葉86号

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犬飼先生インタビュー

 今回は、今年度をもってご退職なさる犬飼公之先生にお話を伺いました。犬飼先生についてご存じだと思いますが、改めて紹介します。

 犬飼公之先生は一九四四年に長野県松本市にお生まれになりました。二松学舎大学文学部卒業後、國學院大學大学院博士課程で学ばれ、現在は本学の教授を務められています。主な著書は『埋もれた神話―古代日本人の人間創成―』、『琉球組踊 玉城朝薫の世界』などです。一九八六年に上代文学会賞、二〇〇五年に沖縄文化協会賞(仲原善忠賞)を受賞されました。

 犬飼先生の口調を、なるべくそのまま書きおこしましたので、先生のことを思い出しながらインタビュー内容をお楽しみ下さい。

Q1.趣味は何ですか?
A1.骨董美術。形あるものに気持ちが傾いてるかな。学生なんかと会ってるとイライラするでしょ(笑)そういうときに骨董品を擦ったりしてると少し気持ちが落ち着くわけ。かつてはバトミントンなんかもやってたんだけど、ものすごい激しいから、二十歳すぎると駄目ね。

Q2.好きなものを教えてください。
A2.あんまり嫌いなものはないんだよ。おいしいものがいいね。まぁ、しいて言えば蕎麦関係なんかはしょっちゅう食べに行ってるね。

Q3.沖縄に興味を持ったきっかけはなんですか。
A3.今から三〇年くらい前に、上代文学の連中が沖縄をターゲットにして研究をやってたんですよ。その時、僕は人と同じことするのが嫌いですから、連中の熱が冷めてから出かけたの。
沖縄に破風(はふ)墓(はか)ってやつがあって、三人くらい住める家みたいに大きいんですよ。それ以外にも異国、異領域という感じを強く持たされて、沖縄に入っていく理由になったんでしょうね。

Q4.万葉集の魅力は何ですか。
A4.僕が卒論を書きあげたときにね、鴻巣(こうす)隼(はや)雄(お)と、中村よしおさんっていう先生から、大学院を受けろって言われて。それで国学院入っちゃったの。で、もうちょっと鴻巣隼雄たちがやってた学問をもう1回聞いてみようと思って、鴻巣さんのところに相談しに行ったのよ。そうしたら、中西進を紹介してくれて、中西進が「お断りします」って出てったのよ。その後付いて行って、教室の一番後ろに座ったの。中西さんが古代文学の授業始めたんだけど、俺がいるのを見つけて降りてきたの。俺の横に立って「あなた図々しい人ですね」って言ったの。で、俺は「はい、図々しさが売り物です」って言ったんだよ。それが俺と中西さんとの出会いだったんですね。
大学院では国学院の当時の学問のトップだった高崎正秀先生の授業を聞いて、生まれて初めて脊髄がビリビリビリって震えるような感動ね。その二つの出会いがおそらく、万葉集だとか古代文学に引き込んだ理由じゃないだろうか。
特に中西さんの場合には文学として万葉集を読むっていう、背筋の部分を徹底的に教わったって気がしますよね。

 Q5.宮城学院で一番印象に残っていることは何ですか。
A5.これ困っちゃいますね…。いっぱい残ってるから。当時は駅前で、手狭でしょ。で、僕が行ったところはね、ほんとに狭くて机置いて座ると学生が入れないんですよ。2年目に大きいところに変わりましたけど、えらいことですよ。 教員で印象に残ったのは石井昌光先生。日文の先生で、当時学長やってたんだよ。宮城に入る前ですけどね、いつになっても正式な任用の文章が来ないわけさ。それで焦ってな、2月頃にさ、勝手に宮城学院訪ねてきたの。そしたら、偶然にね石井昌光先生がいたの。で、学長室に呼ばれて、石井さんはね、ものすごい情熱でね「あなたが来るのを待ってるんだよ」って感じの話から始まって、自分の宮城学院の構想ね。それを朗々としゃべるわけ。このエネルギーには負けたね。

Q6.宮城学院の学生にメッセージをお願いします。
A6.宮学生にメッセージ残したいけど、これ残すにはまだ早すぎます。辞める前に来いって言え(笑)

お忙しい中、インタビューにご協力頂き、ありがとうございました。(悠)

 

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