Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
8月の心理学コラム(担当:高田利武)
2011/8/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
地震の夢
私は毎晩いろいろな夢を見ます。夢の内容に影響する要因は何でしょうか? フロイトの説は面白いですが、それが全てとは到底思われません。脳科学によって明らかにされる日が待たれるような、同時に怖いような気がしますが、自分が体験した事実が夢の内容に関係していることは確かでしょう。
さて、またまた鉄道の話です。子どもの頃から高嶺の花だった寝台車に乗るのが、私は大好きです。その寝台車で過ごす夜に、地震の夢を見ることが多いのです。列車がガタガタと揺れている現実が、夢の内容に影響しているに相違ありません。
大変だと思って目が覚めたとたん、「地震じゃない、寝台車に乗っていたのだ」と分かったときの幸せな感じ、何とも言えません。寝台車のベッドで過ごす時間は私にとって至福の時です。ところが悲しいことに、3月11日以降、地震だと思って目が覚めたら、本当に地震だったという経験が多くなりました。
でも、もっと悲しいのは、寝台車自体が絶滅しようとしていることです。私が多く利用した「富士」「さくら」「あかつき」「銀河」「北陸」… 皆この数年間に消滅し、観光目的ではない列車で寝台車が連結されているのは「あけぼの」「日本海」「はまなす」だけになってしまいました。これらももはや風前の灯火です。列車が廃止になるときは、私の生き甲斐も無くなるとき… と予感しています。
写真の解説文
「あけぼの」の寝台券。この他に乗車券が必要です。経済的にも時間的にも、もはや寝台特急が実用的な交通手段ではないことは、残念ながら明白です。
7月の心理学コラム(担当:友野隆成)
2011/7/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
研究室と観葉植物と大震災と私
今から約7ヶ月前、研究室で育て始めた観葉植物のことを当コラムで御紹介させていただきました。今回は、その続き話を…
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この書き出しで、私は3月上旬に当コラムの原稿を書いておりました。観葉植物が更に成長したが、ほとんど変わらない葉とどんどん成長する葉の2パターンがある、というお話でした。原稿を書き上げ、あとは更新されるのを待つだけとなりましたが、3.11の
大震災によってせっかく書き上げたコラムは更新されずお蔵入りになってしまいました。
震災発生時は、私は研究室にいたのですが、携帯の緊急地震速報のけたたましい音に胸騒ぎを感じ、比較的大きな机の下に潜りました。程なくして、過去に経験したことのない激しい揺れが襲ってきて、あり得ない勢いで本棚が倒れてきました。地震がおさま
るまでの長い長い数分間、私は生きた心地がしませんでした。机の下にいたので幸い私は無傷で済みましたが、観葉植物は下敷きになって駄目だろうと半ば諦めていました。しかし、観葉植物は私同様奇跡的に無傷でした!しかも、震災後落ち込んでいる私を
尻目に、何事もなかったかのようにまた新たな葉を生やし、成長を続けています。
パーソナリティには、困難な状況に陥ってもそれを乗り越えて精神的健康を維持することができる“レジリエンス”という概念があります。私の研究室の観葉植物には、相当なレジリエンスがあるのかもわかりません。私もそれにあやかりたいと思った、震災
後の日々でした。
6月の心理学コラム(担当:木野和代)
2011/6/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
相互作用
しばらく中断していたコラム。先月から再開し,新しい原稿がアップされています。
しかし,全ての投稿が掲載されたわけではありません。実は震災直前に昨年度最後の原稿が担当学生から届いていました。
一年間のふり返りと新学期への期待を綴った,意欲あふれる内容です。遅くなりましたが,以下にご紹介します。
こうした学生の意欲は教員を動かす原動力でもあるのですよ。
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こんにちは!3月のエッセイを担当します、1年の小笠原早希です。
長いと思っていた春休みも残り少なくなり、なんだかあっという間だったなと感じます。
あっという間といえば、入学してから1年が経ってしまうことです!!
1年をふり返ると、一人暮らしやサークル活動、大学祭やココロサイコロ…と、はじめての経験ばかりでとても充実したものでした(*^ω^*)!
さまざまな経験の中で最も印象に残っていることは、実践ゼミでの活動です。私はこの1年間、木野先生の実践ゼミで『コミュニケーション能力を鍛える』という体験学習をしてきました。集団での話し合いや相手への説明など、コミュニケーションをとる際の難しさや気をつけることなどに気付くことができました。普段は意識していないことを、改めて意識することで自分の考え方や発言の仕方が変わりました。そして、その体験学習で学んだことをココロサイコロでの『初対面の人とのコミュニケーション』にも繋げることができました!緊張したけど良い経験になったと思っています(^ω^)
来月からは2年生!より楽しく、より充実した1年にしたいです^0^!
はやく学校でみんなに会いたいですね♪
5月の心理学コラム(担当:大橋智樹)
2011/5/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
大震災を経験して
あの日、私は福島県の浜通りにいました。原子力発電所の保修作業をおこなう会社の安全大会で講演をするためです。14:20に常磐線富岡駅で降り、迎えの車で会場に移動して控室に入ったところでした。講演は14:50から開始する予定でした。
そろそろ講演会場に移動しようかと思った時、震度6強の揺れが襲ってきました。長くて、激しくて、そしてひたすら長い、そんな揺れでした。富岡駅は私が降りた1時間後に津波にのまれ、次の列車は少し手前の駅でぐにゃりと折れ曲がりました。まさに九死に一生を得る、そういうタイミングでの被災でした。
その後、今日までずっと、いろんな事を考えさせられてきました。中でも、研究者として築き上げてきた考え方や生き方を、根こそぎさらわれたかのような喪失感との戦いはなかなか壮絶でした。もちろん、3ヶ月が経とうとしている今でも、それらを取り戻すには至っていません。まだまだ戦いは続きそうです。
しかし、研究者にとって最も大切なことは、物事をどれだけ多面的にとらえられるか、だ。私はそう考えていますから、つちかったものを失うつらさよりも、これを機に新たに何かが自分の中に芽生えることに期待しています。
東北の地が、いつの日にか、新たな芽吹きとともに震災からの復興を遂げますことを。大学も、学科も、そして私たち教員も、被災地域の一員としての責務を果たしていきます。
2月の心理学コラム(担当:工藤敏巳)
2011/2/27 >> 役に立つ!!心理学コラム
「負けの代表」
9月のコラムではアジア大会ソフトテニス競技でのサポート活動について書きました。今回は競技戦績を報告したいと思います。女子は団体戦・個人戦ダブルスで金メダル、個人戦ダブルスで銅メダルを獲得しました。男子については団体戦が銀メダルで惜しくも金に届きませんでした。個人戦ダブルスでは銅メダル2つ、個人戦シングルスでは銅メダルを獲得しました。
女子団体戦で金メダル!!
男子団体戦ではあと1点取れば金メダルという状況で、国際的なメジャー大会が初めてとなる中本選手(大学3年)がシングルスに登場し、マッチポイントを4本握っていながらも最後の1点が取れず、逆転負けを喫してしまいました。結局、銀メダルでした。応援に駆けつけてくれていた福井烈氏(元プロテニスプレイヤー、JOC理事)からは「この1点を取るために何年も努力しなければならない」と厳しいコメントをいただきました。また、翌日ベンチを訪れた市原則之団長や橋本聖子氏(冬季アジア大会団長)からは労をねぎらう言葉をいただきました。
周囲の方は銀メダルの獲得は素晴らしいと思われるかもしれませんね。しかし、選手にとって銀メダルは所謂「負けの代表」ですから、過去に経験したことのない悔しさを味わったことでしょう。選手が世界のトップに達していく過程で全く負けないで成長することは考えられません。幾度かの負けを繰り返し、頂点に達していくのです。そう考えると、今回の惜敗は金メダル獲得に向けて最高のモチベーションで始動できる最良の機会だったに違いありません。