夫婦で営むレストラン生産者と消費者を料理を通じてつなぎたい

レストラン il mio campo(イル・ミオ・カンポ) 島津 有紀さん

――15年勤めた旅行会社を退職して、大学に入り直したのはなぜですか。

たくさんのお客様の旅行企画や手配を担当する中で、さまざまな気づきがあり、その一つが「健康」でした。お客様の中には、健康上の理由から旅行を取りやめる方もいて、その度に1日も早い回復を祈るとともに、健康に暮らすことの大切さを感じていました。退職後、1ヵ月ほど海外に滞在した際に、一生続けられる仕事として「健康と食」というキーワードが見えてきました。思えば、体調を崩すことなく連日遅くまで仕事を続けられたのは、母の手料理のおかげで、健康は一生のものであり、ベースは食べ物にあるのではと思いました。ちょうどその頃、病院内の管理栄養士の役割が注目されているという新聞記事を偶然読み、栄養学を学んで再出発しようと母校へ入学しました。

――現在のお店をオープンしたきっかけは?

野菜ソムリエとしてイベントのお手伝いをした際、レストランで働く主人と知り合い、将来自分のお店を持つ夢を聞き、それが二人の夢となりました。「食材の作り手である生産者の想いを、料理で橋渡ししたい」そんな主人の想いに賛同し、休日は二人で農家巡りをして、現場の声を聞くことも多かったです。

――現在の仕事の内容は?

ホールでの接客と厨房内の補助的な業務が中心です。イベントの企画や宣伝など、事務全般も行っています。調理全般は、シェフの夫が担当。メニューの構成や味見など、私の意見を伝えることもあります。また宮城の野菜・果物をテーマに、ランチとチョークアートを組み合わせた「ランチ&レッスン」という企画も実施し、大好評でした。

――仕事上、大切にしていることは?

レストランは料理がおいしいものはもちろん「お客様への対応」も大切です。シェフの料理をより楽しんでもらえるよう、常に笑顔で接しています。

――どんな時にやりがいを感じますか?

食材の生産者の思いを直接お客様にお話しいただき、その食材を使ったスペシャルメニューを提供する店内イベントを、年に数回開催しています。生産者とお客様がつながることで、生産者が食育の講師として招かれたり、さらにその食材が新たに採用されたり、自然とつながりが生まれることに、喜びややりがいを感じます。「作るを伝えるみんなの食堂」というお店のコンセプトが、形になったと感じる瞬間ですね。

――これからの目標は?

お客様との縁で、音楽や芸術のイベント開催も増えています。今後はお店を通じて人々が出会う機会をさらに作り、シェフの料理でみんなが笑顔になってくれたら嬉しいです。個人的には、管理栄養士としての知識や経験を活かして健康をテーマにした食生活の提案もしながら、il mio campo※をしっかりと育てていきたいです。※イタリア語で「私の畑」の意

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