担当科目について・・
音楽はメロディー、リズム、ハーモニーの三つの要素で成り立っています。その中のハーモニーの要素について学ぶのが「和声法」です。
ふつう、2つ以上の音の重なりをハーモニーと言いますので、ハーモニーは世界各地に非常に古い時代からあったわけですが、私が担当する「和声法」で扱うのは、その中でも、おおむね18世紀から19世紀かけてヨーロッパで行われていた音楽のハーモニーです。
この時代に活躍した主な作曲家の名前を挙げてみましょう。
バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、ブラームス…
世界中の誰もが知っているような有名な人たちですね。 私たちが日ごろ“クラシック音楽”と呼んで、聴いたり弾いたり歌ったりしている音楽の大半は、これらの作曲家たちの作品です。つまり「和声法」で学ぶのは、聴いたこともないような古い時代や、限られた地域だけで行われているハーモニーではなく、私たちが幼い頃から耳にして親しんでいるハーモニーなのです。「和声法」では、それを「縦の重なり」と「横の流れ」の両面からとらえて考察して行きます。その過程で体験したり身につけたりした事は、作曲、演奏、研究など、今後の皆さんの音楽活動に欠かすことのできない、基礎的な素養となるのです。
自身の活動について・・
私は、いい音楽を聴くと人に話さないではいられない性質(たち)なので、そこを見込まれたのか、いろんな所から頼まれて文章を寄稿しています。
そのうちの、現在進行中のものについては、「演奏年鑑※ 2012」P.14の「評論」のページで、次のように紹介されています。
『「震災」と「原発事故」が発生したあと、音楽ジャーナリズムも折に触れ、現状をニュースとして掲載していたが、毎月月刊「音楽現代」誌に連載で震災の状況、復興の様子を工藤一郎氏が言わば定点観測のように書き続けている。仙台フィルハーモニー管弦楽団の活動を中心に、東北の音楽界がいかに震災から立ち直ろうとしているかが分かり、音楽家に何ができるかの一つの答えをここから読み取ることができる。』
※ 文化庁委託事業として日本演奏連盟が発行するものです。
非売品で、全国の大学、図書館、文化団体、新聞社などに配布されています。
この年鑑のP.17の「東北」の項も、私が担当してから14年になります。
その月刊「音楽現代」(芸術現代社発行)誌上の連載とは以下のようなものです。
●『つながれ心、つながれ力』
【2011年】
・5月号P.93〜94 <1> 〜東日本大震災から立ち上がる仙台フィルと山響〜
・6月号P.80〜81 <2> 〜スタートした"マラソンコンサート"〜
・7月号P.98〜99 <3> 〜被災地へ、そして全国へ〜
・8月号P.92〜93 <4> 〜開かれた扉〜
・9月号P.94〜95 <5> 〜真の復活・復興を目指して〜
・10月号P.154 ― 関連記事 ―
・11月号P.100〜101 <6> 〜紡がれゆく絆〜
・12月号P.106〜107 <7> 〜駆けつけるアーティストたち〜
【2012年】
・1月号P.108〜109 <8> 〜それぞれの想いに突き動かされて〜
・2月号P.96〜97 <9> 〜一歩ずつの前進〜
・3月号P.92〜93 <10> 〜岩手・宮城・山形〜
・4月号P.92〜93 <11> 〜巡り来る3.11〜
・5月号P.100〜101 <12> 〜差してきた陽光〜
・6月号P.100〜101 <13> 〜支援される支援コンサート〜
・7月号P.88〜89 <14> 〜東北へ行こう!〜
2012年6月現在、以上のようになっています。
「震災と音楽」については、発災以来多くのメディアがレポートやインタビューなど、様々な形で取り上げていますが、それらのほとんどは単発のものです。このテーマで一人の書き手が継続的に書き続けているのはこの連載だけという事もあって、今、この雑誌は手に入りにくくなっているようです。
この連載は、編集長氏が終了のメドをなかなか示してくれないので、もうしばらく続きそうです。
他に、地元の刊行物では、長いこと宮城県文化振興財団発行の文化情報誌「伊達人(だてびと)」に、寄稿・対談・座談会などで、たびたび登場していました。残念ながら同誌は2009年のVol.65で休刊となってしまいましたが、その創刊号からVol.65までの全号が「宮城県図書館みやぎ資料室」に収蔵され、常時閲覧可能となっています。
メッセージ・・
音楽の活動は「作曲する人」と「演奏する人」と「聴く人」がいて初めて成り立ちます。そして、それを社会に向けて発表する際には多くの人々の協力が必要です。合唱やアンサンブルやオーケストラは勿論ですが、独唱や独奏だって一人ではできないのです。というわけで、音楽をやる人は自分が頑張るだけでなく、良い友人や仲間を作って、みんなで協力してやって行きましょう。そして、他の人たちがやっている音楽もできるだけ聴きに行きましょう。そのようにして、音楽の活動全体をみんなで盛り上げましょう。
(2012.7)
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