1月の心理学コラム 映画の話し『スティング』(担当:大橋智樹)
2014/1/10 >> 役に立つ!!心理学コラム
『スティング』はポール・ニューマンとロバート・レッドフォードという二大スターの共演するギャング映画です。アカデミー賞の脚本賞を受賞した名作です。
ギャングのボスを、騙されたと分からないように騙して大金をせしめ、さらに彼に追われている仲間を助けるというストーリーです。たしかにボスは最終的にまんまと騙されるのですが、この映画で一番騙されるのは観客です。ハラハラドキドキしたあげくに、自分も騙されて、やられたーとニヤリと笑って気持ちよく映画館を後にできる。そんな映画です。
考えてみると、騙されて喜ぶというのは変な話しですが、映画や小説以外にもそういうエンターテインメントがあります。なんだと思いますか?・・・手品です。手品師(マジシャン)は、騙せば騙すほど客に喜ばれる一方で、うまく騙せないと「金を返せ!」などと怒られる。不思議な職業ですよね。
人を騙して喜ばせる仕事をしている人は、まさに“心を読むプロ”です。だって、まず相手の心をちゃんと読めないと騙せませんし、でもそれで喜ばせるんですから、さらに相手を読まないとできません。
『スティング』もそうです。観客の心をわしづかみにして、ぐるぐる揺さぶって、最後には心地よい騙され感で満たされます。心を操られる喜びを感じられること、保証します。