Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
1月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2012/1/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
夢の中の音楽(その1)
とても不思議で面白い経験をした.
1ヵ月ほど前,音楽を聴いていたところ,いい気持ちになり,起きているのか寝ているのかわからない状態になった.まどろみのさなか,「なんだこれは」と思うようなとても面白い音楽が聞こえた(ような気がした).これまで聞いたことがない発想の音楽で,そのような曲を作る作曲家の卓越した創造性に感心した.どのような旋律だったかは徐々に記憶が薄れてきているが,どのように素晴らしかったかははっきりと覚えている.旋律の途中にポーズを入れるのであるが,その入れ方が聴いたこともないようなやり方だったのである.旋律の途切れ方は絶妙で,まったく新しい手法に聞こえた.聞いていてワクワクする感じは,中学生のときにワーグナーの大作を聴いたときの感じに近いものであった.
少し経って意識がはっきりし,その音楽を確認しようとして,その日に聴いていた曲を聴きなおしたのであるが,プレイリストに入れていたどの曲を聴いてもそのような部分がないのである.何度も聴きなおしたが,未だ発見できていない.ワクワクした感じと不思議な感じだけがはっきり残っている.
聴いたと思ったものが見つからない以上,何らかの心理的な働きによって起こった現象であると考えざるを得ない.これには,いくつかの解釈が可能である.解釈について書こうと思ったが,大分長くなったので,続きは近いうちに挙げることにしましょう.
(その2に続く)
写真:久しぶりに,30年以上前に買ったワーグナーの楽劇のフルスコアをながめてみました.
12月の心理学コラム(担当:木野和代)
2011/12/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
震災救援活動と自衛隊員の心
引き続き「ココロサイコロ2011」の話。発表を無事終えてひと段落したところで,少しふり返ってみたいと思います。
私のゼミでは救援・支援する人の心理がテーマでした。夏休み直前まで議論を重ねた結果,自衛隊と大学生ボランティアに焦点を当てることになりました。どちらも力作ですが,今回は自衛隊調査から学んだことについて。
自ら被災しながらも,任務優先で過酷な環境の中での救援・支援にあたった自衛隊員。訓練を積み強靭な心身をもつとはいえ,そのストレスは量り知れません。自衛隊への聞き取り調査から,自衛隊では隊員をPTSDにさせないための対策として,「現場での対応」を充実させていたことがわかりました。また,隊員の心についても具体的なお話をたくさんお聞きし,その状況の過酷さを知ることができました。
しかし,隊員の心を想像はしてもしきれぬものがあったように思います。
当初の研究計画には,個々の隊員へのアンケートもありましたが,衛生科の方の助言で中止しました。その理由は,任務終了後3カ月で,これからPTSDの発症が懸念される時期であり,隊員を刺激する可能性があるためでした。人を傷つけないよう配慮した「つもり」でしたが,まだまだ不十分だったと改めて考えさせられました。
1年生の皆さんにとっても大きな学びであったことを確信しています。
写真:発表直前の集合写真
11月の心理学コラム(担当:友野隆成)
2011/11/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
持続可能な被災地支援
先月の大橋先生のコラムにもありましたが、今月23日に「ココロサイコロ2011」におきまして、本学科1年生が研究発表を行います。私が担当する班では、「持続可能な被災地支援」をスローガンに掲げ、「どうすれば、無理をせずに長く続けられる支援ができるか?」を議論してきました。その結果、何か特別な技能が必要なものではなく、誰でも気持ち一つで手軽に支援ができる「募金」について心理学的な考察を行ってみよう、ということに決まりました。
その一環として、班のメンバーを3グループに分けて、10月の大学祭において実際に義援金募集活動を行いました。その際、ただ普通に義援金を募集するだけではなく、グループごとに趣向を凝らした仕掛けを用意して、募金行動を実験的に検討してみました。また、募金して下さった方々にアンケートへの回答をお願いして、募金をする心理を探りました。これらのデータから見えてくることは…(!?)。
現在、メンバーは23日の発表に向けて、それぞれグループごとに一生懸命準備をすすめております。当日には、上記の分析結果が発表されますので、皆様お誘いあわせの上、仙台駅前AER2階のアトリウムへ是非是非お越しください!
10月の心理学コラム(担当:大橋智樹)
2011/10/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
ココロサイコロ2011
心理行動科学科のモットーは「心理学は机の上だけでは学べない」。この言葉は、机に座って話を聞いたり本を読んだりするだけでなく、街に出かけたり、身体を動かしたりする実践的な経験を通して、心理学を学ぼうという学科の姿勢の現れです。大学での学びを単に大学の中だけに留めるのではなく、広く社会との接点を見いだしていきたいという想いも込められています。
この思想を実現する一つの授業が1年次必修科目の「心理行動実践セミナー」です。今年は、「東日本大震災からの復興」を共通テーマに、3つのグループが実践的な研究を展開しています。サブテーマは、募金する人の心理、支援する人の心理、情報を伝える心理の3つ。どのグループもまだ形が見えていない不安の中にいますが、これからの1ヶ月で研究としてきちんと発表できるようにまとめていきます。
発表は11月23日勤労感謝の日。「ココロサイコロ2011」と称して、仙台駅前AER2階のアトリウムで。ポスター形式の発表ですので、いつでも、どなたでも自由にご覧いただけます。震災当時、まだ高校生だった彼女たちが、大学生として取り組んだ初めての成果をどうぞご覧ください。心理学に対するイメージが変わるかもしれませんよ!
KJ法と呼ばれる手法で考えをまとめる議論の様子
昨年度の発表の様子
9月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)
2011/9/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
Summer
College in MG
去る8月10日,宮城学院女子大学キャンパスで「Summer College in Miyagi
Gakuin」が催されました.この企画は,被災地の小学生と近隣の小学生を招いて,大学教員の指導の下にさまざまな学習を体験してもらおうというものです.私も心理学に関わる企画を考え,小学生に楽しんでもらおうと参加しました.
小学生にも無理なくできて,しかも面白いと思ってもらえるものを考えるのは思いのほか難しく,ゼミの学生たちの協力を仰いで試行錯誤を繰り返し,ようやくこれはというものを決めました.作ってもらったのは,写真1のような貼り絵で,じっと見ていると錯覚が生じます(ちなみに,写真は学生による試作品です).
ここには2種類の錯覚が含まれています.一つは,フレーザー・ウィルコックスの錯視で,まるい花火が,ゆっくりと回転して見えます.もう一つは,ハーマン格子と呼ばれる錯覚で,絵の下の方にあるビルの窓を見ていると,枠の交差点に黒い点が見えるというものです.両方とも周辺視で生じる錯視なので,気が付かない人もいるのですが,何を見ればよいかがわかると「なるほど」ということになります.
準備には多くの学生たちが協力してくれました.深く感謝します.
写真は,高学年のグループの工作風景ですが,皆行儀よく取り組んでくれました.作品は大変上手にでき,喜んでもらえました.将来,また出会うことがあればいいな,と思ったことです.