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 > 第2章 - 2. 宮城学院の被害状況

 2 - 2 . 宮城学院の被害状況


東日本大震災によって、宮城学院の建物はその耐震性に影響を受ける損傷はなかったものの、耐震壁のひび割れ、外壁タイルの一部脱落、天井落下、設備の損傷等を受けた。建物設備備品の被害額は、建物・設備224,345千円、機器備品62,650千円の総額286,995千円となった。

 (1) 建物の被害

- 3月11日(金) -
帰宅困難学生・生徒の二次避難場所及び対策本部設営場所を確保するために、施設関係者による本館・体育館の安全確認を行った。本館は低層(3階建て)ということもあって、被災程度は軽微であると判断し3階会議室を使用した。大学体育館は、天井材の金属製ネット2枚がフレームから外れていたが、ネットはワイヤーにより落下防止策を施してあったので、落下の危険性はないと判断し、二次避難場所として使用した。中高体育館は、ネットの他に照明器具が宙づりになった状態で、落下の危険性があるため、二次避難場所としての使用を断念し、中高ランディス館を使用した。


- 3月12日(土)~13日(日) -
緊急調査のために(株)竹中工務店東北支店構造設計部の技術者3名が来校し、本学院財務施設部の職員と合同で、緊急被災状況調査を実施した。人文館・実習館、講義館、音楽館、大学講堂、学生センター、礼拝堂の第1回目の調査を行った。人文館・実習館は5段階評価の②と③の中間程度、家政館が②、それ以外の建物は、5段階評価の①と判定された。判定結果により、調査が完了した建物の立入が可能と判断されたが、断続的な余震、家具・備品の転倒、ガラスの飛散により安全制の確保が難しいことから、本館・体育館・ランディス館以外は立ち入り禁止とした。また、空中歩廊の建物側接続部は、4階部分にあり外部からの十分な点検ができないことから、すべての空中歩廊を通行禁止とした。

※5段階評価の所見

①地震の影響は軽微で、耐震性に大きな影響がないものと判断します。
②主要構造体に軽微な損傷が見られますが、建物全体の耐震性の低下は小さいと判断されます。
③主要構造体の一部に損傷が見られます。建物全体の耐震性については若干低下していると判断されますが、緊急の補強・補修を要するレベルではありません。

- 3月24日(木)~25日(金) -
(株)一粒社ヴォーリズ建築事務所・遠山構造設計事務所、(株)竹中工務店本社設計部の技術者が来校し緊急被災状況調査を実施した。本館、実習館、第二講義館、家政館、第二家政館、大学図書館、大学体育館、中高体育館、屋内プール、同窓会館、中高棟、中高講堂、ランディス館、幼稚園、中高寮、空中歩廊の調査を終え、調査した建物は、5段階評価の①と判定された。 両日の調査で、学院内の全ての建物について緊急性を要する被災状況調査を終え、耐震性に大きな影響を与える被害はなく、構造体としての損傷度は軽微~損傷度Ⅲ(小破)と判断された。耐震壁・耐力壁部分に多く認められる構造クラックの発生箇所に対しては耐久性の観点から補修の必要性が報告され、補修計画を策定した。

- 4月14日(木) -
4月7日の震度6弱の余震により、(株)竹中工務店本社設計部の技術者が来校し再度、全館の緊急被災状況調査を実施した。 復旧補修工事開始後であったが、補修箇所に新たなひび割れなどの被害はなかった。余震後、新たな被害として煙突(工作物)内部の耐火レンガが脱落・落下した箇所を確認した。

<状況調査立合>
3月12日~13日 ・(株)竹中工務店
・本学事務職員(財務施設グループ)
計5名
3月24日 ・(株)一粒社ヴォーリズ建築事務所
・(株)竹中工務店
・本学事務職員(財務施設グループ)
計7名
3月25日 ・(株)一粒社ヴォーリズ建築事務所
・(株)竹中工務店
・本学事務職員(財務施設グループ)
計6名
4月14日 ・(株)竹中工務店
・本学事務職員(財務施設グループ)

計5名

 (2) 土地の被害

土地の被害状況として、沈下・陥没・地割れが発生した。



 (3) 設備・備品の被害



東日本大震災によって、宮城学院の建物はその耐震性に影響を受ける損傷はなかったものの、耐震壁のひび割れ、外壁タイルの一部脱落、天井落下、設備の損傷等を受けた。建物設備備品の被害額は、建物・設備224,345千円、機器備品62,650千円の総額286,995千円となった。



 被災状況一覧



 (4) 復旧一覧

授業開始が5月初旬と決まり、学生の受け入れまでに被害の象徴である壁と床のひび割れを、低圧エポキシ樹脂注入工法により補修し、教室内塗装仕上げ工事を先行して行った。並行して、授業に支障がないように防災設備、空調・給排水設備の補修を行い、授業再開の準備をした。パイプオルガンと講義館にある暖房用の煙突修理は、専門工事業者の手配がつかず夏休み中の工事となった。