私が学生だった当時の校舎は、街中のとても便利な場所にありましたから、休講の知らせが入ると、友人と一番町へ繰り出したり、名画座でジェームス・ディーンに酔いしれたり・・・と、学生生活を満喫していました。もちろん毎日ピアノの練習はしていましたが、練習不足でレッスンに行った時にはカンディフ先生のあの明るい笑顔がなんと恨めしく思えたことでしょう。

研究科を修了後、アメリカのカンザス大学へ2年間留学させていただく機会を得ました。音楽科の創設に貢献したK.I.ハンセン先生の奨学金を得てのことでした。布田　庸子先生（音楽科教授）と私が第1期の奨学生でした。

大学では寮生活を体験しました。アメリカ人の明るい国民性や、才能ある人材の多さ、大学生の勤勉さなど、驚きの連続でした。布田先生とは2年間、一緒に勉強し、レッスンやリサイタルの伴奏などをさせていただきました。そこですっかり声楽のとりこになり、現在はいくつかのコーラスグループに所属して、楽しく歌っております。

在学生のみなさんへ・・・

音楽を学べる事は本当に幸せな事です。もちろん、長い年月の間には、もう練習をやめてしまいたい、と感じる時もあるでしょう。でも、将来どんな道に進んでも、自分が努力した事や、自分だけの音楽が心の中に存在する事実は、大きな自信になると思います。

　　もどる・・・