園長ブログ

森のものがたり~今日のこども園~

2024.03.11 忘れない、忘れてはいけない

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東日本大震災発生から13年を迎えた朝、今週末に修了式を迎える5歳児ひかり組の子どもたちは残り少ない園生活を惜しむかのようにいつも以上にハイテンションで遊んでいました。ところが、保育室でスイッチを入れてもらったのでしょう、数十分後、広場での修了式の準備が始まると表情が一変、入場する時から真剣さと緊張感が伝わってくるほどでした。本当は、そんな子どもたち以上に僕が不安の中にあったような気がしてなりませんが、それを打ち消してくれたのは子どもたちの笑顔と歌声と素敵なメッセージだったように思えます。修了式当日は大勢の保護者の皆さんや来賓を前に今日とは違う雰囲気、緊張感の中での修了式となることは間違いありません。最初で最後の修了式、子どもたちの門出の日をみんなで祝いたいと思います。

さて、今日の午後、礼拝堂で行われた学院の職員礼拝は東日本大震災追悼記念礼拝でした。礼拝の途中、発災時間に合わせ黙祷の時も守りましたが、13年前の3月11日2時46分、3分以上揺れた地震、それでも子どもたちを全員保護者のもとへ返すことができたこと、電車が止まり帰宅できず余震が続くごった返した寒い避難所で眠ることができず朝を迎えたことが鮮明に浮かんできました。また、キリスト教保育連盟東北部会の役員として、磯の香りにガソリンや泥などの臭いが混ざり合った言葉では表現する事ができない、あの時以来嗅いだことがない臭いが残る南三陸町や気仙沼など沿岸部の被災地の園を訪ねたこと、原発事故の影響で放射線量が高く避難せざるを得なくなった福島の園を訪ねたことを思い出します。広島の原爆ドームがそうだったように賛否両論がある中、震災遺構として残されることになった南三陸町の防災庁舎、嵩上げされて当時とは違う景観になりましたが、あの日のことは忘れない、忘れてはならない、被災地に住む者として後世に伝えていかなければならないことを強く思わされる時間となりました。