文学旅行 | |
十一月七日(日)、秋晴れの中、私たちは山形県へ文学旅行に行きました。道中では山々の緑が鮮やかな赤や黄色に染まり、これから始まる旅行にますます期待が膨らみました。
私たちが、まず向かった先は山寺です。山寺の正式名称は宝珠(ほうじゅ)山(ざん)立石(りっしゃく)寺(じ)といい、清和天皇の勅願によって開かれた天台宗の山です。 一六八九年(元禄2年)には松尾芭蕉がこの地を訪れ、『おくのほそ道』の名句 閑さや巌にしみ入る蝉の声 を詠んだとして有名な地です。 当日は、老若男女さまざまな世代の人たちが、頂上の奥之院を目指して険しい山道を登っていました。 その途中途中では国の重要文化財である立石寺三重小塔や立石寺中堂を見ることができ、その堂々とした風格に圧倒されました。 何よりも感動したのは、頂上の奥之院から見た紅葉の美しさです。 紅葉の間から垣間見える山形の壮大な平野が、なんとも言えない風情を醸し出し、その景色には息をのみました。 続いて向かった先は出羽桜美術館です。ここは、出羽桜酒造株式会社社長であった仲野清次郎氏が生前集めていた李朝陶磁や絵画を展示している美術館です。 中に入ってみると、まるで祖母の家に来たような懐かしい匂いがしました。 話を聞くと、この建物は築百年だそうで、民家を改装した美術館に行ったことがなかった私には、とても新鮮に感じられました。 ここの美術館には斎藤真一心の美術館という分館もあります。ここには、仲野清次郎氏が心揺さぶられた画家、斎藤真一という画家の作品を展示していました。 彼の絵は色使いが特徴的で、特に「赫(あか)」の使い方が絶妙です。 彼は、絵の具のチューブから出したままの「赤」より火のように鮮やかでパチパチと音をたてて眼底に焼きつく「赫」に魅力を感じていたそうです。 『紅い陽の村』という絵は、描かれている太陽がまさに「赫」であり、一度見ると目を離せないほど魅力的な作品でした。 最後に向かった先は広重美術館です。ここでは、浮世絵師、歌川広重の作品を展示しています。 学芸員の方の専門的かつ分かりやすい説明も聞くことができ、学芸員志望者には有意義な体験だったのではないでしょうか。 今年の文学旅行は日帰りでしたが、内容が非常に濃く楽しむことができました。誰でも参加できる旅行なので、今年参加出来なかった皆さんも、来年参加してみてはいかがでしょうか。(千) |