宮城学院女子大学みつばち事業

東北地区の大学では唯一の取り組み!養蜂女子が活動中

本学では、2019年から21年にかけて、ジャパンロイヤルゼリー株式会社の寄付により「ミツバチ科学研究教育部門」が設置され、寄付講座の先生方が研究活動の一環として養蜂を行いました。21年度をもって終了した寄付講座の活動を引き継ぎ、法人の補助を受けながら教職員・学生有志が現在も養蜂活動を行っています。キャンパスの一角で育てているミツバチは、木々の受粉を助け、豊かな森をつくる循環を生み出しています。その営みから生まれるはちみつを採取して瓶に詰め、付加価値をつけて市場に販売する。はちみつの生産から販売までを貫く「六次産業」ビジネスを実践的に経験し学ぶことが、この事業活動の目的です。さらに、ミツバチとの関わりを通して、恵みをもたらす森を守り、人間と自然が共生する地域の将来像を考えます
杜のキャンパスだからこその活動、学生が自然と格闘する養蜂事業の展開と可能性を、ぜひ多くの方々に知っていただきたいと思います。学生と教員が共に「畜産業の生産者」になり汗をする活動には、たくさんの物語が内包されています。暑い・寒い中での肉体労働、オオスズメバチとの格闘、生産者としての苦悩と喜び、自然の不確実さに翻弄される、そして何よりミツバチという存在の奥深さに出会うことを通して、学生も教員も成長しています。

活動内容

養蜂(ミツバチの飼育と、はちみつの生産)

宮城学院女子大学桜ヶ丘キャンパスの敷地内に、巣箱を置き(4~8箱程度)、ミツバチを飼育しています。例年3月から11月頃までがミツバチの活動期間で(冬季は冬眠する)、その間は週に1度程度のペースで、学生と教員が巣箱の内検や採蜜作業を行います。採蜜作業は例年、主に春から秋口にかけて実施し、毎年100kgの収穫を目標にがんばっています。自然の生き物相手のため、うまく育たなかったり、病気が発生したり、酷暑や大雨の影響を受けたり、時には「逃去」(何らかの理由でハチが巣箱を捨てて全員で出て行ってしまうこと)が発生したり、トラブル対応に追われますが、無事にはちみつを収穫できたときの喜びは、何事にも代えがたいです。
養蜂活動についての詳細は、2022年に実施したクラウドファンディングのページで説明しています。

■はちみつ製品やミツロウの販売

収穫したはちみつは瓶詰めをして、一般に向けて販売しています。2022年までは、一年間に採れた全てのはちみつをまとめて「百花蜜」としていましたが、2023年の採蜜分からは、4月から6月半ば頃までの採蜜分を「春のはちみつ」、6月半ばから9月までの採蜜分を「夏秋のはちみつ」として販売しています。「春のはちみつ」は、桜など春を彩る大きく華やかな花々の蜜。対して「夏秋のはちみつ」は、花の少ない季節、自然休養林を構成する様々な樹木が咲かせる小さな花々から、ミツバチたちが一所懸命に集めてきた蜜が中心となります。ぜひ、味の違いをお楽しみ下さい。
販売方法としては、長命ヶ丘のブランチ仙台で毎月第1土曜に実施される「オーガニック・マーケット」での販売、年に3回程度の藤崎本店での販売、大学のイベントでの販売などが主となります。
そのほか、学外の各種イベントに出店したり、クラウドファンディングを実施することもあります。販売についての情報は、適宜NEWSやインスタグラムでお知らせしていきます。はちみつだけではなく、その作業の副産物として採れるミツロウも、商品となります。ミツロウは希少なので、主にカヌレの材料として、提携するレストランへ販売しています。

森の自然との共存

 私たちの育てるミツバチは、キャンパス内および隣接する「水の森自然休養林」の木々から、蜜を集めてきています。この森は、江戸時代から継承されてきた里山と溜池からなる通称「水の森公園」および「丸田沢緑地環境保全地域」からなります。
 「水の森公園」は1980年に都市計画決定された総合公園で、アカマツ、クヌギ・コナラ、モミなどからなる森林を保存する「自然休養林」に指定されています。また、そこから連なる「丸田沢緑地環境保全地域」にはハンノキが群生し、丸田沢の大きな池は野鳥の飛来地になっています。また、山林の自然が壊されていないことの指標生物であるトウホクサンショウウオが生息していることでも知られています。近年、宮城学院女子大学構内で発見されたサンショウウオが「新種」であることがと判明し、「センザンサンショウウオ」と命名されました。住宅地の真ん中にある「水の森自然休養林」ですが、国や県の自然保護区に指定されていることから、貴重な手つかずの森林生態系が残されているのです。
 これらの森の一部は完全な原生林ではなく日本伝統の「里山」の性格を有しており、ある程度の人為的な整備が入ることで、健全さが維持されます。学校法人宮城学院は、保護林の周縁の一部荒廃したエリアの保全に取り組んできましたが、森の広大さに比べて、人手が不足しているのが現状です。
 私たちは、単に養蜂活動を行うだけでなく、ミツバチが生きる糧となる森の保全活動に協力し、一部の荒廃したエリアを整備して蜜源植物を植樹しています。それは結果として森全体の健全化と豊穣化につながります。森の自然の恵みとしてはちみつをいただき、その売り上げの一部を活用して森の自然をより豊かにする。人間が自然を一方的に収奪するのではない循環型の活動に、私たちの事業を育てていきたいです。

活動記録

■2024年度『養蜂女子活動日記』
7/20(土) 藤崎本店にてはちみつとカヌレの販売します!(2024.7.16)
養蜂活動の様子がJ:COM-チャンネルで放映中です (2024.6.24)
プレスメディア:”養蜂女子”がJ:COM内番組にて紹介されています(2024.6.18)
今年初めての採蜜を行いました [みつばち事業] (2024.5.25)
2024年の養蜂活動が始まりました!(2024.4.25)

■2023年度『養蜂女子活動日記』
11月23日(木) 仙台・藤崎本店にて「夏の新蜜」とカヌレを販売します!(2023.11.15)
大学祭2023に「みつばち事業」も参加しました!(2023.10.18)
今夏最後の採蜜を行いました(2023.10.3)
プレスメディア:YouTubeにて”みつばち事業”のニュース動画が観れます(2023.9.27)
プレスメディア:”養蜂女子”がJ:COM生放送に出演しました(2023.9.20)
プレスメディア:養蜂活動がJ:COMの取材を受けました(2023.9.16)
藤崎で「はちみつ」とカヌレを販売しました (2023.9.1)
サマーカレッジ2023でミツバチ講座を実施しました(2023.7.25)
8月3日(木)藤崎本店にて「春の新蜜」とカヌレを販売します(2023.7.24)
2023年「春の新蜜」ができました(2023.7.12)
新蜜の採取が始まりました!(2023.6.23)
ブランチ仙台「オーガニック・マーケット」で販売しています(2023.4.1)
仙台藤崎本店でイベントを実施しました(2023.3.22)
2023年の養蜂活動が始まりました(2023.3.7)

■2022年度
藤崎百貨店とコラボしたビールが販売されます(2022.10.31)
藤崎本店で販売会を行いました(2022.8.8)
みつばちプロジェクト&児童クラブ『森の家』で巣箱の屋根づくりを行いました(2022.8.6)

外部企業などへの協力、コラボレーション企画

レストラン「シェフ2」のカヌレ(2023年~)

私たちは、フランス・ボルドー地方の伝統菓子「カヌレ」も販売しています。カヌレの最大の特徴は、そのカリッとした食感ですが、これはミツロウを銅の型の内側に塗って焼き上げることで出来上がります。ミツロウを使うのがボルドーの伝統的な製法・・・とはいえ、現在では天然のミツロウは貴重品です。ミツロウとは、蜂の巣の「六角形」を形作るあの素材を、取り出して集めたもの。60度以上のお湯に溶かして、大量の不純物を取り除き、それを再度溶かして濾過して・・・という過程には、大変な手間がかかります。そのコストが価格に反映されるため、ミツロウは決して安くはない。そのため今日では、ミツロウの代わりにバターを使用した製法が一般的になっています。
私たちは、養蜂事業の一環でミツロウを生産し、それを長命ヶ丘のフレンチレストラン「シェフ2」さんに供給して、ミツロウを使用した伝統的な製法のカヌレを開発していただきました。最近のカヌレには、様々なフレーバーやトッピングがありますが、「シェフ2」さんのカヌレでは、ボルドーに伝わる昔ながらの製法を守ってもらいました。カヌレ表面のカリカリ感は焼き上げたその瞬間から失われていきます。そのため私たちは焼きたてのカヌレを販売することにこだわっていますが、販売機会を頻繁には作れません。年に数回、はちみつと共に藤崎などで販売しますので、機会を逃さず、ぜひご賞味ください!

藤崎百貨店とのコラボビール開発(2022年)

2022年11月には、藤崎百貨店とコラボし、本学のはちみつを使ったクラフトビールを限定販売しました(詳細はこちら)。また、藤崎百貨店では定期的にはちみつの出店販売もさせていただいております。

レストラン「イル・ミオ・カンポ」のはちみつを使ったメニュー(2021年~)

富谷市にある「イル・ミオ・カンポ」さんは、地域で良質な食材を作っている生産者と、消費者とを料理でつなぐというコンセプトの、イタリアン・レストランです。宮城県や東北地方では、品質にこだわった食材を生み出している生産者がたくさんいます。しかしその多くが個人経営であり、大規模な広告宣伝はできないため、知名度が不足しています。世の中には、安心・安全で美味しい食材を求める消費者も、そうした食材を作る良心的な生産者も多いのにもかかわらず、そのマッチングがうまくいかない。「つなぐ」というお店のポリシーには、そうした問題意識が反映されています。
私たちは、「イル・ミオ・カンポ」さんにはちみつを納入しています(ドルチェや料理に使用するほか、瓶詰めの委託販売もしていただいています)。つまり「水の森自然休養林のはちみつ」の品質は確かで、私たちは良心的なオーガニックの養蜂家だと認めていただいたということです!私たちが生産するはちみつは、大学キャンパスおよび隣接する水の森自然休養林に限ったエリアの蜜源のみに由来する、いわば「スペシャリティはちみつ」です。はちみつの味にも自信があります。今後も、良質なはちみつの生産を心がけ、宮城の「美味しい」をつなぐネットワークを支えていきます。


カフェ「バルミュゼット」で、はちみつを提供(2023年~)

泉区にある「バルミュゼット」さんは、スペシャルティ・コーヒーの「生豆買い付けから焙煎・抽出・提供までを一貫して手がけるロースタリーカフェ」です。厳選した上質な豆を使った本格的なコーヒーを提供し、「最先端のエスプレッソ・コーヒーカルチャーを発信する」ことを目指しているそうです。バルミュゼットさんのエスプレッソは、本当に濃厚で味わい深い、今までエスプレッソと言われて飲んでいたのは何だったのかと、目からうろこが落ちるような風味です。一般にはちみつというと、飲み物としては紅茶に合わせるイメージが強いですね。バルミュゼットさんが提供するような、本格的なスペシャルティ・コーヒーと合わせるのは・・・? と疑問をお持ちになる方もいるかもしれません。しかし我々が生産するのは、国と県の自然保護区である水の森自然休養林から採れる、森の恵みが凝縮した「スペシャルティはちみつ」です。バルミュゼットさんも、「宮城学院のはちみつだからこそ」ということで、お店で提供して下さっているのです。初夏から暑い時期にかけて限定で販売される、冷たいイタリアンスイーツの「セミフレッド」。その付け合わせに「水の森自然休養林のはちみつ」が使われています。ぜひ一度、エスプレッソともども、その濃厚な風味をお試しください!

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