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5月の心理学コラム:ドラマ10『お母さん、娘をやめていいですか?』(担当:木野和代)

2017/5/14 >> 役に立つ!!心理学コラム

ドキッとするタイトルが気になって、つい毎週視聴。2017年1月スタートのNHKドラマである。

脚本家曰く「母と娘の一筋縄ではいかない「ラブストーリー」」。親友のように仲良しで、気の合う母娘。娘にとって母は良き相談相手のように見える。しかし、心の奥では母親からの自立を望んでいることが、母親への唯一の秘密という10円ハゲに表されている。

母親が嫌いなわけではない。むしろ好きだから離れられない。恋人と距離をおくことになっても、母親の元へ戻ってしまう。臨床心理士の信田さよ子氏がその著書『母が重くてたまらない』の中であげた6つの母娘関係のうち「同志としての母親-絆から離脱不能な娘」に重なった。

NHKのドラマということは、社会的関心の高い/関心を持ってもらいたい題材ということだろう。番組HPの掲示板には、放送開始後から数えても1000件を超える書き込み。自分の体験に重ねた内容も多い。「自分だけではなかったことに驚いた」というコメントも。

家族の問題は、家の中だけに閉ざされがちで、子どもが相対化して捉えることが難しいという。信田氏が先の著書で一般向けにわかりやすく問題の親子関係を整理されていた理由もそこにある。その意味で、このドラマの意義は大きいと感じる。

そういえば、最終回のサブタイトルは『人形の家』。娘の自立を意味するメインタイトルとは裏腹に、実は「母親の子離れ」もこのドラマのテーマだったように思う。娘だけではなく、母親も「自分自身の人生」を自らの選択で歩んでいくという部分がもう一つの見所だったのではないだろうか。娘たちだけでなく、母たちにも捧げられたドラマだったのかもしれない。

母の日に、感謝を込めて