Archive for 4月 10th, 2015

4月の心理学コラム 自分で作ると美味しい(担当:友野聡子)

2015/4/10 >> 役に立つ!!心理学コラム

先日、少し変わったカフェに行きました。メニューやお店の雰囲気はいたって普通、イマドキな感じです。何が変わっていたかと言うと、『手挽きコーヒー』です。それを注文すると、「どうぞお挽きください」と言われ、一人用のコーヒーミルを手渡されるのです。多くの客は、「自分で挽くのね…!」と、一瞬戸惑いますが、すぐにガリガリとミルを回し始め、コーヒー豆の香りを楽しみます。後は店員さんに抽出を任せ、出来上がったコーヒーを堪能します。

私の自宅にも、お世話になった先輩から頂いた手挽きのコーヒーミルがあります(写真左側です)。コーヒーに詳しいわけではありませんが、豆を挽く段階から手間暇かけて作ったコーヒーは格段に美味しい気がします。挽きたてのコーヒーが新鮮で美味しいということ以外にも、“自分で挽くこと”が美味しさを引き出す秘訣なのではないかと思い始めました。

調べてみると、このことはKathleen D. Vohs氏らによって実証済みでした(Vohs et al., 2013)。そのうちのある実験では、人々は、レモネードを自分で作った方が、他人が作っているところを見たときよりも、レモネードの味を風味豊かと評価しました。著者らは、一連の“儀式的行動”に関与することが、消費の楽しさに影響を与えると考察しています。

料理も、自分で作るとやたらと美味しく感じます。ただし、そのとき、夫の反応はイマイチなこともしばしばです(笑)。冒頭のカフェのように自分の幸せのためにさまざまな手作りに挑戦するのも良いでしょうが、手作りの客観的評価が低かったときには自分の過大評価を認識したほうが良いかもしれません。


▲我が家のコーヒーセット

引用文献
Vohs, K. D., Wang, Y., Gino, F., & Norton, M. I. (2013). Rituals Enhance Consumption. Psychological Science, 24, 1714-1721.