園長ブログ

森のものがたり~今日のこども園~

2023.10.23 お名前は?

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今日は森のこども園の恒例行事となっている「もみがらかまど」での炊飯の日でした。僕もとても楽しみにしていたのですが、育苗、田植え、遠足に稲刈りとこれまで関わりが深まっている5歳児ひかり組の子どもたちは“くりこま高原ファーム”から道具を持っていらしてくださるKさんの来園を今か今かと持っていてくれました。やる気満々の子どもたちは、Kさんが到着するや否や歓声が上がり、車から降ろされた道具を準備していた手押し車に載せて園庭中央へ運び、バラバラだった金属の部品をKさんの説明を聞きながら組み立て念願の炊飯の準備が始まりました。子どもたちが運んだ硬い金属の部品の中に、金属とは対照的に柔らかいわらで編んだ籠がありました。この籠、現代のように保育施設に子どもを預け仕事に出かけるようなことが少なかった時代、田植えや稲刈り、畑仕事など外で仕事をする際に赤ちゃんを入れておく道具として使われていたことは聞いて知っていましたが、その名前は覚えていなかったため、Kさんにお聞きすると「えんつこ」と教えてくださいました。いわば現代でいうベビーベッドということになるのでしょうか・・・。そして、今日お持ちくださったのは、羽釜の大きさに合わせて特別に作られた籠。しかも30年ほど前に岩手県のおばあちゃんが手作りした「えんつこ」とお聞きし、その器用さ、そして貴重な道具と出会えたことに感銘を受けました。

「もみがらかまど」「羽釜」「えんつこ」など一般家庭ではお目にかかることがない様々な道具を使い炊き上げたごはんは、スイッチ一つで炊き上がる炊飯器とは違い大変さはあるものの、煙や熱などによって様々な感覚が刺激され、炊き上がるまでも楽しむことができることで、食べた時の感動もひとしおだったことでしょう。

今度はひかり組の子どもたちが育てたお米を使ってごはん炊きが予定されていますが、今年収穫できたお米の籾を機械で取り除き、玄米になったのは2.6kg!それを精米する作業が待っていますが、できるだけ無駄にすることなく美味しくいただきたいものです。

ちなみに、ほとんどの子どもたちと先生たちが炊飯に取り組んでいてくれたのでそこはお任せし、子育て支援室とひかり組の先生たちからオーダーを受けていた木の輪切り作りと柿の実を取るための道具作り、そして水が流れ地面が泥々している森の中に川と橋作りをしました。もちろん、たった一人ですぐに作ることはできることではない作業、児童クラブの子どもたちにも手伝ってもらいながら素敵な川になるよう、地道に取り組みたいと思います。

さて、先週土曜日に行われた「園の説明会」に13のご家族がお見えになってくださいましたが、その中に、お父さんが外国人の方がいらっしゃったので、説明会後の園舎の案内や質問を伺う時間ご出身を伺うとドイツ人とのこと。そこで片言のドイツ語で挨拶をし、お子さんに「Wie heißen Sie?(お名前は?)」と話しかけてみました。幸せなことに言葉が通じたらしく、僕には聞こえないような小さな声で「・・・」と返事をしてくれました。ところが、その「・・・・」を聞いた途端お父さんが笑い出したのです。一体何があったのか分からず「Bitte?(え、今何て言ったの?)」と聞き返してみるとお父さんが「おばあちゃんの名前を言いました」とニヤニヤしながら答えてくれました。彼がなぜおばあちゃんの名前を言ったのか真意はわかりませんが、改めて子どもの世界を見ることができた気がします。それは、今朝ロックスターのようにサングラスをしてきた(しかもレンズ裏表両方にシールを貼った)3歳児にじ組のG君の姿からも感じられました。

※夕方、講義館から園に戻ってくる時、暗くなった森の中に佇む園舎の屋根の綺麗な曲線、その天窓から漏れる灯りの美しさがUFOのようにさえ見えました。

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