文学旅行 | |
十月十日、 一一日の二日間、深澤先生と日本文学科の学生二十九名で文学旅行を実施しました。
前日は台風が近づいており、出発できるのかと心配でした。 しかし、思いが通じたのか旅行当日は見事な快晴になり、無事に出発することができました。 今回の舞台は栃木県と福島県で、最初は福島県にある「智恵子記念館」に向かいました。高村智恵子は、「レモン哀歌」で有名な高村光太郎の『智恵子抄』で名が知られています。 最初に智恵子が製作した紙絵や油絵が展示されている資料館へ行きました。美しい作品一枚一枚にはまるで智恵子の思いが籠っているようで、おもわず見入ってしまいました。 次に、智恵子が暮らしていた阿多田羅の生家に訪れました。昔、造り酒屋を経営していた生家では、生前智恵子が使用した居間を間近で見ることができ、彼女をより身近に感じることができました。 二本松観光センターで昼食をとり、「芭蕉記念館」に向かいました。この記念館は松尾芭蕉が須賀川に七泊八日滞在した当時から、三〇〇年を記念して建てられた所です。 芭蕉ゆかりの名書や掛け軸などを見学し、芭蕉と須賀川の関係をビデオで学び、芭蕉について詳しく知ることができました。 一日目の最後には「塩原もの語り館」に行きました。塩原には夏目漱石や尾崎紅葉などが訪れていて、景観や自然は彼らの作品に深く影響したと言われています。 ここでは、塩原と文人がどのように関わったかを、写真などの展示品や、もの語リシネマなどを通してじっくりと学びました。 もの語り館の外には「紅の吊橋」と呼ばれる橋と「篇川」があり、その景色は周りの緑と相まって非常に心奪われるものでした。 夜は「塩原温泉和泉屋旅館」に泊まりました。この旅館は四七〇年も続く老舗で、斉藤茂吉など多くの著名な文人が宿泊しています。 まさに文学旅行にふさわしい宿でした。料理の美味しさ、温泉の気持ち良さや、近くを流れる川の美一麗さは心に残りました。 さらに、今回の旅行のために社長の由代さんが、直々に宿について冊子付きで丁寧に解説して下さるという嬉しいサプライズまでありました。 二日目の最初に向かった場所は、「平家の里」と「平家落人民俗資料館」でした。平家の里は、源氏に敗れた平家が落ち延び、生活したとされる湯西川の文化や生活を現在に残すべく 復元されたところです。 冠木門を潜り、里内の大自然庭園へ足を踏み入れれば、まるで昔にタイムスリップしたかのような感覚になりました。 その雰囲気は、とても素晴しいものでした。 里内では今では見ることの出来ない茅葺屋根の建物の中や、湯西川で生産していた木杓子などの民芸品を見学しました。 また、鹿と触れ合うこともでき、貴重な体験をしました。 平家落人民俗資料館では平家が使用した太刀や馬具、短刀などの珍しい資料が展示されていました。 平家の人々が音に使用したであろう器具を間近で見て平家の人生について思いを馳せました。 お昼には、栃木名物宇都宮餃子を食べました。 皮はモチモチ、中はジューシー、焼くとパリッとした食感でどんな調理法でも美味しい餃子でした。 最後に、芭蕉の道という遊歩道を通り、「芭蕉の館」を訪れました。 この資料館の前には、芭蕉と弟子の曽良の像が設置されていて、彼らは一体どのような人物だったのかと想像を膨らませました。 資料館内にも芭蕉自筆の『奥の細道』などの紀行文の複写や、芭蕉の旅を描いた旅絵巻など、興味深い展示が数多くありました。 また、一般の方々が詠んだ俳句が掲示されているコーナーがありました。見事な一句や微笑ましい一句があり、楽しい時を過ごしました。 二日間という短い時間でしたが、短い中にも日本文学ゆかりのものに間近で触れ、面白さを学ぶことができ、とても良い経験になりました。 (米) |