2013年度木野ゼミ『卒業研究』における研究成果

2014/10/3 >> 学生による実践研究成果

2013年度の木野ゼミ『卒業研究』の成果から,2014年2月23日にAER 5F 情報・産業プラザで開催した「MG-Pスクエア」において報告したポスター資料を以下に掲載します。

 

● 発表1 ●

社会的共有による怒り感情の鎮静効果-怒り対象との関係性と受け手の受容的反応の違いに着目して-(pdf: 約290KB)

発表者: 阿部春菜

概要: 腹が立ったことを誰かに話すと怒りが鎮まることもありますが,いっそう腹が立つときもあります。その違いはどこにあるのでしょうか。

この研究では,①怒りの原因となっている出来事がどんな出来事なのか,②聞き手の反応の仕方の2点に着目して,誰かに話した怒りが鎮まるかどうかを検討しました。

 

● 発表2 ●

叱り方の違いが受け手の認知的評価と自己成長感に及ぼす影響-指導的立場の違いと性別に着目して- (pdf: 約710KB)

発表者: 伊藤安珠

概要: 教育的指導として叱ることがありますが,どのような叱り方をすれば,叱られる側の成長につながるのでしょうか?

この研究では,中学生を対象に,自己成長感に注目して,①叱る立場の教師や先輩が考える適切な叱り方と,②叱られる立場からみた適切な叱り方を検討しました。

 

● 発表3 ●

第三者からの事前情報と対面時の視線量が印象形成に及ぼす効果 (pdf: 約300KB)

発表者: 布田亜弥 ・河野真美 ・ 渡邊美奈子

概要: 初対面の相手にたいして,会う以前から得ていた情報で何らかの印象を抱いていることがあります。そして実際にお互いが対面したときに,その印象が変化することもあります。

この研究では,①事前に得ていた情報の善し悪しと,②対面したときの相手からの視線量の多い少ないの組合せで,相手に対する印象がどのように異なるのかを検討しました。

 

9月の心理行動科学科

2014/10/1 >> 今月の心理行動科学科

9月はAO入試一次、二次が行われました。

9/6,9/7は山形の遊学館と盛岡のイオン盛岡南でminiココロサイコロを開催しました。山形では「視覚イリュージョン」、盛岡では「続々・義援金を寄付する心理」をパネル発表しました。

9/19から後期授業開始。

下旬にはすっかり秋の気候になり、街路樹も色づき始めました。

10/4(土)の午後は秋のオープンキャンパスが行われます。爽やかな秋のキャンパスに皆様どうぞおいでください。

9月の心理学コラム 記憶の話 (担当:佐々木隆之)

2014/9/30 >> 役に立つ!!心理学コラム

私たちの記憶は,実はそれほど確かなものではないということがわかっています.先日,子どもが小さいころのビデオを見ていたとき,記憶の変容を経験しました.オランダでは,毎朝,子どもを学校に送って行っていたのですが,ある日,車の前に犬が飛び出してきました.急ブレーキをかけて止まったので,犬は無事でしたが,車は無事ではありませんでした.助手席にいた子どもが急ブレーキのために頭をフロントガラスにぶつけ,フロントガラスにひびが入ってしまったのです.幸い,子どもの頭は無事でした.フロントガラスの傷はクモの巣状で,かなり大きかったと記憶していました.しかし,ビデオで見ると,思ったよりも大きくなく,クモの巣というよりは放射状でした(写真1,写真2).

写真1

写真2

記憶の中で,違いは強調され,特徴は極端な方向に変化する「強調化」が生じることが知られています.フロントガラスの傷の記憶には,この強調化が生じたものと考えられます.記憶の変容には,強調化の他に,「典型化」も生じます.カーマイケルたちの古い研究では,絵を記憶してもらうときに,名前を付けると,その人にとってのその名前の典型的な形に近づくように記憶の中身が変化しました.記憶の変化というのは面白いものです.

 

ところで,大学祭が近づいてきました.学生は一生懸命準備に取り組んでいます.宮城学院女子大学の大学祭で,心理行動科学会の企画は,昨年,一昨年と2年連続で「MG-1グランプリ」をもらっています.最も面白い企画と評価されているわけで,名誉なことです.今年も皆さんに楽しんでもらえるものと思います.是非足を運んでください.

8月の心理学コラム 人とPCとの接点(1)(担当:工藤敏巳)

2014/9/20 >> 役に立つ!!心理学コラム

今回からリレーエッセイはシリーズものにすることにしました。

今回は人とPCとの接点(1)ということで、人とPCとの関わりについて書いていこうと思います。

人とPCの間で情報をやりとりするための接点をユーザーインターフェース(UI)と呼んでいます。今、PCを操作するのにキーボードとマウスを使いますね。キーボードで文字を入力したり、マウス操作をすることで何からの意図的な行為をPCに知らせます。ファイルのアイコンにマウスポインターを合わせ、別のフォルダーにドラッグするとファイルがコピーできるといった具合です。
ところが、30年くらい前のUIは、キーボードだけでした。例えば、ファイルをコピーするには、キーボードからcopy ファイル名 ドライブ名+ディレクトリ名(フォルダー名)と打ち込んで、最後にエンターキーを押しました。そうすると、対象とするファイルを指定のフォルダーにコピーできました。このcopyコマンドの解釈はOSと呼ばれるものが管理しています。今はWindowsと呼ばれていますが、昔はDOSと呼ばれていました。現在もこのインターフェースは残っています。Windows8をお使いなら、デスクトップ画面を表示させて、画面の左下にあるWindows ロゴを右クリックしてみてください。コマンドプロンプトと呼ばれるメニューが表示されるでしょう。これがMS-DOSという昔のコンピューターの名残りです。起動するとコマンド待ち状態になっているので、そこにキーボードからコマンドを入力し、いろいろな操作を行ないます。いわゆるCUI(Character User Interface)と呼ばれるインターフェースです。
その後、今は亡きApple社のステーブジョブスさんがUNIXで使われていたマウスを一般のPCに導入し、MachintoshというPCを発売したのです。マックの愛称でよく知られていると思います。GUI(Graphical User Interfece)の始まりです。

https://www.youtube.com/watch?v=0ofJx4LiSYQ

次回は、人とPCとの接点(2)について書こうと思います。

 

 

7月の心理学コラム 「現場部」始動!(担当:大橋智樹)

2014/9/20 >> 役に立つ!!心理学コラム, 現場部

心理行動科学科のモットーは、「心理学は、机の上では学べない」です。これは、心理学を学ぶ際には、学問と社会とのつながりを意識しながら学ぶことが大事だと考えている現れです。

心理行動科学科には、そのための実践的なカリキュラムがたくさんあります。2年次以降に開講される「心理行動実践研修」という授業もその一つで、心理学と社会をつなげる学びを応援しています。「現場部」は心理行動実践研修の一環として企画されました。

もともとは、現4年生のKMさんたちが、「先生~、どっか工場とか見学に行くサークルとか作っちゃダメですか~?」と言ってきたことがきっかけでした。 それを実現したのが「現場部」です。工場に限らず、とにかく「現場」を見て、そこから心理学的な学びを導こうという企画です。

1回目は、女子少年院と少年鑑別所を見学しました。非行少年たちの心に寄り添って、社会復帰後にまた再び非行や犯罪の道に踏み入れることなく、まっとうに生活していくため手助けをするための施設です。単に悪いことをした若者を懲らしめるのではなく、それぞれの事情に配慮した丁寧な対応に、学生たちは驚いていました。

2回目は、マリンピア松島水族館に行きました。来年5月10日に閉館を予定しているこの水族館で、水族館経営の特徴や、東日本大震災をどう乗り越えたか、お客さんの安全を守るために何をしているか、などの話を伺いました。仙台港に新たにオープンする仙台水族館(仮称)の展示と飼育に、松島水族館の方たちが関わっていくことを聞いて、新しい水族館への期待も膨らみました。

「百聞は一見にしかず」と言います。教員の役割は、“百聞”の機会をどれだけ多く作れるかだと私は考えています。これからも多くの現場を学生さんたちと一緒に訪れたいと思います。