宮城学院女子大学 心理行動科学科

役に立つ!!心理学コラム(2010年度)


2月の心理学コラム(担当:工藤敏巳)

「負けの代表」

9月のコラムではアジア大会ソフトテニス競技でのサポート活動について書きました。今回は競技戦績を報告したいと思います。女子は団体戦・個人戦ダブルスで金メダル、個人戦ダブルスで銅メダルを獲得しました。男子については団体戦が銀メダルで惜しくも金に届きませんでした。個人戦ダブルスでは銅メダル2つ、個人戦シングルスでは銅メダルを獲得しました。

女子団体戦で金メダル!!

男子団体戦ではあと1点取れば金メダルという状況で、国際的なメジャー大会が初めてとなる中本選手(大学3年)がシングルスに登場し、マッチポイントを4本握っていながらも最後の1点が取れず、逆転負けを喫してしまいました。結局、銀メダルでした。応援に駆けつけてくれていた福井烈氏(元プロテニスプレイヤー、JOC理事)からは「この1点を取るために何年も努力しなければならない」と厳しいコメントをいただきました。また、翌日ベンチを訪れた市原則之団長や橋本聖子氏(冬季アジア大会団長)からは労をねぎらう言葉をいただきました。


周囲の方は銀メダルの獲得は素晴らしいと思われるかもしれませんね。しかし、選手にとって銀メダルは所謂「負けの代表」ですから、過去に経験したことのない悔しさを味わったことでしょう。選手が世界のトップに達していく過程で全く負けないで成長することは考えられません。幾度かの負けを繰り返し、頂点に達していくのです。そう考えると、今回の惜敗は金メダル獲得に向けて最高のモチベーションで始動できる最良の機会だったに違いありません。


1月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

写真うつりの話

写真うつりが悪いと思っている人は多く、女子のほとんどがそう思っていると言ってもいいでしょう。うまく撮れたと思って見せると、「私こんなんじゃなーい」と言われたりします。他人から見ると普通に見えるのにどうして本人はそう思わないのでしょう。
そこにはいくつかの理由があります。
一つは、普段自分の顔として見ているのは鏡に映った像であるということです。人間の顔は左右で異なっています。とくに目の印象は重要で,左右の目の大きさや高さのわずかな違いが鏡映像では大きな違いとして認識されることになります。でも,それだけでは多くの人の写真うつりの悪さを説明できません。
二つ目の理由は、鏡に映ったどの顔を自分の顔だと認識するかです。鏡に向かうとき、人はいろいろな表情をしてみますが、その中で一番いい顔をしたときの顔を自分の顔だと思うのです。そして,その顔を基準にして自分の写真の顔を判断します。
普段の生活では、一番いい顔をし続けることはよほど訓練しないとできないことです。女優さんなどはきっと意識しているのだろうと思いますが、普通の人は油断しています。その油断した顔を写真に撮られると、「違う」、「写真うつりが悪い」と思うのです。
1年生のゼミの学生たちです。この中にも写真うつりが悪いと思っている学生がいるかも…


12月の心理学コラム(担当:高田利武)

東北新幹線の全通と老人

東北新幹線がついに青森まで全通しました。しかし、鉄ちゃんの私の心境はいささか複雑です。モヤモヤの一つは、3月に登場する超特急が「はやぶさ」であることです。これは絶対に「はつかり」であるべきです。「はつかり」は、それまで東海道・山陽・鹿児島本線にしかなかった特急列車が、1958年10月はじめて東北地方にも登場したときの記念すべき愛称で、その後も長く青森行き特急を代表するものでした。鉄ちゃんにとって「はやぶさ」は鹿児島行き特急のイメージしかありません。
 こんなことは、過去を知らなければ全く無意味でしょう。現在の知識の中では、他よりも速そうな「はやぶさ」はすんなりと受け入れられます。私たちが自分自身の能力や性格を評価するとき、過去の自分と比較したり(継時的比較)、いま自分の周囲にいる人と比較したり(社会的比較)しますが、老人は社会的比較より継時的比較を使いがちだという説があります。私も65歳となり、介護保険の「被保険者証」が送られてくるやら、「独居老人調査員」が自宅に来るやら、否応なしに老人意識をもたされるようになりました。せっかくの東北新幹線全通に、こんなことを思うのも老人心理のせいなのでしょう。

(写真は仙台駅での上り「はつかり」、当時のダイヤは、下り(上野12時20分発、仙台17時48分発、青森0時20分着)、上り(青森5時00分発、仙台11時35分発、上野17時00分着)。背景にはパルコもアエルもなく、空が広い…)

11月の心理学コラム(担当:木野和代)

カモメは遊覧船が好き?

松島観光の遊覧船に乗ったことがありますか? 私は今月3日に乗りました。大学時代の先輩の松島観光にお伴したのです。

遊覧船に乗り込み出港を待っていると,船の周りにはカモメが1羽,2羽…と集まってきました。いよいよ出港。するとそのカモメたちが船の後からついてきます。
なぜでしょう? 動くものを追う習性がある? 遊覧船が好き?

しばらくすると,乗船客が甲板に出てかっぱえびせんを海に向かって投げはじめました。カモメたちはその付近を飛び交います!
そう!カモメたちは餌をもらうために,出港前から遊覧船の周りで待ち構えていたのです。

一連の光景をみて「学習」ということばが浮かびました。
「学習」といっても学校でのお勉強のみを指すわけではありません。心理学用語では,経験により何らかの行動を身につけることを意味します。
この場合,遊覧船が出港すると乗船客がかっぱえびせん(餌)をくれるということを繰り返し経験するうちに,カモメたちは出港前に遊覧船の側で待機し,出港後は船の後を追うという行動を学習した,というわけです。

報酬(餌)が得られる行動を進んでするようになる。飼い犬をしつけるときも同じですね。

カモメが人間に「かっぱえびせんを投げる」という行動を学習させたのかも!?


10月の心理学コラム(担当:大橋智樹)

受験シーズン突入ですね!

何年か前に、大学院を受験したある学生さんに送ったメールです。
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「考えてもしょうがないことを考えるくらいだったら少しでも勉強しろ」とは言ったけれど、これは「寸暇を惜しんで勉強しろ」という意味ではありませんよ。考えてもしょうがないことを考えさせないようにするために、どう言ったらそれが通じるか、と悩んだ末に出てきた言葉です。
勉強は十分にしていると思う。知識もたくさんある。ただ、それを発揮できなければ、それらに意味はないのです。発揮できる環境を自分の中に整えること、それが、余計なことを考えないこと、なのです。
結果は君が出すのではない。結果は、力を発揮した結果に勝手についてくるのです。知識が100ある人が5しか発揮できなかった場合と、知識が10しかない人がその全てを発揮できた場合と。「試験」で評価されるのは、残念ながら後者なのです。
「発揮する」能力の大切さが、わかるでしょ? そのためには自分を邪魔しちゃいけない。自分に余裕をもたせてあげなきゃいけない。自分を信じてあげなきゃいけない。それが大切なのです。
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どうしたら持てる力を存分に発揮できるか、これも心理学のテーマです。そして、どうしたら誰かを勇気づけられるか、これも心理学のテーマです。

大学入試センター試験の様子


9月の心理学コラム(担当:工藤敏巳)

“心理戦”

今秋、11月13日から中国の広州市でアジア競技大会が始まります。

私はソフトテニス競技日本代表チームのメンタルサポートだけでなく情報戦略サポートの仕事もしています。情報戦略サポート活動と言われて真っ先にイメージするのは、監督が戦略を立てるため、事前に得た相手チームの情報と試合中の情報を監督に提供する、いわゆる「スカウティング」でしょう。この場合、選手勧誘のことではなく情報収集(偵察)のことを言います。6月にはアジア大会のプレ大会で広州市に行きスカウティングを行ってきました。

実は、情報戦略活動とは情報収集を行うことだけはありません。情報を発信・操作して選手が大会で実力を発揮しやすくするための環境作りを行うことを言います。例えば、日本チームが不利な状況であった場合、その状況を前向きに捉え有利なコメントをニュースで放映したり、日本で応援している方のメッセージをmixiやtwitterを使って選手に配信し、選手のモチベーションを高めます…などなど。今、私が考えていることは「大会会場のホーム化」です。サッカーでも野球でもホームとアウェイを比較した時、ホームの勝率が高いことはご承知の通りです。大会が開催される中国は全くのアウェイですから、ホームの雰囲気をどこまで作れるか頭を悩ませているところです。
着々と工事が進むメイン会場(6月撮影)


8月の心理学コラム(担当:友野隆成)

研究室と観葉植物と私

 私は、今年の4月に宮城学院に着任しました。3月までは京都に住んでいたのですが、宮城学院着任を機に大きな環境の変化がありました。気候、食文化、言葉、視聴できるテレビ局等々、様々な変化に直面しました。そして、個人的に大きな変化だったのが、初めて専任教員として採用され、個人研究室を持つことができたこと、それに付随して、観葉植物を育てることになったことです。

研究室を開設して間もない頃、とある方より観葉植物をいただきました。元来面倒臭がりな性格である私が観葉植物など育てられるのだろうか、当初は一抹の不安を抱えていました。その不安を解消すべく、ネットで育て方を検索し、ホームセンターで肥料を買い、せっせと水やりをしました。すると、最初は4枚だった葉が6枚に増え、今でも枯れずに元気に育っています。

パーソナリティ心理学では「性格は変わるか?」という永遠の命題が良く議論されますが、私は観葉植物をきっかけにほんの少しだけ面倒臭がりな性格が変化したような気がします(気がするだけかもわかりませんが…)。性格は、もしかしたらちょっとしたことがきっかけで、少しだけでも変わるものなのかもしれませんね。


7月の心理学コラム(担当:佐々木隆之)

リズムの話(1)

 日本人は3拍子のリズムが不得意だと言われます。確かに、明治以前の日本の古い音楽には3拍子のリズムはなく、2拍子系の音楽しかありません。「真室川音頭」や「佐渡おけさ」、「阿波踊り」のように8分の6拍子の音楽はありますが、これも2拍子とみなしてよいでしょう。千昌夫の「星影のワルツ」は往年の名曲ですが、この曲に合わせて聴衆が手拍子を打つと、1拍目、3拍目、2拍目、1拍目、…、と奇妙なことになります。欧米人ならばきっと3拍子を感じ取って1拍目に手拍子を打ち続けることになるでしょう。
 音楽のリズムを研究していると、このように、民族や文化によってリズムの感覚が異なることに気づかされることがあります。一方で、民族や文化の違いを超えて知覚の特徴が共通に表れる場合があります。私は、20年以上にわたりオランダの研究者と一緒に研究を行っていて、日本人とオランダ人を比較することがあります。私たちが行っている研究では、どちらの国の被験者でも同じような結果になることが多いのです。
 今、ワールドカップサッカーの真っ最中ですが、昨日(7月6日)の早朝には準決勝がありました。先週、研究の打ち合わせのためにオランダに行ったのですが、共同研究者のお宅で一緒に日本チームの試合を見ました。もちろん共同研究者も日本を応援してくれました。付き合いとしてはサッカーのような研究以外の話題もとても重要です。そこで、昨日は朝3時半に起きて応援することになったわけです。ついでに、今日も一日、オランダの国の色であるオレンジ色のユニフォームを着て勝利を祝いました。
写真はゼミの授業風景です。右端にオレンジのユニフォームが…

※佐々木先生の教員リレーエッセイはこちら


6月の心理学コラム(担当:高田利武)

他人への目を自分にも向ける

 私たちはよく集合写真を撮りますね。この写真は4月の新入生オリエンテーションキャンプ時のものです。私は最後列の右から4番目にいます(矢印)。どうして分かる? 自分の顔や姿の特徴を知っているからです。となりの佐々木先生も分かります。彼の特徴を知っているからです。でも、今はまだ新入生諸姉は誰が誰だか全然分かりません…
 写真の中の人を、私は対象として眺めています。私の視線はその人々に向かっています。同じように、私の視線は私に向かっています。つまり、私は私を対象として見ているのです。「佐々木先生を知っている」ように「私自身を知っている」のです。もし、学生諸姉が分からないのと同じように、私自身が分からなくなったら… 大変なことです。
 「自分を対象として見る」ことは、一部の類人猿を除けば人間だけができます。人間でも赤ちゃんなどにはできません。私は最近、昔に比べ「丸くなった」と言われます。もしかしたら、私は自分を対象として眺めるくせがつき、私の欠点を自分で直そうとしたせいかもしれません。もしそうなら、それは心理学を学んだメリットだったのかも…


※高田先生の教員リレーエッセイはこちら

5月の心理学コラム(担当:木野和代)

映画で学ぶ心理学(1)

『12人の優しい日本人』という映画をご存知ですか。私が好きな作品の一つです。
「もし日本に陪審員制度があったら」という設定で,ある男性の死が殺人か事故か,被告人の殺意をめぐり12人の陪審員が激論を交わします。この議論の過程がとても面白いのです。外見で人を判断したり,個人的な問題を投影したり…。コメディですのでデフォルメされていますが,他者の内面的な特徴や心理過程を私たちがどのように捉えようとするのかがよくわかります。このような過程は、心理学では対人認知の問題として扱われています。
また,目撃証言と事実をつないで現場の状況を推論していくところは見所です。目撃証言の信憑性について考えるには記憶に関する知識が役立ちます。心理学は多くの実験に基づいて記憶のメカニズムを明らかにしてきました(詳しくはいずれコラムに登場するかも!?)。


裁判員制度がスタートして1年。裁判員制度は陪審員制度とは異なりますが,この映画は裁判において人の心がどのように働くのかを考える一つの材料となりうるように思います。そんなことも考えながら12人の行動を観察すると,単なるコメディとして以上に作品をたのしめるかもしれません。興味をもたれた方,一度観てみてはどうでしょうか。


4月の心理学コラム(担当:大橋智樹)

先生と話していると恐い?

オリジナルサイトでの初めての心理学コラムを担当することになりました大橋智樹です。産業・経営心理学ゼミを担当しています。
美ら海水族館で愛娘とパシャリ!

このコラムは、心理学の研究にたずさわる心理行動科学科の教員が、交代で心理学の魅力をお伝えするコーナーです。毎月10日前後の更新となりますので、どうぞおつきあい下さい。

さて、初回はこの話から入りたいと思います。「先生と話していると恐い」。これ、よく言われることなんです。初対面の方とお話をしていて、「大学で心理学を教えている」とお伝えしたあとの反応です。
心理学を教えている=心理に詳しい=心を読める=見透かされそうで恐い、という連想が成り立ってしまうようですね。でも、実は心理学を勉強していても心を読めるようにはなりませんし、心を読みたいから心理学を勉強しているわけでもないのです。

じゃぁ心理学ってどんな学問か? その答えは、このサイトで少しずつお見せしていきたいと思います。サイトでは、私たち教員だけではなくて、学生さんの声や、学科の活動報告など、リアルタイムに学科の姿を発信します。心理学を研究・勉強する心理行動科学科の生の姿を読み取っていただけたらと思います。

※大橋先生の個人サイトはこちら
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