深澤先生本紹介 | |
十一月十五日に、深澤昌夫先生が著書『現代に生きる近松ー戦後60年の軌跡―』を刊行なさいました。ここではその本についての紹介をします。 江戸時代に活躍した近松門左衛門の文楽、歌舞伎作品は、現代でも様々な形で受容、展開されています。この本は演劇、音楽、舞踊を主とする舞台芸術、さらに映画、テレビ、ラジオといった幅広い作品に目を向け、戦後六十年に及ぶ近松作品の上演を記録しています。上演頻度が高い原作は『曽根崎心中』で、六十年間で演劇だけで約五十作品あるそうです。映画化もされていて、一九八〇年前後に実写、人形劇ともに作られました。実写の主演は宇崎竜童です。他にも、様々な音楽作品(オペラ、オーケストラ作品から、中島みゆきまで!)への展開、海外への進出、など興味深く発見することの多い本だと思います。 なお、この本は日本文学科図書室に配架されています。近松に興味のある人はもちろん、今まで近松作品に触れた事のない人もぜひ手にとって見てください。(岩) | |
製本講習会 | |
六月九日、C六一〇教室にて第四回製本講習会が開かれました。日本文学科から参加者を募り、二十名が参加しました。当日は昨年の製本講習会でもお世話になった、キハラ株式会社・製本アドバイザーの高尾さんと水野さんを講師にお招きし、今回も論文、文集、資料コピーなどの製本の仕方と本の修理の仕方を教えていただきました。参加者には厚さ約一センチの紙束を持参してもらいました。中には授業で配布された資料や過去のノート、発表資料などを持ってきた人もいたようです。 高尾さんの手元では、ただの紙束が立派な本になっていきます。私たちも手順毎に区切って教えていただいたおかげで、誰も滞ることなくスムーズに製本することができました。出来た本を最後はプレス機にかけてしっかりと形を整えます。しばらくしてプレスを終えた本が手元に戻ると、皆、出来を確かめるように開いたり、友達と出来を見せ合ったりしていました。本を作るという、普段の生活ではなかなか出来ない作業を体験する事ができ、出来上がったときにはとても感動しました。 次年度も製本講習会を行う予定です。詳細が決まり次第お知らせしますので、興味のある方は是非ご参加下さい。 (松) | |
歌舞伎&文楽鑑賞 | |
<歌舞伎鑑賞> 去る七月十七日、宮城県民会館にて松竹大歌舞伎の仙台公演が行われました。今回の歌舞伎公演は、三つの演目があり、大変素晴らしく、充実した時を過ごすことが出来ました。ここでは、演目ごとの紹介と報告をしていきます。 まず、中村吉(きち)右衛門(えもん)が「ご挨拶」として出てきて、挨拶と演目の簡単な解説を行いました。話し方の上手さにただただ感服するばかりでした。会場からは笑いがおこり、和やかな場を作り出していました。次の演目は「玉兎(たまうさぎ)」です。この演目は有名な市川染五郎が影勝(かげかつ)団子(だんご)売りと月に棲む兎を演じています。二つの存在が見事に混ざり合い、見ごたえのあるものでした。動きが可愛らしく、浄瑠璃、三味線が更にその素晴らしさを引きたてていました。次の演目は「仮名(かな)手本(でほん)忠臣蔵(ちゅうしんぐら)」の「祇園(ぎおん)一力(いちりき)茶屋(ちゃや)の場(ば)」です。この演目は、歌舞伎狂言の三大名作の一つです。 ― 仇討ちの密書を読む大星(おおぼし)由良(ゆら)之助(のすけ)(中村吉(きち)右衛門(えもん))、それを鏡で覗き見した遊女のおかる(中村芝(しば)雀(じゃく))、縁の下には敵へ寝返った九(く)太夫(だゆう)(中村吉五郎)、更には仇討ちの一味に加わりたいおかるの兄、寺岡平(てらおかへい)右衛門(えもん)(染五郎)まで加わって、様々な思いが動き始める。仇討ちの計画を知ってしまったおかるは殺されてしまうのか。 ― 女形の美しさには惚れ惚れしてしまいます。かんざしが落ちるあの一瞬に目を奪われない人はいないでしょう。最後は「太刀(たち)盗人(ぬすびと)」です。田舎者の万兵衛(高麗蔵(こまぞう))と太刀を盗もうとした九郎兵衛(歌昇(かしょう))の、互いに太刀の持ち主だと証明するやり取りは笑わずにはいられません。 この短い文では説明し切れません。是非とも生の歌舞伎を見て笑いあり、涙ありの素晴らしい時間を過ごして下さい! (小) <文楽鑑賞> 去る十月十八日、電力ホールで人形浄瑠璃文楽の公演がありました。学生の多くが鑑賞した夜の部では、人形遣い(にんぎょうつかい)の吉田幸助さんから文楽と今回の演目についての解説があり、『伊達娘恋(こいの)緋(ひ)鹿子(がのこ)火の見櫓の段(だん)』『生(しょう)写(うつし)朝顔話(あさがおばなし)』 「明石(あかし)船(ふな)別れ(わかれ)の段(だん)・宿屋(やどや)の段(だん)・大井川(おおいがわ)の段(だん)」の二本が上演されました。 『伊達娘恋緋鹿子』は八百屋お七を題材としています。お七は切腹をすることになった恋人を救うために、火の見櫓の半鐘を打ち、夜間は通行禁止だった町の門を開かせます。しかし、火事でもないのに半鐘を打った者は死罪を免れられません。お七は「焼き殺されても男ゆえ、ちつとも厭(いと)はぬ大事はない」と死をも恐れず、恋する思いだけで火の見櫓へとのぼっていくのです。お七は情熱の赤い着物を着て、長い髪を振り乱しながら、舞台を所狭しと行き来した後、一気に櫓を上ります。人形遣いの姿は消え、お七一人が好きな人のために命をかけて櫓を上る姿に心を奪われました。『生写朝顔話』は宇治で偶然出会い一目で恋に落ちた、安芸の武家の娘深雪(みゆき)と山口・大内家中の阿曽(あそ)次郎(じろう)の切ない恋のお話です。出会って間もなくすぐ離れ離れになった二人は明石の浦で再会します。しかしそれも束の間、悲しみの末、深雪は失明します。その後再会を果たすも、阿曽次郎は名乗らずにその場を後にします。「韓流ドラマのよう」と解説でも言われていた通り、運命のいたずらによるすれ違いが、見ている方をはがゆくさせる話でした。八百屋お七と同様、恋に生きる女性の激しさが表現されていて、共感した人もいたのではないでしょうか。義太夫(ぎだゆう)、三味線(しゃみせん)、人形の織り成す芸術、そして切なく燃えるような恋の物語に触れた、素晴らしい舞台でした。 (岩) | |
電子逍遥 | |
今回は、「世界傑作格言集」というサイトを紹介します。 タイトルが示すとおり、このサイトには古今東西の著名人たちが遺した名言が掲載されています。その量もさることながら、恋愛から人生に至るまで様々なジャンルの名言が網羅されており、きっと今のあなたにぴったりな言葉を見つけることができるでしょう。 人間関係が上手くいかない、自分の進むべき道が見つからない、自分とは一体何なのか。人は一生の中で様々な問題に直面し、何度も悩みます。それを自分の知識や経験だけでは解決できないとき、過去を生きてきた先人たちの言葉が、先の分からない人生という霧の中を進むための道しるべとなるのです。偉人と称される人々も、かつては私たちと同じ悩みを抱いて自分なりの答えを出しました。それは悩んだ人間の数だけ存在し、一様ではありません。しかし数ある言葉の中で、自分の気に入ったものがきっと、人生を豊かにしてくれることでしょう。 格言は堅苦しいとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、くすりと笑ってしまうユーモアに富んだ言葉もたくさん掲載されています。特に恋愛の項目は面白さと的確さを兼ねそなえた秀作ぞろいなので、一度ご覧になってみてください。 『愛する――それはお互いに見つめ合うことではなく、一緒に同じ方向を見つめることである』 byサン・テグジュペリ http://kuroneko22.cool.ne.jp/ (浅) |