私のお薦め図書(川島忠之助訳『新訳八十日間世界一周』) |
宮城学院女子大学日本文学科 田島 優 |
ジュール・ヴェルヌの作品は小学校時代から好きだった。
『十五少年漂流記』や『海底二万マイル』などを読んでは血湧き肉躍り、いつかは自分もあのような冒険に出かけたいと思った。 忍者漫画を読んでは池の上を歩きたいと思う、直ぐに何にでも影響されやすい単純な少年だった。 大学時代、古書展でたまたま明治11年・13年に刊行された『新訳八十日間世界一周』の複製本(名著複刻全集 近代文学館)を手に入れた。 ヴェルヌの作品は空想科学小説と言われているが、ヴェルヌはその当時の科学の最先端の研究を調べることによって、将来このような事が可能であろうと予想したのであった。 したがって、彼の予想はほぼ的中することになる。 西洋に憧れを持っていた文明開化の日本においては、ヴェルヌの作品を読むことによって、西洋文明を吸収しようと試みたのであった。 ![]() この作品は現在『翻訳小説集 二』(新日本古典文学大系 明治編)に所収されている。 |