5月の心理学コラム(担当:木野和代)

2010/5/27 >> 役に立つ!!心理学コラム

 

映画で学ぶ心理学(1)

『12人の優しい日本人』という映画をご存知ですか。私が好きな作品の一つです。
「もし日本に陪審員制度があったら」という設定で,ある男性の死が殺人か事故か,被告人の殺意をめぐり12人の陪審員が激論を交わします。この議論の過程がとても面白いのです。外見で人を判断したり,個人的な問題を投影したり…。コメディですのでデフォルメされていますが,他者の内面的な特徴や心理過程を私たちがどのように捉えようとするのかがよくわかります。このような過程は、心理学では対人認知の問題として扱われています。
また,目撃証言と事実をつないで現場の状況を推論していくところは見所です。目撃証言の信憑性について考えるには記憶に関する知識が役立ちます。心理学は多くの実験に基づいて記憶のメカニズムを明らかにしてきました(詳しくはいずれコラムに登場するかも!?)。

裁判員制度がスタートして1年。裁判員制度は陪審員制度とは異なりますが,この映画は裁判において人の心がどのように働くのかを考える一つの材料となりうるように思います。そんなことも考えながら12人の行動を観察すると,単なるコメディとして以上に作品をたのしめるかもしれません。興味をもたれた方,一度観てみてはどうでしょうか。

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