Archive for the ‘役に立つ!!心理学コラム’ Category
7月の心理学コラム:先延ばしにしちゃう・・・(担当:宮下達哉)
2026/7/9 >> 役に立つ!!心理学コラム
7月に入りましたね.期末レポートや学期末試験など,課題の準備やテスト勉強に追われている学生さんが多いのではないでしょうか?さて,皆さんはこうした準備を計画的に進めているでしょうか?それとも,先延ばしにしてしまっているでしょうか??
課題の先延ばしについて.後藤・山下(2024)は,大学生のレポート課題における先延ばしとその関連要因について検討しています.この研究の面白いところは,実際の授業場面を対象に,2週間後のレポート課題提出を控えた大学生に対して課題の先延ばしをするかどうかを検討した点です.研究の結果,内発的動機づけ(※)が高い学生は,課題を具体的に解釈するほど先延ばしをしにくいことが明らかとなりました.つまり,「レポート課題を提出する」という目標を具体的に捉えることができる学生は,課題の遂行を阻害しうる要因(例えば,友人と遊ぶ,SNSを閲覧するといった誘惑)を考慮した行動をとることができる,というものです.ですので,課題に取り組む手段を“具体的に考える”ことが重要なのかもしれません.
※「学習することが好きだから」といったように,行為そのものがモチベーションとなること
と,上記で先行研究を紹介している宮下自身も,このコラム記事を〆切ギリッギリで執筆しております.いや~先延ばしにしちゃいました...笑

後藤 崇志・山下 冬華(2024).大学生の課題に対する内発的動機づけ・解釈レベルと先延ばしの関連 日本教育工学会論文誌,48(1),263-271.
5月の心理学コラム:同化と調節(担当:木野和代)
2026/5/11 >> 役に立つ!!心理学コラム
新緑がまぶしいゴールデンウイーク、いかがお過ごしでしたでしょうか。
3月に巣立った卒業生の皆さん、4月に入学した新入生の皆さんは、新たな環境での試行錯誤の日々を送られていることと思います。所属先は変わらなくても、クラス替えや共に働くメンバーが変わるなど、様々な環境の変化が生じる時期でもあります。そう考えると、4月は多くの人にとって「同化と調節」の連続の1か月だったのかもしれません。
同化とは、すでにもっているシェマ(知識の枠組み)を新しい対象にも用いること。調節とは、すでに持っているシェマを新たな対象に適用できるように修正していくことです。これらを通して、私たちは新たな環境に適応しているのです。
これはスイスの心理学者ピアジェが、子どもの認知発達を説明するのに用いた概念です。発達心理学の授業で学んで以来、この時期になると改めて意識させられます。
慣れた環境では当たり前だったことが、新しい環境ではそうではない。そうしたギャップに出会うと、うまくやるためにエネルギーを費やすことも多いでしょう。でもそんな努力を、一歩引いて「同化と調節」の過程だととらえてみると、自分の持っていたシェマに気づけたり、自分の可能性を広げられたな、前に進めたな、と感じられたりしませんか?
ところでこの季節、新緑とともに楽しみなのが、端午の節句のちまき。地域差があるようで、子どものころに食べていたものにはなかなか出会えませんが、最近は仙台のある和菓子屋さんのものを毎年楽しみにしています。これも同化と調節? 厄除け・無病息災を願って、今年も味わいました。
4月の心理学コラム:心とパフォーマンス(担当:近藤みどり)
2026/4/13 >> 役に立つ!!心理学コラム
はじめまして。4月に着任しました近藤みどりです。スポーツ心理学を専門としています。この道を志したのは、子育てが一段落してからのこと。それまでは子どもと過ごす時間を大切にしながら、テニスコーチとして活動していました。競技をしていた頃からメンタルには関心がありましたが、コーチ研修で出会ったスポーツ心理学の先生の講義に背中を押され、大学院進学を決めました。当時は、まさか大学教員になるとは思ってもいませんでした。人生は本当にわからないものです。
大学院修了後は、オリンピック・パラリンピックをはじめ、日本代表アスリートの支援機関で心理サポートと研究に携わってきました。昨今、アスリートのメンタルヘルスへの注目が世界的に高まっています。ハイパフォーマンスの現場で持続的に成長し、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、心身のウェルビーイングを支える仕組みが欠かせません。 昨年の国際スポーツ心理学会では、こうした視点から新たな概念モデルについて発表しました。
スポーツ心理学は、単に「試合で結果を出す」ためだけの学問ではありません。パフォーマンスとウェルビーイング、そして自分らしい人生をどう両立させるかを考える学問です。 心理行動科学科では、理論とスポーツ現場での実践をつなぎながら、「人が自分らしく力を発揮するとはどういうことか」を、みなさんと共に考えていければと思っています。
3月の心理学コラム:卒業式(担当:友野隆成)
2026/3/23 >> 役に立つ!!心理学コラム
2026年3月19日(木)に,本学の学位記授与式(卒業式)が執り行われました。我々大学教員は送り出す側として,大学の卒業式が毎年この時期の恒例行事となっているのですが,卒業を迎える学生の皆さんは,そのほとんどが送り出される側として唯一の経験となります。普段あまり気にも留めていなかったのですが,ちょうど私のコラム執筆担当時期と卒業式が重なったため,卒業を迎える学生の皆さんがどのような心境になるのか気になり,卒業式にまつわる心理学の研究を調べてみました。
Larsen et al. (2021) によると,「意味のある終わり」である卒業式が学生時代の良い思い出を振り返らせ,卒業を迎える学生に喜びの感情を喚起させるようです。但し,それは単に喜びだけではなく,切なさを伴う混合感情として発生するようでした。これまでの学生生活を振り返り,無事卒業できた喜びと,友人たちと別れる寂しさや卒業後への進路に対する不安などが混在し,何とも言語化しにくい感情状態になるということなのでしょう。
本学科を巣立つ皆さんも,上記と同じような混合感情を感じているかもしれません。今後のご活躍を祈念するとともに,またいつでも大学に戻ってきてくださいね。ご卒業おめでとうございます!
文献
Larsen, J. T., Hershfield, H. E., Cazares, J. L., Hogan, C. L., & Carstensen, L. L. (2021). Meaningful endings and mixed emotions: The double-edged sword of reminiscence on good times. Emotion, 21(8), 1650–1659. https://doi.org/10.1037/emo0001011
前回7月のコラムにおいては、2025年3月に卒業した犯罪心理学ゼミ1期生の卒業研究「命の大切さを学ぶ教室~京都アニメーション事件被害者等による心情伝達~」について御紹介いたしました。なお、同講演会を宮城県警察と協働で2025年10月11日(土)に本学大学祭においても開催しましたので、HPを参照願います。
さて、今回も卒業研究に関する情報をお知らせします。内容は、闇バイトの抑止です。注目したのは、大学生のSNS上における対人関係です。理由は、若年者がSNS上でのやり取りから、面識のない加害者(リクルーター)から「特技を生かせる」などと誘われ、特殊詐欺等闇バイトに巻き込まれないようにするためです。同研究は、「閲覧のみ」、「他愛のない会話」、「個人情報の開示」及び「深刻な悩み相談」をしているSNS上の相手から、闇バイトを誘われた際の危惧感が異なるかについて調査しました。結果、「深刻な悩み相談」をしている相手から闇バイトを誘われると、他の関係性よりも、危惧感が低くなることが明らかとなりました。つまり、大学生等の若年者は、SNS上において親密な関係、すなわち絶大なる信頼を向けた相手からの誘いであるため、自ずと危惧感が減少し、ひいては加担してしまうことが推察されました。その防止策は、今までの啓発文である「遭ったことのない知人」に加えて
「SNS上で信頼している相手」
「SNS上で悩みを相談している相手」
が闇バイトの加害者であるという心理教育が急務と考えられます。
犯罪被害者等を出さないためには、あらゆる角度から闇バイトへの加担を防ぐことが、必要です。
それでは、またこのコラムでお会いできることを楽しみにしております。
上記詳細については、以下に筆者が取りまとめた論文がございますので御参照願います。
https://www.mgu.ac.jp/miyagaku_cms/wp-content/uploads/2026/02/141_P89.pdf




