Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category

2月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2019/2/12 >> 役に立つ!!心理学コラム

目と耳の関係
「百聞は一見に如かず」ということわざがあります.百回聞くよりも一回見る方が確かだという意味ですが,目と耳の関係をよく表しています.見えるものと聞こえることが食い違っているとき,われわれは見えるものに頼る傾向があります.これを「視覚優位」と呼びます.視覚優位の代表的な例が,「腹話術効果」です.腹話術で,声は腹話術師の口から出ていますが,人形の口から出ているように感じられます.いっこく堂さんのような神業では,人間の口は全く動かず,人形の口が動くので,動いている口に音声の方向が引き寄せられるのです.パペットマペットさんの場合,口元だけでなく顔全体を隠してしまっていますが,それでも目をつぶれば人形の口ではなく人間の口から声が出ていることがわかります.
心理学の実験では,話している顔の映像の口と音が出ている音源の方向が10度違っても,口から音が出ているように聞こえる,つまり映像優位という結果となっています.20度違うとさすがに口から出ているようには聞こえなくなります.これは,実験室の中でのことであり,疑いを持って判断した結果です.日常生活では,映像に引き寄せられる効果はもっと大きいものです.例えば,大きな教室で,スピーカが横にあっても,先生の声は先生の口から聞こえるように感じられるのです.
このように,空間的な判断は視覚優位となっていますが,時間的な側面は,聴覚優位となる場合があります.ダブルフラッシュ錯覚がその代表的な例です.短いフラッシュが1回光るとき,短い音が2回提示されると,フラッシュも2回点滅したように感じられるという錯覚現象です.音に光が引き寄せられています.耳もやればできるということで,がんばっています.
4年生は1月中旬に卒論を提出し,社会に出る前の最後の学生生活を過ごしています.毎年この時期の思うことですが,卒業しても社会の荒波に負けず活躍してほしいと願っています.

卒業生と食事に行ったら,ドルチェの皿に,シェフが宮城学院の校章を描いてくれました.  感激!‼

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1月の心理学コラム:スポーツサイエンスラボ設立(担当:工藤敏巳)

2019/1/26 >> 役に立つ!!心理学コラム

昨年11月に本学における体育・スポーツの振興を推進することを目的として「スポー

ツサイエンスラボ(通称:スポラボ)」が立ち上がりました。

http://www.mgu.ac.jp/main/spolab/

 

スポラボは、以下の業務を遂行し、その責務を果たします。

①スポーツを通じた本学と高校との連携

②本学のスポーツ系サークル活動の振興

③本学の体育・スポーツに関する資源の地域開放

 

早速、今年になってソフトテニス講習会を開催し、地域の中高生、指導者の方と交流

しました。1月27日(日)の第3回目の講習は「心のスキルを高める」という内容で

す。具体的には、目標設定、集中力、リフレーミングなどについて解説します。第1,

2回目講習会の受講者には小学生の頃からジュニアチームに所属しソフトテニスを継

続してる方がいました。彼女らのボールコントロールには素晴らしいものがありま

す。しかし、お話を聞いてみると心理的な部分についてはよく理解していないようで

す。ソフトテニス競技に限らずスポーツ競技の結果を左右する要因には、技術、体

力、戦術の他、心理的要因があります。第3回では、そういう部分に振れてみたいと

思います。

また、第4回目はスポーツ栄養学に関する内容、第5回目はコンディショニングに関す

る内容です。まだ、申し込みを受け付けていますので、興味のある方は以下のサイト

http://www.mgu.ac.jp/spolab/st.html)から申し込んでください

 

12月の心理学コラム:映画の話し『SUITS/スーツ』(担当:大橋智樹)

2018/12/30 >> 役に立つ!!心理学コラム

今回は,アメリカの人気テレビドラマシリーズの話をしましょう(日本でもこの秋に織田裕二主演でフジテレビの“月9でリメイクされました)。
舞台はニューヨークの法律事務所。超一流の弁護士たちが,同じく超一流の企業と顧問契約をして企業利益を高めるために昼夜を問わず活躍する物語です。さまざまな困難が,これでもか!というくらいに連発され,登場人物たちはそれらに翻弄されながらも解決を探っていきます。
その中で印象に残ったセリフがありました。主人公のハーヴィー・スペクターが,もう一人の主人公であるマイク・ロスに言う言葉です。

“頭に銃を突きつけられたら、従うか殺されるかの他にまだ146通りある。

正確にはこのセリフは,ハーヴィーの言葉をマイクが紹介する時に使ったのですが,頭に銃を突きつけられられるような究極の状況でも,諦めずに考えろ!ということでしょう。なるほどなぁと思いました。
誰の人生でも困難がつきものです。人から見てたいしたことがなくても,自分にとっては銃を突きつけられるのと同じくらい危機に感じることもあります。諦めなければ常に解決法が見つかる!というわけではないでしょう。でも,諦めたら終わりなんですよね。だから,常にチャレンジすることが大切なのです。
チャレンジできる学生さんをたくさん育てたいなと思いますし,心理学はそれにうってつけな学問だとも思います。大学で心理学を学びましょう!もちろん,本学科をお勧めします!(笑)

『SUITS/スーツ』

11月の心理学コラム:私こそ真のミッキー・ファン?(担当:木野和代)

2018/11/19 >> 役に立つ!!心理学コラム

「ミート・ミッキーに660分待ち」というニュースが、今日(11月19日)のゼミで話題になりました。
1928年11月18日はミッキーがスクリーンデビューを果たした日で、昨日は90歳の誕生日。「記念日をお祝いしたい」と、TDLの「ミッキーの家とミート・ミッキー」にたくさんの人が押し寄せたとのことです。整理券が配られたものの、グループの誰かは並んでいなくてはいけないルール。
11時間待ちと聞いただけで疲れてしまい、そんな行列に並ぶなんて信じられない…と思ってしまうのは私だけではないようで、学生たちも同じように驚いていました。

実際に何時間も待った人たちはさぞかし疲れたことでしょう。ですが、それ以上に、うれしさや満足感で満たされ、ミッキーのことが一層好きになった人も多かったのではないでしょうか。そんな現象を「認知的不協和理論」で説明することができます。
認知的不協和理論とは、二つの矛盾する「認知」を同時に持つと、私たちはしばしば不快な気持になりますが、その不快感を軽減するために、矛盾する認知のどちらか一方を変えてしまったり、片方の認知を弱めてもう一方を強めたり、一方の認知を補強する情報を探したり、矛盾する認知に関する情報を選択的に避けたりするというものです。

何時間も待って、90歳の誕生日にお祝いの気持ちを伝えたことで、ミッキーへの親近感を強め、「それくらい私はミッキーが好きなんだ」「ミッキーも喜んでくれた」「楽しかった」と思いたい、というわけです。
夢の国TDLのお話なのに、夢のない話をしてしまいましたね・・・。ですが、こうしたことは、誰でも日常生活のいろんな場面で出くわしているのではないでしょうか。

さて、ミッキーのおかげで6年前に書いたコラム(2012.11.12upload)で予告していた「続き」が、ようやく書けました(笑)。続きとはどういう意味かは、皆さんで考えてみてください。

以上、卒業研究で誕生日プレゼントを題材にしている学生たちとの会話からでした。写真は彼女たちの卒業研究中間発表会資料の一部。

10月の心理学コラム:日本心理学会(担当:友野隆成)

2018/10/15 >> 役に立つ!!心理学コラム

9月25~27日の3日間,仙台国際センターで開催された日本心理学会第82回大会(東北大学主催)に参加してきました。今回は,地元仙台での開催ということもあり,3つのシンポジウムに登壇する機会をいただきましたので,1つずつ振り返ってみようと思います。

まずは,26日の午前中に開催された公募シンポジウム「われわれは“曖昧な世界” にいかに向き合うのか?2―“曖昧さへの態度”概念の精緻化をめざして―」です。私の研究テーマである「曖昧さ耐性」について,知り合いの先生方と去年から始めたシンポジウムです。今回は,「対人場面における曖昧さへの非寛容と曖昧さへの態度の比較」というタイトルで,「曖昧さへの態度」よりも「対人場面における曖昧さへの非寛容」の方が,より抑うつの予測に関して有効であるということを発表しました。全体討論の中で,非常に困難ではあるが,曖昧さのなかにある曖昧さをできるだけなくしていくことが重要であるという話になりました。どこまで曖昧さの曖昧さをなくせるか,今後せめぎあいが続くことでしょう。ちなみに,本学科の学生数名が冷やかしに来てくれました。

続いて,26日の午後に開催された公募シンポジウム「研究活動の行動科学―研究の継続要因を探る―」です。このシンポジウムは第26回日本行動科学学会年次大会と共催であり,企画代表者兼大会長として,企画趣旨の説明を行いました。これまで同一テーマで継続してご研究をされている先生方に,いかに研究を継続させてきたかを熱く語っていただきました。今回は3つのグループの先生方から話題提供をしていただきましたが,グループメンバーの緩い人間関係と相補性,そして科研費獲得が研究継続を促進させる要因として機能していることが垣間見られました。

最後は, 27日の最終セッションに開催された日本心理学会企画シンポジウム「災害復興と心理学」です。このシンポジウムは,日本心理学会の研究助成である,「東日本大震災からの復興のための実践活動及び研究」に採択された研究課題について話題提供を行うもので,私は2015年度の助成に採択された,「義援金寄付行動を対象とした持続可能な被災地支援に関する心理学的実践研究」について話題提供を行いました。2015年度および2016年度の実践ゼミで実施した活動をもとに,義援金を効果的に集めるためには,寄付をしていただける可能性のある方々の特性を把握することや,それに即した情報の提示と募金箱の設置など,ちょっとした工夫が有効であることを発表しました。他の先生方の話題提供は,自殺防止のゲートキーパーや自衛隊員に関するものであり,被災地支援にも色々なかたちがあるということを再確認しました。

以上,内容的には全くと言っていいほど関連がなさそうな3つのシンポジウムでしたが,共通する部分としては「継続性」が挙げられるのではないかと思います。今後も,色々と継続して頑張っていきたいと思います。

日本心理学会第82回大会の参加章とプログラム