森のレストランから

森のレストランから

森のレストランから|vol.11

ぼくの,わたしの,こまつな

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園の畑では,冬野菜が収穫の時期を迎えています。

ある日,2歳児クラスのA君が園庭で遊んでいると,「もう,これたべられる?」と小松菜を育てている畑の前で興味深げに担任のB先生に聞きました。そこで,B先生は「給食のS先生に聞いてみようか。」とA君に投げかけました。

夏にも畑には野菜がたくさん実ったのですが,収穫する活動は主に3歳以上の子どもたちで,2歳児クラスの子どもたちはその様子を近くで見ていることがほとんどでした。B先生はA君の「もう,これたべられる?」をきっかけに,子どもたちが収穫した野菜を給食で食べるのもいいけど,子どもたちの目の前で調理して食べられたら,もっと感動が大きいのではないかと思い,S先生に相談したのです。そして,子どもたちが収穫した小松菜を,みんなでゆでて,醤油をかけて食べることになりました。

当日,畑に集まった子どもたちは,B先生の説明を嬉しそうに聞きながら,「どのこまつなをとろうかなあ」と首を長くして探しています。そして,自分の小松菜を決めた子どもたちは,力いっぱい小松菜をぬき,“ぼくの,わたしの,こまつな”を収穫しました。小松菜の根っこを初めて見た子も多く,「わー!おひげみたい」「モジャモジャだー」「ねっこはたべられるのかな?」と根っこの迫力に見とれているようでした。

その後,子どもたちは,自分の小松菜を大切に握りしめて水道に向かい,土のついた小松菜を一枚一枚ていねいに洗い,自分の皿にのせました。そして,B先生が「しゃぶしゃぶみたいに茹でるよ。」とゆで方を伝え,一人ひとりS先生に“わたしのこまつな”を茹でてもらいました。子どもたちはなんともいえずうれしそうで,「まだかな,まだかな」とワクワクしながら見ている様子に大人も感動しました。

S先生が子どもに「どのくらい茹でますか?かためがいいかな?柔らかめがいいかな?」と聞くと,「しゅばしゅばでおねがいします」と得意げに答えていました。「しゅばしゅば?」と大人は首をかしげましたが,どうやらお湯の中に小松菜を入れて「しゃぶしゃぶ」することを伝えたかったようです。茹で上がってすぐの小松菜からは湯気が上がり,熱々でしたが,待ちきれない子どもたちはB先生の真似をしながら,「ふーふー」と冷まし,おいしそうにほおばっていました。

青菜などの野菜は苦手な子どもたちも見られる2歳児のクラスですが,「ぼくの,わたしの,こまつな」は給食の小松菜とは違い,つい食べたくなる魅力的な野菜になっていました。

2018.12.27