8月の心理学コラム: 「ドボ8」の不思議 (担当:佐々木隆之)

2021/8/30 >> 役に立つ!!心理学コラム

クラシック音楽を聴いていると,自然に歌詞が浮かんでくることがあります.ロッシーニのセビリアの理髪師序曲の「やめてけれ」やマーラーの交響曲第1番の「こがねむし」は有名なところです.これらは,似た音楽が存在していてその歌詞を連想させると解釈されます.ドボルザークの交響曲第8番(通称「ドボ8」)にも歌詞がぴったりはまる箇所があります.第1楽章の「進めー進めー」や第2楽章の「私やーよやーよ」です.これらには歌詞を連想させる音楽が存在しているわけではないのに日本語の歌詞が自然にわいてきます.ドボルザークの他の音楽にも同様の現象があるので,チェコ(ボヘミア)の音楽が日本の音楽や日本語と何か通じるところがあるのかもしれません.このことについては,別の機会に改めて考察したいと思います.

ちなみに,私が持っている大阪フィル山田一雄先生指揮の「ドボ8」は第1楽章が2小節短いという極めて珍しい演奏です.山田一雄先生と親しくお話しさせていただく機会があり,その演奏のことについて聞くことができました.第1楽章の途中にトロンボーンの短いソロパートがあるのですが,2小節早く吹いてしまったというのです.演奏会の後,当時大フィルの常任指揮者で音楽監督だった朝比奈隆先生が「うちの若い者が粗相をして大変申し訳ない」と謝っていたと伺いました.古き良き時代の大先生たちのエピソードを聞くことができてうれしかったことを思い出します.
もうすぐ後期が始まりますが,COVID19の感染状況により大学は少しの間遠隔授業となります.学生も教員も遠隔授業に少しずつ慣れてきていますが,対面の授業が一日も早く再開できるよう願っています.

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