園長ブログ

森のものがたり~今日のこども園~

2024.05.22 子どもは科学者

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20世紀において大きな影響力を与えた心理学者の一人、ジャン・ピアジェは、雨上がりの水たまりを見つけた子どもが、そこへ実際に入ってみて、どうすれば洋服や靴が汚れるか確認しようとする児童期の子どもたちを科学者にたとえて説明しようとした。洗濯という厄介な仕事を増やし「どうしてそんなことするの!」と親を困らせるのですが、何度も試した末に納得に至るという行動が真理を究めようとする研究者の姿勢と似ているということだったのでしょう。

多くの子どもたちが芝生広場などに散歩に出かけ、少々静かなこども園の園庭や森でも、たくさんの科学者たちが実験に取り組む姿が見られました。5歳児ひかり組のTちゃんはハルジオンなど複数の花をカップに入れて、それをすりこぎに丁度いい太さの枝(木)で潰し「園長先生、見てジャムできてきたよ」と見せてくれたかと思えば、男の子たちは水道の蛇口をひねり、これまたどこから見つけて来たのかと思うような木(流しそうめんに使う竹のよう)を使い、ゴミバケツに流し入れたり、一人でも運べる大きさのバケツに水を入れて何往復もして川を作るのに夢中になっていました。晴天ということもあり長靴を履くこともレインコートに身を包むこともなく水遊びをしているのですから、靴やズボンが濡れたり泥だらけになったりするのですが、そんなことお構いなし。また、近くの野外炊飯用のテーブルの上には泥で作られたケーキや団子が並んでいたものの、なんとなく色合いが寂しい印象を受けたので「ねえ、へびいちごでも飾ったらどう?」なんて余計なことを言ってしまいました。すると芽を輝かせた数人が「えっ?いいねえ」と興味を示し「でもどこにあるの?」と聞いてくれたので、数日前に見つけていた、いちご畑を紹介してあげました。すると、日の当たらない森とは違い、草に覆われそうになっているものの、日当たり抜群の環境で育っているへびいちごを見て皆大喜び。早速いちご摘みが始まりました。そんな子どもたちに「ねえ、へびいちご食べたことある?」と尋ねてみたところ、誰一人食べた経験がないことがわかりました。そこで、「園長先生は食べたことあるけど、美味しくなかったなあ。でも食べてみたいなら食べてみたら?」と話すと、少し間があった後、興味関心がある果敢な子どもたちが次々と味見を始め「ううぇー苦い」「味しない」「ザラザラする」という不評な感想ばかりが聞こえてきました。それでも、園のボランティアや観察に来園した学生たちに「ねえ、食べて見て」とお薦めし、その子どもたちのリクエストに応え3年生の学生が味見をすることになり子どもたちに「どう?」と質問され自分達と同じ「ザラザラする」という感想が帰ってきて「やっぱりね」と答える姿が可笑しくて仕方がありませんでした。

明後日は待ちに待った「羊の毛刈り」の予定日です。子どもたちにも先生たちにも刈った毛でどんなものを作ることができるか、知って(驚いて)もらえるように、研究室の棚に飾っておいた羊毛の作品を運んできました。今回どれくらいの重さ(量)の毛が刈れるか分かりませんが、素敵な作品を作ることができるように、先生にいらしていただきワークショップなどができれば・・・。そんな夢を見ています。      

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