園長ブログ

森のものがたり~今日のこども園~

2022.11.02 「ごはんのおかず」は「ごはん」でいいよ

CIMG9976

今日は、森のこども園 秋のうれしい恒例行事となった「もみがらかまど」の日。

種まきから稲作にとりくんできた5歳児ひかり組さんにとってはとくに特別な日でした。

稲作の先生としてずっとお世話になってきたくりこま高原ファームの加藤さんが新米を炊くために「もみがらかまど」をもってきてくれるのです。今日までにおいしいお米を育てようと頑張ってきたみんなにとっては本当に特別!!

本来であれば、先日稲刈りをしたひか組のみんなで育てたお米をこのかまどで炊いてみたかったのですが、水分量を測ってみると、まだ乾き具合がいまいち…「せっかくみんなが育てた大事なお米はベストな状態で食べた方がいい」「きょうはちょっとがまん!!」ということで、かまどで炊くのは加藤さんが持ってきてくれたくりこま高原ファーム産の新米になりました。

「もみがらかまと」というのは上の写真のとおり。もみ殻を燃料とした鋳物のかまどです。上に羽釜がセットできるようになっています。羽釜が出てくると、小さいクラスのお友達から「かまめしどんだ」「かまめどんににてる」と声があがりました。今はなかなか目にすることが少ない羽釜ですが、キャラクターで見知っているのですね。「もみがらかまど」は細かなパーツを組み合わせて組み立てて使います。ひかり組の子どもたちは加藤さんの車から降ろして園庭に運ぶところから、加藤さんに教わってがんばりました。今日は、お米とぎ、かまどの組み立て、会食のテーブルセッティングなど、いろいろな役割があったひかり組。本当に頼もしいです。

燃料のもみ殻をかまどにさらさらと入れて火をつけて、といだ新米とお水を入れた羽釜をのせてしばらく待ちます。湯気があがってくると加藤さんは「今、釜のなかでお米が踊っているところだよ」と教えてくれました。「どんな感じでおどるのかな…」想像してみたら楽しい気分。

炊けるまでの時間はそれぞれ森で遊んだり、時々かまどの様子を観察したりしましたが、楽しかったのは脱穀と籾摺りの体験です。

脱穀は牛乳パックに稲穂を入れて口を押え穂の根もとをもって引っ張るという方法。籾摺りはいろいろな方法がある中で、本日は一粒一粒を指先で器用にもって爪でむくという方法でやってみました。これはなかなか大変でしたね。

いよいよ炊き上がり!! 羽釜の蓋を開けると「うわー」っと歓声があがりました。感動の瞬間です。

しゃもじで切るようにまぜたら、いよいよみんなが楽しみにしていたお味見タイムです。

少しずつ手のひらにのせてもらってフーフーしながらいただきます。あつあつの炊き立てごはん、おいしかったね。

「あまい」「おいしい」と子どもたち。もっともっとお味見がしたかったけれど、続きはお昼ごはんで食べましょう。

ひかり組さんは野外炊飯場でテーブルセッティングです。テーブルクロスの紐をテーブルの脚に結んだり、テーブルにかざる草花を生けたりと大忙し。白いバラは「お米と同じ色がいいとおもって…」とお友達が選んで、お家で用意してくれたそうです。すてきですね。次の写真のアレンジメントは森にある秋の草花。ぽつぽつと小さな赤い花をつけたミズヒキがポイントです。素朴だけど子どもたちの心がこもった演出です。「加藤さんよろこんでくれるかな…」どきどきわくわく…。

ひかり組さんは加藤さんと一緒にお昼ごはん。

あんまりご飯がおいしくて「『ごはんのおかず』は『ごはん』でいいよね」と名言が飛び出すほどでした。大好きな加藤さんと一緒。米作りを共に頑張った仲間たちと一緒のごはんは特別な味がしたことでしょう。

食後は加藤さんに質問タイム。ひかり組さんはちゃんと質問を考えていたようです。一部紹介しますね。

「加藤さんはどうして米作りをするようになったんですか?」

⇒加藤さんのお父さん米作りをしていたんだよ。一人じゃなくて仲間と一緒にやろうってことで会社をつくったんだ。加藤さんは20歳の時から働いているよ。今年で48年目だよ。

「米作りに太陽はどれくらい必要ですか?」

⇒どれくらい…というと難しい話になるけれど、太陽の光はとても大切。何年か前のひかり組さんの米作りでは、もっと森の近くで育てていてなかなか大きくならなかったことがあったよ。森ではあんまり太陽の光が当たらなかったみたいだね。米作りには、水・空気・太陽が絶対必要なんだよ。

「米作りをもっと早く(栽培期間の短縮)する方法はないですか?」

⇒米作りにはとても時間がかかるもの。どう頑張っても1年に1回しか収穫できないんだよ。

 

本当にいい質問ばかりで驚きました。またそれに答えてくださる加藤さんの語り口もとても優しく、子どもたちの心にストンと落ちる、納得のいく答えでした。時間と手間がかかる米作り。子どもたちも体験したからこそ加藤さんと共感できるものがあったのでしょうね。大事に大事に育てられたお米。これからも感謝していただきましょうね。

今後は、こども園の田んぼでひかり組さんが育てたお米をおいしく食べる計画を立てています。また加藤さんをご招待しましょう!!

 

Contents