古典文学ゼミ
伊勢英明 教授
『源氏物語』は日本文学の最高傑作と言って過言ではありませんが、とりわけ(『源氏』以前以降にかかわらず)平安文学で卒論を書こうと思っている学生にとって、必ず目を通して置くべき作品です。その開巻である「桐壺」は、かつて三谷邦明が「源氏物語の世界全体を一巻に内蔵する小宇宙である」と評した最も重要な巻です。それを宮内庁書陵部蔵の青表紙本の印影本をテキストにして一字一句丁寧に翻刻し、発表やディスカッションを通じて読みを深めることによって『源氏物語』、ひいては平安文学への関心を深めたいと思います。
(伊勢ゼミは2025年度より開講)
古典文学・芸能・演劇ゼミ
深澤昌夫 教授
目指せ!文学探偵
文学上の謎を追い真相を解き明かす。それが文学探偵です。深澤ゼミでは先ずは文学探偵見習として論文というものがどういうものか、また研究というものがどういうものかについて理解を深めるとともに、来たるべき卒業論文の準備段階として、各自研究対象決定に必要な予備的調査をおこないます。
その後各々の調査報告を踏まえ、参考文献や先行研究等、関係資料の収集を進め、より具体的な分析・考察に取り組んでいきます。
*これまでの卒論テーマの一例
・『平家物語』に登場する女性の生き方
・人からの変貌『今昔物語集』
・色好みの主題ー『雨月物語』巻之二「浅茅が宿」を読むー
・『東海道四谷怪談』に見る裏と表
・『雨月物語』における人間的真実
・近松心中物における人間ドラマ
・江戸時代における妖怪の研究
・日本文学における犬と人との関わり―小林一茶の発句を中心にして―
近・現代文学ゼミ
千葉幸一郎 教授
2年次に学ぶ文学理論の基礎を踏まえ、大正時代の短編小説を読み解いていきます。
著名な男性作家により書かれた中、長編小説の一部を読み、作品を分析するとともに登場する女性像について検討を重ね、質疑応答踏まえてレポートを作成。ゼミで学んだ成果を踏まえ卒業論文を執筆します。
*これまでの卒論テーマの一例
・『女の一生』の允子のまなざしー社会矛盾と生き方に関してー
・太宰治「道化の華」と『人間失格』から見る大庭葉蔵の生き方
・『不如帰』における男女像
・『痴人の愛』―谷崎文学における女性美とは何か―
・『智恵子抄』に見られる夫婦愛―無限の女人智恵子―
・志賀直哉『和解』研究―不和の原因は何か―・・
・北原白秋『思ひ出』にひそむ恐怖と背景詩人
・『伸子』から見える宮本百合子の人生
近・現代文学ゼミ
笠間はるな 准教授
近代女性作家の短編小説の読解・考察を通して、近代文学の読み方・文学研究の方法を身につけます。小説を読む際には、ひとつひとつの言葉が持っている、意味やイメージの広がりに、立ち止まって丁寧に読むことを大切にします。文学ならではの言語表現を豊かに味わいながら、ひとつひとつの作品の面白さを考えていきたいと思っています。
笠間ゼミではより発展的な作品解釈の方法と卒論執筆に向けたアカデミックスキルの習得を目指していきます。発表とディスカッションを中心に行い、質疑応答を通して個々の作品の読みを深めます。
後期には各自のテーマに即して近代文学作品の分析と考察を行うことになります。卒論の対象作品と自身の問題関心を具体的にしたうえで、執筆に取り掛かることになります。
*これまでの卒論テーマの一例
・梶井基次郎『檸檬』における表現技法
・泉鏡花『婦系図』の研究─妙子を中心として―
・宇野千代『おはん』の世界
・『寺内貫太郎一家』『父の詫び状』からみる向田邦子の家族像
・林芙美子『浮雲』の研究─男女主人公を中心として―
・夏目漱石「文鳥」の研究
・大正期における小川未明童話の考察
・江戸川乱歩『人間椅子』『屋根裏の散歩者』における感覚表現と心理描写
日本語学・日本語史ゼミ
菊地恵太 准教授
日本語史の専門的な知識や様々な文献の特徴、調査方法を習得し、文献を利用した日本語史研究を実践します。菊地ゼミでは、各自が自由に日本語史上問題となるテーマを設定し、語彙索引や古辞書などを利用して文献調査・データの収集を行い、調査・考察の結果を発表します。一連の作業を通して、文献日本語史の手法を身につけることが目標です。さらに、電子コーパスを利用した調査方法を習得するとともに、卒業論文に向け各自テーマを設定し、文献調査・データの収集を行い、考察の結果を発表します。自ら学問的な問を立てて解明する力を身につけます。
*これまでの卒論テーマの一例
・情態副詞の変遷について
・人の容姿を表す形容詞・形容動詞の変遷
・終助詞の性差における変遷と現代意識
・古代オノマトペの継承と消滅
・日本語の歌詞における人称代名詞の変遷
・格助詞の用法の変遷―「にて」と「で」を中心に―
・配偶者を表す親族語彙の変遷―「オット」と「ツマ」を中心に―
・多義的形容詞の比喩的意味拡張について―「深い/浅い」「濃い/薄い」を中心に―
現代日本語学・方言学ゼミ
志村文隆 教授
志村ゼミでは現代日本語や方言を対象に専門的かつ体系的な知識を学ぶため、「言葉の規範と多様性」について考察します。自身で研究テーマを持つことを目指し、実際の言語現象を観察しながら、テキストや概説書、先行研究にあたり、問題の所在を探索します。基礎知識の確認、文献の収集と読解、言語現象の観察についてプレゼンテーションを重ね、研究テーマの方向性を探っていきます。また、フィールドワークなどの予備調査を実施して結果を発表し合います。最終的には卒業論文を見据えた自身のテーマを確実なものにし、執筆に取り組んでいきます。
*これまでの卒論テーマの一例
・郡山市方言における天候語彙の体系
・方言の使用効果―津軽方言を例として―
・山形県における学校方言の分布
・現代日本語における天候オノマトペ―方言の語形の特徴を中心に―
・宮城県浦戸石浜の挨拶表現
・宮城県におけるガ行鼻濁音の実態
・岩手県一関方言の語彙の実態
・大学生における若者語の機能
日本語教育ゼミ
堀田智子 准教授
2年次に開講されている「日本語教育概説」や「日本語教育演習」で学んだ基礎を土台に、日本語をなぜ、何を、どう教えるのかということについて共に考えていきます。
海外と国内で日本語を学ぶ人々、日本語教育を職業とする場合に関連する施策、日本語教育のための文法の考え方、文字・語彙の問題、日本語の諸相、評価、コースデザインや授業の実際などについて調べ、発表するスタイルで学んでいきます。受講生の発表とディスカッションを中心に進めます。
後期には日本語学習者との交流を通じて、日本語教育における課題を検討。また、これまでの日本語教育研究を概観しながら、自ら問いを立て、調査を実施します。発表とディスカッションを重ね、卒業論文執筆に取り掛かります。
*これまでの卒論テーマの一例
・ビジネス日本語教材にみる相づち―ロールプレイ会話の考察―
・日本語多読教材にみられるリライトの工夫―段階別読み物の考察―
・外国にルーツを持つ子どもたちの支援の現状と課題―仙台市の支援についての考察―
・文中・文末に現れる「ですから」の語用論的考察―日本語母語話者と日本語学習者の会話データを比較して―
・防災パンフレットにみられる「やさしい日本語」―仙台市と熊本市との比較から―
・映像メディアを使った教室外学習と学習ストラテジー
・中級日本語教科書における「あいづち」の扱い―日韓の日本語教材の比較を通して―
・日本語オンライン教材にみられるコロケーション分析
映像文化ゼミ
李敬淑 准教授
李ゼミの卒論研究分野は、映画(戦前の映画から2010年代の映画まで)、アニメ・マンガ(祖父母や両親が読んでいた漫画から最近劇場で観たアニメまで)、大衆文化(TVドラマ・大衆文学・2.5次元ミュージカル・原作と脚色・比較文化)がメインとなります。
ゼミでは本格的な卒業論文執筆の前に、論文の読み方・書き方を確認しながら、各自の研究課題について模索していきます。また、研究課題達成のために必要な研究資料の収集を行い、それらに基づいて論の組み立て方や論証の仕方についても学習します。授業運営方式は個人発表が根幹となりますが、他の発表者の発表について全員が積極的に意見を出し合うアクティブラーニングを行うことで自分の視野を広げます。
*これまでの卒論テーマの一例
・映画『リズと青い鳥』における主体形成のプロセスと到達
・岩井俊二映画における変遷―映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』が分岐点たる証明―
・自己告白としての映画『羅生門』―脚色からみる黒澤明監督の自己防衛とその脱却―
・映画『ドライブ・マイ・カー』における「喪失」とその「向き合い方」
・宮崎駿監督のアニメーション世界における「食」の表象
・抗えぬ者の声なき叫び―大島渚の映画『愛と希望の街』『少年』における少年の表象―
・映画『オールド・ボーイ』における救い―人間の「愚かさ」と「孤独」の観点から―
・漫画『ジョジョの奇妙な冒険』における特殊性と普遍性