Archive for 3月 28th, 2015

3月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

2015/3/28 >> 役に立つ!!心理学コラム

リズムの話(3)

卒業のシーズンも終わりです.宮城学院は3月20日に卒業式があり,その夜に心理行動科学科の卒業パーティが催されました.

写真はその卒業パーティの1シーンです.ノリノリのパフォーマンスを見ていると,自然に手拍子が起こります.音楽に合わせて手拍子をするときには,音楽とほぼ同じテンポで手拍子を打つことができます.ところが,音楽のようなペースメーカーがないときにみんなで手拍子をすると,大抵,だんだん速くなっていきます.速くなってきたことに気付いた人が元に戻そうと努力すればするほど,手拍子が合わなくなっていきます.

卒業パーティの1シーン

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてみんなで手拍子をするとだんだん速くなるのでしょう? これには,ネガティブ・アシンクロニー(NA: ’negative asynchrony’)という現象が関係しています.NAとは,メトロノームのような等間隔の音に,テンポを合わせて手拍子やタッピングをすると,ほんの少しだけ早めのタイミングでたたくとちょうどよいと感じるという現象です.例えば,AさんとBさんの2人が一緒に手拍子をするとき,AさんはBさんのたたくテンポより少しだけ早くたたこうとします.ところが,BさんもAさんのたたくタイミングよりも少しだけ早くたたきたいのです.そうすると,無意識のうちに,AさんとBさんは相手よりも少しだけ早くたたく競争を始めることになるのです.その結果,少しずつ少しずつ早くなっていくのです.ライブなどで大勢の人たちが手拍子をする時も同じで,全員が他の人たちよりほんの少しだけ早くたたきたいという無意識の働きによって,だんだん速くなっていくのです.

もうすぐ新たな学生たちが入学してきます.気持ちを新たに,歓迎の準備をしています.