交差する生をひらく

多様なジェンダー視点から社会を問い直す

MGUジェンダー教育研究センターは、ジェンダーを切り口として、教育・研究・地域連携を有機的に結びつける拠点として、2025年度に活動を開始しました。本センターが目指すのは、ジェンダーを特定の人々に関わる限定的な課題としてではなく、社会を成り立たせている構造そのものを問い直す視座として位置づけることです。

私たちの社会における生のあり方は、「性別」という単一の属性によって規定されるものではありません。性別はもちろんですが、性的指向や性自認、国籍、民族や人種、年齢、階層、文化的背景、職業、障がいの有無など、複数の要因が重なり合いながら、人びとの経験や機会のあり方を形づくっています。こうした多様な条件の交差の中で、「生物学的に男であること・女であること」といった区分も、それ自体で意味を持つのではなく、社会的な関係の中で具体的な意味を帯びながら人の生に作用していくのです。本センターは、このような諸条件の交差に着目するインターセクショナルな視点を大切にし、それぞれの生の複雑さに向き合うことから、ジェンダーの問題を捉え直していきます。

宮城学院女子大学は、これまでも一人ひとりの尊厳を基盤とする教育を実践してきました。2019年の「共生のための多様性宣言」に示されているように、本学は性的指向・性自認を含む多様なあり方を尊重し、誰もが安心して学び、自己を形成できる環境の構築に取り組んでいます。本センターは、こうした理念をさらに推し進め、性の多様性を含むあらゆる人権の問題を、教育と研究の中心的課題として位置づけます。人が自らのあり方を選び、尊厳をもって生きることは、特別な権利ではなく、すべての人に等しく保障されるべき基盤であると私たちは考えます。

さらに、本センターは地域社会との連携を通じて、多様な人びとが出会い、学び合う公共的な対話の場を創出していきます。そこでは、専門知と生活知が交差し、異なる経験が交わることで、新たな理解と実践が立ち上がっていきます。 ジェンダーをめぐる問いは、決して一部の人の問題ではありません。それは、私たちがどのような社会を生き、どのような関係を築いていくのかという、根源的な問いに関わっています。本センターが、その問いをともに考え続けるための場となることを願っています。

石 田 依 子
MGUジェンダー教育研究センター長
宮城学院女子大学 一般教育部 教授