Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
8月の心理学コラム(担当:友野隆成)
2010/8/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
研究室と観葉植物と私
私は、今年の4月に宮城学院に着任しました。3月までは京都に住んでいたのですが、宮城学院着任を機に大きな環境の変化がありました。気候、食文化、言葉、視聴できるテレビ局等々、様々な変化に直面しました。そして、個人的に大きな変化だったのが、初めて専任教員として採用され、個人研究室を持つことができたこと、それに付随して、観葉植物を育てることになったことです。
研究室を開設して間もない頃、とある方より観葉植物をいただきました。元来面倒臭がりな性格である私が観葉植物など育てられるのだろうか、当初は一抹の不安を抱えていました。その不安を解消すべく、ネットで育て方を検索し、ホームセンターで肥料を買い、せっせと水やりをしました。すると、最初は4枚だった葉が6枚に増え、今でも枯れずに元気に育っています。
パーソナリティ心理学では「性格は変わるか?」という永遠の命題が良く議論されますが、私は観葉植物をきっかけにほんの少しだけ面倒臭がりな性格が変化したような気がします(気がするだけかもわかりませんが…)。性格は、もしかしたらちょっとしたことがきっかけで、少しだけでも変わるものなのかもしれませんね。
7月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2010/7/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
リズムの話(1)
日本人は3拍子のリズムが不得意だと言われます。確かに、明治以前の日本の古い音楽には3拍子のリズムはなく、2拍子系の音楽しかありません。「真室川音頭」や「佐渡おけさ」、「阿波踊り」のように8分の6拍子の音楽はありますが、これも2拍子とみなしてよいでしょう。千昌夫の「星影のワルツ」は往年の名曲ですが、この曲に合わせて聴衆が手拍子を打つと、1拍目、3拍目、2拍目、1拍目、…、と奇妙なことになります。欧米人ならばきっと3拍子を感じ取って1拍目に手拍子を打ち続けることになるでしょう。
音楽のリズムを研究していると、このように、民族や文化によってリズムの感覚が異なることに気づかされることがあります。一方で、民族や文化の違いを超えて知覚の特徴が共通に表れる場合があります。私は、20年以上にわたりオランダの研究者と一緒に研究を行っていて、日本人とオランダ人を比較することがあります。私たちが行っている研究では、どちらの国の被験者でも同じような結果になることが多いのです。
今、ワールドカップサッカーの真っ最中ですが、昨日(7月6日)の早朝には準決勝がありました。先週、研究の打ち合わせのためにオランダに行ったのですが、共同研究者のお宅で一緒に日本チームの試合を見ました。もちろん共同研究者も日本を応援してくれました。付き合いとしてはサッカーのような研究以外の話題もとても重要です。そこで、昨日は朝3時半に起きて応援することになったわけです。ついでに、今日も一日、オランダの国の色であるオレンジ色のユニフォームを着て勝利を祝いました。
写真はゼミの授業風景です。右端にオレンジのユニフォームが…
※佐々木先生の教員リレーエッセイはこちら
6月の心理学コラム(担当:高田利武)
2010/6/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
他人への目を自分にも向ける
私たちはよく集合写真を撮りますね。この写真は4月の新入生オリエンテーションキャンプ時のものです。私は最後列の右から4番目にいます(矢印)。どうして分かる? 自分の顔や姿の特徴を知っているからです。となりの佐々木先生も分かります。彼の特徴を知っているからです。でも、今はまだ新入生諸姉は誰が誰だか全然分かりません…
写真の中の人を、私は対象として眺めています。私の視線はその人々に向かっています。同じように、私の視線は私に向かっています。つまり、私は私を対象として見ているのです。「佐々木先生を知っている」ように「私自身を知っている」のです。もし、学生諸姉が分からないのと同じように、私自身が分からなくなったら… 大変なことです。
「自分を対象として見る」ことは、一部の類人猿を除けば人間だけができます。人間でも赤ちゃんなどにはできません。私は最近、昔に比べ「丸くなった」と言われます。もしかしたら、私は自分を対象として眺めるくせがつき、私の欠点を自分で直そうとしたせいかもしれません。もしそうなら、それは心理学を学んだメリットだったのかも…
※高田先生の教員リレーエッセイはこちら
5月の心理学コラム(担当:木野和代)
2010/5/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
映画で学ぶ心理学(1)
『12人の優しい日本人』という映画をご存知ですか。私が好きな作品の一つです。
「もし日本に陪審員制度があったら」という設定で,ある男性の死が殺人か事故か,被告人の殺意をめぐり12人の陪審員が激論を交わします。この議論の過程がとても面白いのです。外見で人を判断したり,個人的な問題を投影したり…。コメディですのでデフォルメされていますが,他者の内面的な特徴や心理過程を私たちがどのように捉えようとするのかがよくわかります。このような過程は、心理学では対人認知の問題として扱われています。
また,目撃証言と事実をつないで現場の状況を推論していくところは見所です。目撃証言の信憑性について考えるには記憶に関する知識が役立ちます。心理学は多くの実験に基づいて記憶のメカニズムを明らかにしてきました(詳しくはいずれコラムに登場するかも!?)。
裁判員制度がスタートして1年。裁判員制度は陪審員制度とは異なりますが,この映画は裁判において人の心がどのように働くのかを考える一つの材料となりうるように思います。そんなことも考えながら12人の行動を観察すると,単なるコメディとして以上に作品をたのしめるかもしれません。興味をもたれた方,一度観てみてはどうでしょうか。
4月の心理学コラム(担当:大橋智樹)
2010/4/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
先生と話していると恐い?
オリジナルサイトでの初めての心理学コラムを担当することになりました大橋智樹です。産業・経営心理学ゼミを担当しています。
美ら海水族館で愛娘とパシャリ!
このコラムは、心理学の研究にたずさわる心理行動科学科の教員が、交代で心理学の魅力をお伝えするコーナーです。毎月10日前後の更新となりますので、どうぞおつきあい下さい。
さて、初回はこの話から入りたいと思います。「先生と話していると恐い」。これ、よく言われることなんです。初対面の方とお話をしていて、「大学で心理学を教えている」とお伝えしたあとの反応です。
心理学を教えている=心理に詳しい=心を読める=見透かされそうで恐い、という連想が成り立ってしまうようですね。でも、実は心理学を勉強していても心を読めるようにはなりませんし、心を読みたいから心理学を勉強しているわけでもないのです。
じゃぁ心理学ってどんな学問か? その答えは、このサイトで少しずつお見せしていきたいと思います。サイトでは、私たち教員だけではなくて、学生さんの声や、学科の活動報告など、リアルタイムに学科の姿を発信します。心理学を研究・勉強する心理行動科学科の生の姿を読み取っていただけたらと思います。