大塚商会ハートフル基金「宮城学院女子大学 閖上お茶の間プロジェクト」活動報告
「閖上お茶の間プロジェクト」立ち上げについて
これから、私たちが4月から行ってきた閖上プロジェクトについて報告させていただきます。 まず始めに、「閖上お茶の間プロジェクト」立ち上げのきっかけについてです。
このプロジェクトは、被災地で頑張っている団体や被災地のために活動を行っている団体への支援として大塚商会さんからの助成を受けて、私たちの先輩が東日本大震災により寛大な被害を受けた閖上地区の復興支援の一助として行ったものから始まりました。その活動を通して、私たちは仮設住宅暮らしの住民の方の孤立を防いでいきたいという声を耳にしました。食と深く関わりのある立場だからこそ、食を通して仮設住宅の方々が気軽に集える憩いの場を作りたいと考え、今年度のプロジェクト活動をスタートしました。
プロジェクト名「まざらいん」について
本プロジェクトの中心となる実行委員として、本学からは私たち学生2名と、美田園第一団地の住民の方から3名が集まり、美田園第一団地の自治会長さんやなとり復興支援センターの支援員の方々の支援をいただき、プロジェクトチームとして発足しました。そして、プロジェクト名を「美田一カフェまざらいん」と命名しました。ちなみに、「まざらいん」とは、閖上地域の方言で「一緒にまざりませんか」という意味が込められています。このプロジェクトの目的が、食を通じて仮設住宅や近くの集団移転された団地の方々が気軽に集える憩いの場を提供することとしていたことから、「まざらいん!」はまさにぴったりの名称だと思いました。
第1回(4/24)活動報告
具体的な活動内容を報告します。第1回は4月24日に実施し、まずは簡単なものからはじめようということで、季節にちなんだ「桜餅」を仮設住宅の方々と一緒に作り、お茶会を開きました。
初回ということもあり、私たち実行委員会メンバーもお互いにまだ慣れていない様子が見られましたが、桜餅を一緒に作っていく中で会話が増え、自然とコミュニケーションをとることができました。また、手伝ってくださった方々から「もっとここをこうすればいいのよ」などのアドバイスをいただき、スムーズに進めることができました。毎回終了した後には、次回の打ち合わせを行い、メニューや流れを決めていくようにしました。
第2回(5/15)活動報告
第2回(5月15日)にはどのようにするかを実行委員会で話し合ったところ、「みんなが作るところから参加できるようなものにしたい」という声がありました。そこで、好きな具材を参加された住民の方々が食材を選んで包んで楽しむことができる「オリジナルクレープ」になりました。
また、「お菓子を食べるだけでなく、お楽しみタイムもほしい」という声もあったことから、手作りジグソーパズル、手遊び歌のお楽しみタイムを設けました。ジグソーパズルは既製品でちょうどよいものがなかったので、第1回の時の写真を発砲スチロール板に張り付け、カッターで切り、手作りのジグソーパズルをつくりました。作るのは大変でしたが、住民の方々には大変ご好評をいただき、私たち自身もとても嬉しく、苦労して作った甲斐があったと思いました。
第3回(6/12)活動報告
第3回(6月12日)は、これまでの活動で少し慣れてきたなと感じたので、食事(昼食)にチャレンジすることにしました。メニューは親子丼、イワシのつみれ汁、漬物です。
仮設住宅集会所で調理、盛り付けをして、出来立てを食べていただいたところ、とても満足していただきました。イワシのつみれ汁は海の町である閖上ではよく食べられていた料理なので「なつかしい!」との声が聞かれました。また、漬物は住民の方に作っておいてもらうことにしたところ、食べた方々からの「おいしい!、作り方教えて!」の声に、作られた方々がすごくうれしそうな様子だったのが印象的でした。私たち学生だけでなく、みんなで準備しお互い協力し合うことになったのがよかったです。
レクリエーションは、手遊び歌とご当地クイズを行いました。ご当地クイズは、グループ対抗とし、優勝したチームには手作りカステラをプレゼントするなど、より楽しんでいただけるように工夫しました。また、学生メンバーも食品栄養学科の学生は食事、心理行動科学科の学生はお楽しみタイムにという役割分担をするといいねということになり、学生ボランティアの関わり方も少しずつ進化してきました。
第4回(7/17)活動報告
第4回(7月17日)は、活動当初から、お酒も出すことで今まで参加が少ない男性の方も来ていただけるので「居酒屋のようなものを開きたい」という声があったことから、夏祭りをテーマにした「夏宵まざらいん」としました。提供した料理は、夏祭りらしく豪華に、鮭の混ぜ寿司とタコ飯のおにぎり、鶏肉のつくね、厚揚げの煮物、かぼちゃサラダ、オレンジゼリーとしました。
参加人数は76名とこれまでよりもはるかに多く、料理数も多かったため、午前中から大学で料理の準備をして、万全の態勢で整えていきました。地域の方々のご協力もあり、スムーズに進めることができました。
また、今回も心理行動科学科の学生にお楽しみタイムを担当してもらい、楽しい時間をつくってもらいました。写真のように手作りのお面をかぶってお祭り感を出したり、住民の方にはフラダンスを披露していただくなど、終始にぎわっている様子でした。
やはり、楽しい時間を過ごすためには、おいしい食べ物とともに、レクリエーションなどの時間が重要だと実感しました。
活動を通して感じたこと
これまでの活動を通して、私たちは仮設住宅の住民の方々と接していくうちに、いろいろな会話ができるようになり、より親しみやすい関係がつくられてきたと感じています。
また、まざらいんを実施することで参加者の方々から、たくさん感謝のお言葉をいただくことがありますが、自治会長さんから届くお礼のハガキによって、私たちは住民の皆さんの温かさを実感し、活動していく上でのエネルギーになっています。
このような関係が築かれ始めているからこそ、今後の方針としては、仮設住宅の方々の孤立を防ぐために、ぜひこの活動をこれからも継続していくこと、この活動をもっと普及させて仮設住宅の憩いの場としてあり続けたいと考えています。
今後について
本プロジェクトが発足した時点では、住民の方々が主体的に動けるよう私たちがサポートし、いずれは私たちなしでも活動していただけるようにという考えでした。
しかし、実際には住民の方々や私たち食品栄養学科の学生と心理行動科学科の学生がそれぞれ役割を果たしつつ、みんなで協力していく体制がよいのかなと思うようになりました。ですので、当初の想定とは少し形は変わっていきますが、今後はそのような形で活動を進めていきたいと考えています。