Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category

12月の心理学コラム:祝・東西線開業!(担当:木野和代)

2015/12/10 >> 役に立つ!!心理学コラム

12月6日,日曜日。 待ちに待った仙台市営地下鉄・東西線開業日!

行ってきました!一日乗車券で地下鉄旅!

席の座り心地,立ち心地,車窓の大きさなど車内のデザイン。標高日本一の地下鉄駅となった八木山動物公園までの乗り心地。最新の地下鉄ならではの技術・工夫を探しに行こう!と思ったのです。

おおざっぱな感想としては,静かで揺れもあまり気になりませんでした。ホームと車両との隙間がすごく少ないのも安心感があります。・・・が,混雑のため,乗り心地を「普通に」味わうところまでは難しく・・・。

ちなみに,東京のゆりかもめでは,椅子の設計を工夫することにより,乗客の座り方のマナーを自然とよくする取り組みがなされているそうです。心理学とも関わりの深い人間工学の研究成果でしょう。

もう一つ。駅の案内のわかりやすさも大切です。これまでの経験から,私が迷いやすいのは,JRや南北線とつながる仙台駅。特に地上とホームの間の移動について,どこがわかりやすくて,どこがわかりにくいかを利用者目線で確認しようと思いました。

結果は・・・というと,残念ながらこちらもこの日は観察するには不向きでした。とにかく人が多くて。人の流れに乗って動くだけに終わってしまいました。。。

もう少し暖かくなったら,「東西線全駅チェック」を目標に再挑戦してきます(笑)!

速くて便利な地下鉄。安全に快適にたくさんの人の移動をサポートする。

これを作るのもヒト,使うのもヒト。そこにはモノを介したコミュニケーションがあります。

そんなことを考えながら新しい地下鉄を利用してみるのも面白いのではないでしょうか?

ホームと車輌の隙間の狭さと段差の少なさわかりますか?

八木山公園駅のホームのエレベーター。ワクワク感が高まる!?

 

 

11月の心理学コラム 「継続は力なり」 (担当:友野隆成)

2015/11/11 >> 役に立つ!!心理学コラム

今年もまた,ココロサイコロのシーズンがやってまいりました。2015年度も「義援金を寄付する心理 in 2015」と銘打ち,私の担当班では義援金募集活動を行いながらこれまでに蓄積してきた研究成果を踏まえた実験と調査を行いました。

 

ところで,今年度は昨年度までとは大きく異なる点があります。日本心理学会が募集していた“東日本大震災からの復興のための実践活動及び研究”への助成に,5度目の応募で漸く採択されたのです。これまで毎年応募していたのですが,毎回不採択通知が届いていたので,今年もどうせ不採択になるのだからもう応募するのを止めようかなあと当初は考えていました。しかし,諦めずに応募したところ,忘れていたころに採択通知が届きました。「継続は力なり」と言って良いかどうかはわかりませんが,これまでの活動が評価され,ちょっとホッとしています。過去に私の担当班で活動した全ての皆さんの努力が今回の採択に繋がっていると思いますので,彼女たちをとても誇りに思います。

 

なお,今回も多くの方に義援金を寄付していただきました。この場をお借りし,改めまして謝意を申し上げたいと思います。ご協力いただき誠にありがとうございました。2015年度の活動で集まった募金額および具体的な寄付先につきましては,今月23日(月・祝)に仙台駅近くのAER2階アトリウムで開催されます「ココロサイコロ2015」で公表予定です。また,我々の発表以外に「市街地における自転車利用の心理」「まちなみに隠された心理を探る」という2つのテーマの研究も発表されますので,是非ご来場ください!

2015年度の大学祭で実施した義援金募集活動では,さまざまな工夫が施されました!

10月の心理学コラム まちなみに隠された心理(担当:友野聡子)

2015/10/19 >> 役に立つ!!心理学コラム

日本のまちなみには統一感がないな、と思ったことはないでしょうか。広い庭付きの一軒家が並ぶアメリカの住宅街と比べると、日本の住宅街の統一感は低いように思います。

アメリカは流動的な国です。人々は、個人の目標を達成するために移動を好みます。とはいえ、移動した先で全く文化が異なるとストレスです。そうしたストレス軽減のために、似通った建物を作りたくなると考えられています(Oishi et al., 2012)。社会の流動性によって人々の心もまちなみも変化するというわけです。

私は、現在、そうした社会の流動性によって、まちなかの“貼り紙”に使用されやすい文言(「駐車禁止」や「立入ご遠慮ください」など)も異なるのではないか、ということを研究しています。そして、本学科1年生のうち20名の心強い学生たちが、この研究に一緒に取り組んでくれています。「まちなみ調査」と名付け、流動性の異なる2つの地域で貼り紙を記録し、各地域での特徴を分析しています。この成果は、11月23日(月・祝)に、仙台駅AER2階アトリウムで開催される研究成果発表「ココロサイコロ2015」で発表します昨年の様子はこちら)。また、私自身も、この成果を学会で発表しています

私の着眼点は、流動性による貼り紙の文言の違いだけだったのですが、学生たちは、色やイラストの使い方、手作り感の有無など、さまざまなところに着目し、興味深い結果を得ています。人の心がどのように貼り紙に表れてまちなみを変えるのか、迷惑な行いをする人に対してどのような場所でどのような貼り紙を使ったらよいか、といった問題解決のヒントが得られると思います。11月23日、AER2階にぜひ足をお運びください!

 

 

 

 

 

 

 

 

▲まちなみ調査班のみなさんとの1枚です(予定が合わず、数名の欠席者がいますが…)。この日は、ある地域に貸切バスで出かけ、貼り紙をひたすら記録しました。帰りのバスでは、みなさんお疲れで静かでしたね…。

 

引用文献

Oishi, S., Miao, F. F., Koo, M., Kisling, J., & Ratliff, K. A. (2012). Residential mobility breeds familiarity seeking. Journal of Personality and Social Psychology, 102, 149-162.

 

 

9月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2015/9/7 >> 役に立つ!!心理学コラム

「技を盗め」の話

教わるのではなく盗むのが技の伝承となっていることが少なくありません.これは,教えるのがいやだったり,もったいぶったりしているかのようにとらえられることがありますが,そうとばかりは言えません.実は,コツというのは,言葉に表せないものが多いのです.例えば,自転車の乗り方をことばや文章で表すのがとても難しいということは,想像してみればすぐにわかります.

このコツというのは,心理学的には,手続き的記憶と呼ばれるものの一つです.私たちの記憶には,知識や出来事だけでなく,コツのような「やり方」の記憶も含まれているのです.

スポーツや芸術の分野で天才と呼ばれる人たちの多くは,教えるのがうまくないと言われます.最初からできてしまったので,どのようにしたらうまくいくのかということについて考えたことがないからです.天才はよい教師にはなれないのです.

夏休みが終わって秋が来ると,大学祭の季節です.今年も来場される方々に楽しんでもらえるよう,心理行動科学会の学生たちが準備に取り組んでいます(写真).10月17日(土)と18日(日)の両日ですので,ぜひご来場ください.

 

8月の心理学コラム:人とPCとの接点(3)(担当:工藤敏巳)

2015/8/8 >> 役に立つ!!心理学コラム

Windows 10が正式リリースされ、子どもたちが映し出されたCM動画も観た方もいることでしょう。パスワードを入力せず顔認証してくれるテクノロジーには興味をもってしまいますね。一卵性双生児をも見分けることができるなんて素晴らしいです(http://gigazine.net/news/20150821-windows-hello-identical-twins/)。
実は、よくPCに装備されているWebカメラで顔認証を行なってくれるのかと勘違いしておりましたが、よくよく調べてみると、RealSense 3Dカメラが搭載されていなければ認証してくれないのですね。RealSense 3Dカメラの搭載されているパソコンはまだほとんどありません。20機種もないくらいだと思います。非常に認証の精度も高く、そのスピードも速いようなので、もっともっと普及してもらいたいものです。
また、このカメラは、赤外線センサーも装備されていて、顔の識別だけでなく表情の特定や心拍数なども計測できるので、多方面に渡って活躍できるでしょう。例えば、テレビにつければ映画鑑賞時の視聴者の感情反応を取得したり、スポーツ鑑賞時の興奮度を計測するなんてことも近いうちにできるようになるでしょう。