8月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2016/8/29 >> 役に立つ!!心理学コラム

「縁起を担ぐ」話

オリンピックも終わりましたが,スポーツ選手が「縁起を担ぐ」話を耳にします.「験(ゲン)を担ぐ」という表現もあります.ちなみに「ジンクス」は縁起の悪いものや運が悪いことに使う言葉で,「験担ぎ」の代わりに使うのは間違いです.縁起を担ぐ行動の多くは,前に書いた学習によって身に着けたものと考えられます.ゴルフの石川遼選手が最終日に身に着けるウェアの色は,高校生の時に最初に優勝したときのもので,優勝という報酬が得られたことによって,繰り返されるようになったものと解釈されます.
スポーツ選手の中でも,プロ野球の前田健選手(広島東洋カープから大リーグロサンジェルス・ドジャースに移籍)は,えんぎ担ぎのルーチンが多いことで有名です.登板の前日から数えると22個もあるそうです.その中で気になるのが「グラウンドに入るときには左足から」と「ラインは左足でまたぐ」というものがあります.他の20個は意識して行っているのだろうと思いますが,この2つはちょっと違っている可能性があります.実は,マエケンさんが意識しなくても,グラウンドに入る足やラインをまたぐ足は決まっているのです.皆さんも階段を上るときの1歩目や線をまたぐときの足は無意識のうちに決まっています.わかりやすいのは,パンツをはくときに先に入れる足が決まっていることで,逆にすると大きな違和感を覚えます.日常生活の多くの行動は,無意識のプログラムで順番が決まっていて,それを崩すと滑らかな行動にならなくなってしまうのです.マエケンさんの場合,意識しないと右足から入るので,意識してそれを代えているというのであれば,意味のある験担ぎということになりますが,そうでなければ取り立てて言うようなことではないのです.

夏休みも終わり,大学祭が近づいてきました.今年も来場される皆さんに楽しんでもらえるよう,心理行動科学会の学生たちが準備に取り組んでいます.10月15日(土),16日(日)の両日ですので,是非ご来場ください.写真は,今年度の大学祭企画を運営している学生たちです.

 

 

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