9月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2012/10/5 >> 役に立つ!!心理学コラム

異聴の話

異聴という言葉は,音声が話し手の意図とは異なって聞こえる現象のことを指します.年をとると耳が悪くなり,音声中の子音が識別しにくくなります.すると,「ぺ」が「へ」に,「しゃ」が「ちゃ」に聞こえるという異聴が表れます.加齢による聴力低下は老人性難聴と呼ばれ,高い音から聞こえにくくなっていきます.そのため,加齢によって生じる異聴は,/s/ や /p/ のような高い周波数の成分を含む子音に起こりやすいと言われています.難聴の原因の一つは大きな音を聞くことであり,老人性難聴だけでなく,最近では,ポータブルプレイヤーで音楽を大音量で聞き続けることによって起こる「ヘッドフォン難聴」が問題になっています.日常的に大きな音を聞かないようにすれば難聴になりにくいので,気をつけていれば,補聴器の世話にならずに済みます.
聴力低下によるものだけでなく,マガーク効果のように視覚の影響で違う子音に聞こえる場合にも異聴という用語が使われます.マガーク効果については,いろいろと面白いデモンストレーションを作っているので,改めて紹介したいと思います.また,日立のテレビCMで,「inspire the next」が「expire the next」と聞こえるのも異聴と呼んでよいでしょう.
10月13日(土),14日(日)に宮城学院女子大学の大学祭が開催されます.心理行動科学科では,毎年,「ココロミル」と題して展示発表を企画していますが,今年もより一層面白い企画を準備しています.マガーク効果による異聴をはじめとする聴覚の錯覚現象も展示できればよいのですが,残念ながら周囲がにぎやかすぎるので音のデモは難しいようです.

写真:大学祭に向けて毎日準備をがんばっている学生の委員たちです.

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