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7月の心理学コラム 映画の話し『ローマの休日』(担当:大橋智樹)

2013/7/10 >> 役に立つ!!心理学コラム

『ローマの休日』という映画があります。まだ無名だったオードリー・ヘップバーンが最優秀女優賞を獲得するなど、アカデミー賞3部門を獲得した名作です。

ヘップバーン演じる王女アンがローマ滞在中に城を抜け出し、アメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)と出会うという物語ですが、この映画を印象づけているのはラストのシーンです。ネタバレになるのでものすごく簡単に言うと、去って行ったアンが、戻ってくることを期待させるように、画面には通路だけが映り続けます。私には、この“通路の時間”がものすごく長く感じ、そこで一番ドキドキしました。戻ってきて欲しい、でも、戻ってきて欲しくない。そんな葛藤の時間です。

でも、結果を知ってしまっている2度目にはそんなに長く感じなくなります。最初、あれだけ長く感じた映画とは別の、短く編集された映画を観たような、そんな印象すら受けるでしょう。

人間にとって、時間はいつも平等には流れません。永遠に感じられる10秒があったかと思うと、一瞬に感じられる1時間があったりします。「心理的時間」などと呼ばれるこういった現象も、心理学の研究対象の1つです。

『ローマの休日』では、最初に観た時間の長さ、そして、2回目以降の短さを味わって「心理的時間」を感じてください。その楽しみを奪わないためにも、結果はナイショですよ。