松島・雄島


 松島海岸から朱塗りの橋・渡月橋で結ばれる島が雄島である。「雄島」は「松島」とともに代表的な歌枕である。

 松島や 雄島の磯に あさりせし あまの袖こそ かくはぬれしか (後拾遺集 源重之)

 この重之の歌は、もともと「見せばやな小島の蜑(あま)の袖だにも濡れにぞ濡れし色は変わらず」という千載集の殷富門院大輔の歌から本歌取りされたものである。ここでの「小島」は「小さい島」という普通名詞であるが、重之の歌では固有名詞として使われている。そこから「雄島・蜑(あま)・濡れ」という縁語を含む歌語として後世に影響を与えた。「雄島」を詠んだ歌は新古今和歌集にも

 心ある 雄島のあまの たもと哉 月宿れとは ぬれぬ物から (宮内卿)

 秋の夜の 月やをじまの あまの原 明方ちかき 沖の釣舟 (藤原家隆朝臣)

 行く年を 小島のあまの ぬれ衣 かさねて袖に 浪やかくらん (有家 朝臣)

 立ちかへり 叉もきてみん 松嶋や をじまのとまや 浪にあらすな (皇后宮大夫俊成)

 松がねの をじまがいその さ夜枕 いたくなぬれそ あまの袖かは (式子内親王)

などがある。

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