておく。

まず、シーンを設定してから、ソースを選択する。ソースについては、授業に応じて表示させたいものを選択すればいい。エクセルを表示させたり、iPadを表示させたり、必要に応じて、シーンを切り替えて使う。

通常、映像キャプチャーデバイスはWebカメラの映像であるが、私はiPhoneのカメラを使っている。PCとiPhoneにiVCam(https://www.e2esoft.com/ivcam/)というソフトをインストールしておいて、同じルーター上にPCとiPhoneを接続していれば、遅延もなく高画質な映像を扱える。

iPadの画面を表示させるには、ApowerMirrorというソフトを使っている。無料の場合、PC画面に透かしが入る仕様になっているが、OBS Studioに表示させると透かしが消えている。バグなのか。zoomのiPad画面共有ではワンクリックで切り替わらないが、OBS Studioはワンクリックで切り替えるので大変便利である。

OBS Studioにはかなりの数の設定項目があるが、少しづつ調べ最適化していこうと思う。

 

 

4月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2020/5/8 >> 役に立つ!!心理学コラム

魅力の心理学

多くの女子学生が魅力にかかわる心理学に興味を持っており,ゼミや卒論のテーマとしてファッションや化粧を取り上げることがあります.化粧やファッションには目の錯覚を利用したものがあり,データに基づく実証的な研究が行われています.例えば,パンダの目は,周囲に黒い部分があるために実際よりも大きいと判断されます.この現象は,領域誤認効果(パンダの目効果)として学術的に研究されているのです.また,アイシャドウは,目の陰影による奥行き処理を利用しています.私たちは上方から光が当たっているものとして陰(かげ)を解釈しています.シャドウを入れると,自然にそこにはでっぱりがあるように見えるのです.

日本人は,錯覚を利用したものを含め,精細な化粧が得意なようで,そのテクニックはアメリカのショウビズ界でも高く評価されています.映画「フラッシュダンス」などのメイクを担当したカオリ・ナラ・ターナーはエミー賞を受賞しているし,数々の映画で特殊メイクを手掛けた辻一弘も昨年アカデミー賞を受賞しています.

そのようなテクニックは,また,「詐欺メイク」としてSNS上で多くの「いいね」を獲得しています.「盛れる」フォト加工アプリとメイクテクニックは,若い女性の強い味方になっているようです.

今年度はcovid19の影響で,さまざまな活動が制限されていて,まだ新入生を大学に迎えることができていません.そんな中でも遠隔での授業を始めることとなります.ほとんどの教員や学生にとって初めての経験であり,手探りで始めることとなります.

行動を自粛しながら,一日も早く平常通りの大学生活が始められることを願っています.