古代史と近現代史の世界へようこそ
大平ゼミの紹介とお誘い





Q なんで日本史の両端を扱っているの?

A
私の専門はもともとは古代史です。

卑弥呼の時代から、道長(藤原)の時代まで、守備範囲にしています。
 古代の貴族は親の七光で出世した?
 天皇制はどのように生み出された?
 日本最初の皇太子は誰?

という研究から、古代史研究の世界に入って行きました。
そして、「正倉院文書」と出会いました。

一例を示しましょう。
文書の説明
写経所で、お経を写す仕事に就いていた角恵麻呂(ろくのえまろ)さんのもとで、役所勤めのための修業をしていた、親族の勝麻呂が何かをやらかした。その罪の償いに宴会を開けば許してやる、約束通りに開かなかったら、押しかけて財産を取り上げるぞ、という内容です。
(『大日本古文書』三巻110頁より)



2012年10月の正倉院展で初めて実物を見ることができました。文字を書くための紙というより、何かモノを作るための材料のような紙の切れっぱしに書きつけた、という感じの文書でした。
正倉院展は、正倉院文書の実物を見られる唯一の機会です。自分が研究した文書の実物を見られるのは、稀なこと。ラッキーでした。




【京都・奈良の研修旅行〜日本の古代に触れる旅〜】

毎年、奈良国立博物館で開催される正倉院展をメインに、京都・奈良の研修旅行を行います。
ゼミ最大のイベントをまず紹介しましょう。



正倉院の倉下にいれていただきます。
ただし、2012年は解体修理中で残念ながら、倉下には入れませんでした。





藤原宮の発掘現場の見学。奈良文化財研究所の方に撮っていただきました。





奈良文化財研究所(藤原調査部)では、レプリカを用いて、木簡について教えていただきます。





宇治平等院も修理中。阿弥陀堂(鳳凰堂)には入堂できませんでしたが、めったに見られない光景を見ることができました。





宇治では、調査中の太閤堤の発掘状況を説明していただきました。





【ゼミの卒業生は、こんな研究をしてきました 古代・中世史編】


・写経所に於ける経師手実の書式の変遷について(11年度)
・古代における地震の記録と諸対応(11年度)
・日本古代の贄について(09年度)
・聖武・称徳天皇とその諡号の関係(08年度)
・光明立后の意義と皇后の政治的意義(08年度)
・長屋王の変について(08年度)
・桓武天皇の即位における政変と皇位継承問題(08年度)
・元慶の乱から見る古代東北史(08年度)
・平泉と安倍氏の柵について(08年度)
・中世の経済政策について―出挙と徳政(08年度)
・郡山遺跡について(07年度)
・正倉院文書「布施帳」に関する考察(07年度)
・三条天皇の譲位儀と後一条天皇の即位儀について(07年度)
・孝謙天皇と称徳天皇の政治思想(06年度)
・正倉院文書「布施帳」の研究(06年度)
・『小右記』、『御堂関白』」に見られる法会・仏事(06年度)
・縄文土器底部の圧痕(05年度)
・涌谷の産金と東大寺の大仏(05年度)
・遣唐使を通してみる唐・東アジアとの対外関係(05年度)
・「六国史」にみえる大祓(05年度)
・受領の実態(05年度)
・安倍氏、奥州藤原氏と衣川(05年度)
・藤原清衡にまつわる女性たち(05年度)





Q それがどうして近現代史に?

A
アジア太平洋戦争末期の1944年11月、宮城高等女学校(宮城学院中学・高等学校の前身)の生徒200人以上が、神奈川県の横須賀(私の生まれ故郷です)の海軍航空技術廠(兵器開発・製造工場)で働かされたことを知りました。
これをきっかけに「学徒勤労動員」の調査を始め、ゼミ生は自分の出身校などを中心に卒論を書いています。
県内、時には県外にも出かけ、学校に保管されている資料を調査させていただき、研究を行っています。資料の閲覧をさせていただいた学校に、研究成果をお届けしています。




旧白石女子高等学校所蔵資料の研究成果を、宮城県白石高等学校にお届けしました。
(2011年2月24日)




【ゼミの卒業生は、こんな研究をしてきました 近現代史編】


・学校日誌から見る戦時中の小学校―山形県高畠町の学校日誌より(11年度)
・学校日誌から見る戦時中の小学校(11年度)
・宮城県白石高等女学校公文書綴の基礎的研究(10年度)
・佐大商店出荷帳簿からみる地域の歴史(10年度)
・船岡海軍火薬廠における学徒勤労動員について(10年度)
・宮城県下の学徒勤労動員―中等学校を中心に(08年度・修論)
・宮城県の学徒勤労動員
      ―戦時下のミッションスクールの動向及び中等学校の学徒勤労動員(07年度)
・岩手県の学徒勤労動員(06年度)
・戦時下の石巻高等女学校(06年度)
・船岡第一海軍火薬廠への女学生の勤労動員(05年度)
・カトリック系ミッションスクールにおける宗教教育(03年度)






【小学校の資料調査】


最近では、小学校の資料を調査しています。学校に保管されている資料、特に学校日誌には、地域の様子も記されています。小学校に眠る資料は貴重な地域の歴史資料であり、歴史遺産です。
私たちのゼミでは、研究のために調査をさせていただくだけでなく、未来に伝えるための保全活動も積極的に行っています。なぜならそれは、現在、学校資料が廃棄の危機にさらされているからです。少子化と、自治体の広域合併が進んだ結果、学校の統廃合が進められているのです。
貴重な学校資料を未来に伝えるため、調べ、保存する作業に、古代史専攻のゼミ生も取り組んでいます。


その作業の一端を見てみましょう。



手順1 現状確認作業

調査に入る前に、資料の現状を確認します。




手順2 作業場への搬出

資料を作業場に搬出し、分類します。




手順3 保存封筒作製

資料の保存に適した中性紙の保存封筒に資料名を書き込み、撮影の準備をします。




手順4 撮影

研究のために学校日誌の全頁を撮影しています。




手順5 目録の作製

学校に保存されている資料の目録を作成します。




手順6 保全作業

資料を中性紙の封筒に入れ、やはり中性紙の保存箱に収納し、内容がわかるように、目録を貼り付けます。




児童との交流@

児童の皆さんに調査の様子を見ていただき、資料の大切さを説明しました。




児童との交流A

児童の皆さんから、様々な質問が投げかけられました。





Q ゼミではどのような勉強をするの?

A
ゼミの一端を紹介しましょう。



1年生 【マンガでゼミは学べるか】
石ノ森章太郎さんの『マンガ 日本歴史』をテキストに、コマの一つ一つがどのような資料に基づいて描かれているか、もとになった資料を探し出し、「マンガで日本史は学べるか」を考えます。
この作業で、歴史は暗記ではない、資料に基づいて過去の事実を探る学問であることを理解します。

レジュメのサンプル






2年生 【『小右記』を読む】
藤原道長と同時代を過ごした「賢人」藤原実資が書き記した『小右記』に返り点を付して音読します。
毎年、導入に使っている資料をお見せしましょう。

【内容
 貴族(国司)の家に「死児」が流れ込んできたことに端をを発し、内裏まで穢れに触れてしまい、政務が停止。道長も「触穢」。さてそこで道長は…。



和様漢文を読む技術は、全時代に有効です。希望者には、かな文字、くずし字の読み方も教えます。絵巻の言葉書きが読めるようになると、博物館でも楽しくなりますよ。




3年生 
研究テーマを決め、研究したことをを発表し、卒論に向けて進んでゆきます。
奈良・京都実習のコース選びを始め、ゼミ全体の行事を計画、実施します。



4年生 
卒論に向けてまっしぐら。
9月に学内合宿をして卒論構想・中間発表を行います。
2月には、後輩たちと共に卒論発表会。OGも参加してくれます。






Q ゼミでは勉強ばかりなの?

A「楽しくなければ大学じゃない」をゼミのモットーに、年間を通じて様々な行事を行います。


【ある年のゼミの1年



5月 第一回伝統食文化研究会

うどん打ち




餃子を作る





6月 多賀城探検

多賀城碑を見る



多賀城北辺の探索






10月 大学祭に模擬店参加

月末のビッグイベント、奈良・京都実習での拝観・入館料を稼がねば。
2012年は、山形のソウルフード「どんどんやき」でした。





11月 第二回伝統食文化研究会

おでんで卒論と格闘中の4年生を励まします。
大根の下ごしらえ、「かつら剥きにして、面とりして、隠し庖丁を入れる」ヤッテトーライ。





2月 卒論発表会

OGから鋭い質問が。
発表会の後は温泉につかって、史跡を見学して解散します。






このほか、博物館、遺跡見学を随時行っています。



関心をお持ちの方、ぜひ一度見に来て下さい!!